【どこかに鐡C】釧路空港編

■はじめに
 JALの「どこかにマイル」の検索は、往路は出発時間帯、復路は到着時間帯で検索することとなる。羽田まで1時間強の場所に住んでいる私としては、往路出発は9:00〜11:59、復路到着は16:00〜18:59が安全帯である。
 今回、申込初日の早朝にアクセスしたところ、上記では「該当なし」になってしまった。このシステムも、だんだん人気になってきたのかもしれない。
 仕方がないので、往路の時間帯を5:00〜8:59にしてみた。結果はたくさん出てくるが、ここで注意すべきは6時台のフライトである。上記の通りの場所に住んでいるため、最寄駅から始発に乗っても、安心して搭乗できるのは7時00分以降なのである。
 何回か検索したが、鹿児島や北九州(いずれも始発6時25分)などがどうしても混ざってしまう。いずれ手詰まりになってきたら、そういうのも込みで申し込み、そういう便に当たったら金曜の夜に川崎辺りに泊まればいいが、まだシリーズ4回目であるのでそういう手は使いたくない。
 到着時間帯を19:00〜23:59にしてみたが、今度は21時50分羽田着などの空港がどうしても入ってしまい、これでは自宅到着が深夜になってしまう。
 結局、出発時間帯を12:00〜15:59にしてみた。現地滞在時間は減ってしまうが、元より「ぶらっと出かけるだけの旅」であるから、それで構わない。
 それでも検索結果は、釧路・三沢・松山・徳島・熊本の5つのうちから4つが出てくるだけであった(もう選択肢がないようである)。ということで、最近訪問している熊本を避け、釧路・三沢・松山・徳島の選択肢で申し込みを完了させた。釧路なら根室本線の東端部分(花咲線)、三沢ならばJR八戸線と三陸鉄道、松山ならば伊予鉄がある。徳島はネタに乏しいが、鳴門にある大塚国際美術館に行きたいと思っていたので、JR鳴門線辺りでお茶を濁そうかと思う。
 7月の三連休に四国に行く予定でありできれば松山と徳島は避けたいところであるし、三沢も前々回に訪問した青森の隣りであるので同様であるが、6月はもう北海道の観光シーズンの始まりである。ということで北海道は無理かと思っていたが、翌日に判明した結果は、意外にも釧路であった。

@東根室駅にて

■2018.6.16
 ということで、いつもは始発に近い列車で最寄駅を出たりしていたが、今日は余裕がある。12時前に羽田空港に着き、12時45分のフライトで釧路へ飛び、定刻より10分ほど遅れた14時30分に到着した。たまには、こういう余裕のある旅程もいいものである。

@久々の釧路空港

 連絡バスに乗り市内に向かうが、釧路駅までは行かない。というのも、せめてもの鐡ネタということで、雄別鉄道の廃線跡を巡ることにしている。
 この移動案は、出発日の朝に思いついたものである。根室まで往復JRはつまらない→往路はバスにしてみる→バスの乗り換えは駅までいかなくても可能→乗り換えられる付近で何かないか探す→雄別鉄道情報発見、という具合である。
 「鳥取大通5丁目」バス停で降り、しばらく北上すると、川沿いに路盤跡を発見した。「湿原の夢ロード」というサイクリングロードになっている。

@こんな感じ

 廃線跡がサイクリングロードになるのはよくある話だが(幅的に最適)、廃線から50年弱経過し、両脇にある木々も並木のように成長しており、なかなか綺麗な景観である。
 その道を歩き続けると、その名も「雄鉄線通」という名称の大きな道路にぶつかる。こちらも廃線跡だが、4車線の立派な道路であり、鉄道の残り香は見つけられなくなる。
 なお雄鉄線通に近い民家の敷地に、SLの車輪と短いレールがある。少し見つけ難い場所にあるし、なぜここにあるのかも不明である(趣味?)。

@なぜここに

 そのまま大通りを歩き続け、労災病院に到着した。根室行の「ねむろ号」には、ここから乗ることにしており、今朝電話で予約を入れてある。
 ほどなくして、ねむろ号がやってきた。車内に乗客は皆無であり、私だけである。

