【どこかに鐡H】大分空港編

■はじめに
 今回の「どこかに鐡」は、天皇誕生日の振替休日を含めた12月後半の三連休である。申し込み初日(11月22日)に検索してみたが、やはり三連休の日程では難しく(数少ない候補が出ないわけではないが、すでに訪問済みの広島や徳島などがどうしてもヒットしてしまう)、諦めることにした。
 翌23日、旅行の日程を12月23日からの2日間だけにしてみると、これはもう楽である(三連休の中日に出発するのであるから)。ただし、このシリーズももう8回も実施しており、それらの空港が出ない候補が揃うのが大変であった。
 何十回と検索し、やっと新千歳・岡山・高知・大分が揃ったところで申し込みを確定させた。唯一の懸念は、往路出発を一番早い時間帯にしたことである。しかし、新千歳の場合6時30分発があるため運悪くそれになってしまったら前日に羽田付近で泊まる必要があるが、それ以外の空港は朝一便に早朝帯がない(最寄駅の始発に乗れば充分である)のは幸いであった。
 新千歳になったら来年春に廃止となる夕張支線の乗り納め、岡山ならば西日本豪雨からの復興具合の確認、高知ならば土佐くろしお鉄道、大分はぱっと思いつかないが、「宗太郎越え」辺りであろうか。そして翌日に判明した行先は、大分であった。ということで、宗太郎越えである。
 大分県側から宗太郎越えをするには佐伯に宿泊するしかないため(宿毛からの夜行フェリーで佐伯に到着する、という荒業もあるが)、宿泊地は決定である。初日は、適当に豊後竹田を観光することにした。

@佐伯駅にて

■2018.12.23
 大分空港を利用する回数は多くないが、大分県には何回も来ている。というのも、大分空港が辺鄙な場所にあってバス代が高いから敬遠しているだけであり、北九州空港などを利用することが多いためである。
 出発2日前に機材変更となり、国際線機材になってしまい(よって国内用ビデオやWi-Fiは利用不可能)、さらに当日朝には搭乗口も変更となり、もう遅れは確実である。

@沖止め(バス移動)で一番遠くのスポットまで

 滑走路までも遠くて離陸に時間を要し、大分空港到着は定刻から10分ほど遅れた9時55分であった。本来は9時45分着予定でその10分後に大分行ノンストップバスが出発し、大分駅ではわずか6分で豊肥本線に乗り換えるという「綱渡り旅程」であったが、この時点でアウトである。
 しかし、そういうパターンも想定しており、到着ロビーの券売機で日出(ひじ)までの切符を買い、別府行のバスに乗り込んだ。こうすることで途中のJR暘谷駅から乗車し、バス代を安くするのである(註1:今日は「青春18きっぷ」を利用。註2:日出バス停の最寄駅は日出駅ではない)。

@空港バスは「ラグビーワールドカップ」カラー

 小雨がちらつく中駅まで歩いたが、途中で唐揚げのチェーン店を見つけてしまったので、つい買ってしまった(大分と言えば唐揚げである)。結局、浮かせたバス代以上に使ってしまったが、昼食代と思えばいいであろう。30分ほど微妙な待ち時間もあったので、駅の新しい待合室で半分頂いた(残りは夜用に)。
 暘谷駅は、駅舎、待合室、通路、どこもなぜかハローキティばかりであった。

@町とタイアップしているとのこと

 11時10分の各駅停車に乗り込み、灰色の海を見たりしながら大分へ。中途半端な乗り換え時間は駅付近で適当に過ごし、「くろちゃん」(観光列車「あそぼーい」のキャラクター犬)だらけのトイレに驚き(特に身障者用の個室は必見)、さて、次に乗るべきは12時20分発の豊後竹田行である。

@真っ赤な2両

 ディーゼルカーは定刻に出発。最初の頃は地味な都会の景色であったが、そのうち田舎っぽくなり、川の流れも印象的になっていった。
 13時30分、豊後竹田到着。1時間半ほど時間があるため、「おのぼりさん」的な徒歩観光である。まずは竹田城跡(岡城跡)へ行き、街へ戻ってからは十六羅漢などの観光である。

@無難に(天気のみ残念)

 15時07分のディーゼルカー(またしても2両)で大分へ戻り、1時間ほどあった中途半端な乗り換え時間は近場のスーパーで潰し(しかし良い獲物は発見できず、佐伯駅のホテル近くのスーパーに賭けることにした)、17時20分発の各駅停車で大分から佐伯に向かった。
 佐伯着は18時48分。飛行機遅延により佐伯観光はできなくなったため(当初予定より2時間遅れ)、後は安食材で酔っ払って寝るだけである。