@まずはバスから

 市内の他の病院を経由し、10分ほどで釧路駅に到着した。さてどれだけ乗ってくるのかと思ったら、なんと1人だけである(つまり全乗客で2名)。
 釧路駅を出発すると、市南部をぐるっと経由して、また駅近くに戻ってきた。とてつもなく変なルートである。
 そこで気づいたのだが、経由しているのはいずれも大病院(総合病院)である。つまりこのバスは、厚床や根室方面の沿線住民が、乗り換えなしで釧路の各病院に通うためのバスなのである。だから、診療のない土日は運行本数が少なく、乗客数もこの有り様なのであろう。

@釧路川を渡る

 駅近くに戻ってからは、根室本線とほぼ並走する国道を走り続けた。先ほどまでは快晴であったが、少し曇って来てしまっている。

@線路を跨ぐ

 厚岸付近の高台で、運転手が交代した。駐車場にはもう1台のバスがいて、これは根室方面から来ているものである。想像するに、こうすることで根室交通の運転手は根室に戻ることができ、くしろバスの運転手も同様に釧路に戻ることができるのであろう。

@シカ注意(旅行記として今後の「伏線」)

 久々に「町に来た」と思わせる厚岸を過ぎると、景色はまた草原的なものになっていった。この辺りはレンタカーや、古くはバイクツーリングで何回か通ったことがあるが、バスの良い点は「自由に景色を見ることができる」という点であろう。

@JRの鉄橋

 厚床を過ぎると、JRは半島の南側、国道は半島の北側へと別れていく。JR側は落石付近からの高台からの景色が望め、国道側は風連湖などを拝める。鐡旅と称しながら往路をバスにしようと思ったのは、これも理由の1つである。
 温根沼付近では、急に道路脇に十数名のカメラマンが現れた。どうやら、タンチョウ鶴を狙っているようである。

@実はこの写真にも豆粒状で写っています

 急に大規模チェーン店舗が現れ始め、根室に到着した。もう1人の乗客は駅で降り、私は宿に近い最後の車庫まで乗っていった。
 宿は車庫から歩いて3分程度である(往路をバスにした理由に、実はこれもある)。それにしても、気温は5度くらいであり、防寒着があってもかなり寒い。
 安宿に投宿し、すぐ近くにある小さいスーパーへ。それにしても、海鮮の安いことときたら。両手に余るような大きさの魚や、ミニサイズの魚が10匹くらいも入っている袋が、たったの98円である(1匹10円?)。それ以外にも、地元産の鮮魚は軒並み激安であった。

@激安

 100円くらいの激安刺身(2種類)や干物を選び(安宿にはキッチンもあるため、干物を焼くことができる)、120円の煮付けも籠に入れ(これでも充分安いが、鮮魚の安さと比較すると高く感じてしまう)、さて残すは締めの食事である。同店舗は「やきとり弁当(肉は豚肉)」が有名らしいが、「鹿肉弁当」なるものを発見したので、それにすることにした。
 最果ての町で、最果てらしい晩餐である。

@左下が、別撮りの鹿肉弁当

■2018.6.17
 昨晩は早く寝たため、3時半に起きてしまった(この時期の道東では、もうすでに明るい)。そのままサッカーのワールドカップをテレビで見て、6時頃から散策に出かけた。
 まずは、宿からほど近い明治公園を適当に歩いた。ガサガサと動く気配がしたのでそちらを見ると、なんと鹿の群れである。この辺りでは、珍しくもないのであろうが。

@昨日は食べてしまってごめんなさい

 その後は市内を適当に歩き、20年以上前にお世話になったライダーズハウスなどを見に行ったりした。
 さて、市内散策での些末な鐡ネタであるが、根室港貨物支線跡である。港までの路盤跡であり、それらしき遺物は残っていないが、街並みに対して不自然な痕跡はいかにも廃線跡という感じである。

@昔は貨物が走っていた

 宿に戻り、荷物を纏めてから根室駅に向かった。
 これから乗るのは、8時22分の釧路行である。始発(5時31分発)に乗らずにこれにしたのには、理由がある。というのも、つい先日の6月1日よりJR北海道が、花咲線(根室本線の釧路−根室間)の一部列車で観光向けの停車時間延長・徐行運転をすることを開始しており、この8時22分発がまさにそれに該当するのである。

@貫禄の1両編成

 定刻に根室を出発すると、あっという間に東根室である。最東端の駅として有名であるが、ここで2分停車することとなる。
 ホームにはJR北海道の腕章をしたおばさん2人がいて、カウンターで数えている。おそらく、実際に一時下車する観光客がどれくらいいるのか(影響がどのくらいあるのか)を調べているのであろう。車内には地元民を含めて10名弱ほどいたが、下車して写真を撮ったのは私を含めて2名であった。少しは、貢献できたかもしれない。

@ホームから撮影できる

 ふと気づくと、花咲駅が消されて西和田駅になっている。JR北海道は利用客の少ない駅を順次閉鎖しているが、その一環なのであろう。
 同駅出発後は、ひたすら人工物のない景色の連続である。時折警笛を鳴らして減速するのは、鹿のせいである。

@逃げる鹿たち

 落石を出発すると、この列車の次の観光客向けサービスとして、徐行運転区間となる。高台から海を見下ろす区間であり、今日は残念な曇り模様であるが、晴天ならば素晴らしい景色が拝めるであろう。

@無念

 姉別や浜中などいくつかの駅では、駅構内にルパン三世関係のキャラを見つけることができる(作者が浜中出身のため)。茶内で行違った車両も、ルパンカラーであった。

@ルパンお出迎え

 列車は、厚岸到着前の湿地帯でも徐行運転をした。JR北海道に一言改善案を提案するとすれば、簡単なアナウンス(「東根室は日本最東端の駅です。こちらで2分停車します」「ただいま、〇〇を通過しております」)があったほうがいいのではないだろうか。私のようにニュースを事前に知っているのならまだしも、そうでない人にとっては、ただ単に出発が遅れている・徐行している、というように思われかねない。

@湿地帯

 9時57分に厚岸に到着し、ここで下車した。運行本数が少ないため途中下車の選択肢は限られるが、悩んだ挙句、馴染みのある厚岸で降りることにした。
 まずは、漁連が営業している売店まで20分ほど歩いて向かい、その後は駅方面に戻って道の駅に向かった。お馴染みの場所(もう片手以上は訪れている)だが、ちょうど昼前であり、いつもは満員で入ることができないレストランが開店直後で1人なら入れそうであったので、カキを頂くことにした。

@せっかくなので豚も

 食後、歩いて駅に戻ると、駅の敷地内に鹿がいるのを発見した。森の食料が不足気味なのかもしれないが、市内は車通りも激しいので、事故が心配である。
 列車の出発までまだ時間があるため、駅の南側を適当に歩いていると、今度は公園内にも鹿である(もう、野良猫並みの遭遇率である)。

@間近で撮影

 それでも30分ほど時間が余ったので待合室でこの旅行記を書いたりして時間を潰し、12時37分発の釧路行快速「はなさき」号に乗り込んだ。やってきたのは、ルパンカラーの車両である(茶内で行き違っていたので、この展開は読めていた)。今回の旅は、結果的には「鹿とルパン」になりつつある。

@銭形

 停車駅はこの先なく、釧路までノンストップである(急行の称号を与えてもいいくらいである)。私も特にすることはなく、海や草原を眺めるだけである。
 13時18分に到着し、13時40分発の空港連絡バスに乗り継いだ。もうあとは東京へ戻るだけである。

 「どこかに鐡」シリーズは、いつも安上がりである。今回は釧路から根室までの距離があったため、初めての旅費1万超えも予想されたが、結果は9,490円であった(宿泊でポイントを少し使ったが、それがなかったとしても1万円以下である)。いずれにせよ、懐には優しい旅である。

@路線バスもルパン(空港バスではありません)

 

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