@佐伯で得た獲物たち

■2018.12.24
 さて、今日はメインの「宗太郎越え」である。宗太郎越えとは日豊本線の佐伯から延岡に至る途中にある峠区間であり、特に交通の不便な区間のことである(国道や高速道路は遠く離れた海側を走っている)。元から各駅停車の本数は少なくて3往復程度であったが、2018年3月のダイヤ改正により、上りは2本、下りに至っては1本だけ(しかも早朝)になってしまったのである。つまり、佐伯発6時18分の列車は、各駅停車としては「最終列車」でもある。廃止にするのは色々と面倒であるため、「生活には使えない本数だけ残している」とJRが非難されそうな運用である。

@朝の佐伯駅と月

 さらに特異なのが、特急列車用の車両で運用されている点である。もちろん、日本各地には(特に早朝に)そのような運用があるが、ここ宗太郎越えでは3本の各駅停車すべてがそうなっている。逆に表現すれば、「わずか3本の列車のためだけに車両を確保するのも費用がかかるので、特急列車の合間に運用されている」だけとも言えよう。

@よってグリーン車もある(下りのみ)

 朝6時過ぎにホームへ行ってみると、もう入線していた。デフォルトの4両編成であるが、使用できる(開放されている)のは先頭の1両のみである。下りの先頭車両は通常は「グリーン+指定席」として半室ずつ宛がわれているため、下りに限ってグリーンも利用可能である(ただし、料金は必要である)。
 2両目以降へは移動できないよう、封鎖されていた。

@立ち入り禁止

 定刻の6時18分に出発。車内には私を含めて3人いるが、撮影などをしているしリュックを持っているため、明らかにそれ(乗車だけ)が目的である。つまり、まともな地元民はゼロ。
 丁寧な車内アナウンスもあるが、いかんせん外がまだ真っ暗であるのが残念である。ということで、写真撮影は難しい。

@よって車内の様子を(出発前)

 6時46分に到着した重岡で、対向列車の各駅停車(2本しかない上り各駅停車の1本)とすれ違った。あちらも先頭車両だけの開放であるが、ぱっと見10人以上は乗っているようであった。
 彼らはどうやって戻るのか? その心配はご無用である。というのも、佐伯から重岡までの各駅停車は夕方と夜に1本ずつあるため、重岡から乗った人はそれで戻ればいいし、延岡から乗っていた人は特急で戻ればいいのである。要するに、重岡から先(宗太郎駅など)を利用する人だけが不便なだけ、ということであるが、つまるところ宗太郎駅などの利用客は「ほとんどいない」ということである。
 宗太郎付近でやっと明るくなり始め、峠を越えてやっと外の景色が見えるようになった。
 北川で、地元民第一号が乗車してきた。久々の都会が近づき、延岡には定刻の7時26分に到着した。それにしても、「こんな場所だった?」と思わせるくらいの変わり様である。

@新駅舎

 さて、延岡に来た目的は特になく(あえて言えば「1往復しかない下り各駅停車に乗る」のが目的)、この後は特急「にちりん」で今来た線路を戻るだけである。
 1時間ほど時間があったため、片道25分くらいの場所にある御大師様までプチ登山をして、8時少し前に駅に戻ってきた。次に乗るべきは8時06分発の特急「にちりん」であるが、当然のことながら青春18きっぷは使用できないため、佐伯に戻るだけで1,930円もかかってしまう。

@やってきました

 この車両の特色は「先頭部分が展望車っぽい」という点であり、片側(下り先頭車)はグリーン車であるが、もう片側は自由席であるため、早い者勝ちである(以前、長崎から博多までの特急でその席を堪能した経験がある)。行ってみると幸い空いていたので、そこを押さえた。
 定刻に出発。だんだんと峠が深くなり、いくつかのトンネルを抜けると「宗太郎再び」である。

@宗太郎駅にアプローチ(運転室にピントが合ってしまった)

 9時03分に佐伯に到着し、いったん駅付近を適当に散策してから、「青春18きっぷ利用者」に戻って9時27分発の日出行各駅停車に乗り込んだ。この近辺にまだ少しだけ残っている国鉄型のボロ電車を期待していたが、残念ながら新型車両であった。なぜ「残念ながら」かというと、ロングシートだからである。

@無念

 こちらも定刻に出発。乗客が少ないうちは体を捩らせて外を見たりしていたが、満席になってきたらもう何もできない。かといって、ドア近くに立って外を見続けたいと思うほどの景色でもないため、そこからは「ロングシートの修行」(ひたすら我慢)の開始である。
 このまま暘谷まで行っても空港に早く着いてしまうため、別府で途中下車することにしている。途中下車といっても1時間ちょっとしかないが、駅近くの旧いアーケード街などを歩くだけで、私にとっては充分に観光である。

@臼杵で長時間停車

 11時16分に別府に到着し、駅付近の街並みを適当に歩き、デパートの地下にあった物産売り場で地場の野菜と柚子胡椒を買い求め、駅に戻って12時28分の各駅停車に乗り、暘谷で下車した。
 後は、空港バスの乗り場に行くだけである。今回は、予期せずキティちゃんで始まってキティちゃんで終わった旅であった。

@駅舎もハローキティ

 

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