【どこかに鐡@】広島空港編

■はじめに
 さて、旅に行くための新テーマである。巡礼の旅(四国お遍路や西国三十三など)を終えた後は、「猫鐡」と称して猫島+鉄道のコラボレーションを追い求めた。それも昨年秋に一段落し、次のテーマを選ばなければならない。
 そこで目を付けたのが、2016年末よりJALが提供し始めた「どこかにマイル」という制度である。往復でたったの6,000マイルであり、行先は4つの候補からランダムに選ばれるというものである。
 国内の各地方はもう行き尽くしている感が強く、「どこに再訪するか」と考えてもすぐに答えが出ない。上記のサービスを利用すれば、半強制的に行先が決まるため、その付近の鉄道ネタを再訪すればいいことになる。また、仮に毎月これを利用すれば、年間の旅費のかなりを削減できるというメリットもある。

 第1回目を3月最後の週末にし、申込可能となる初日(往路の1か月前)に上記サービスの申し込みサイトを訪問した。
 色々検索したが、どうしても北海道の空港が多く出てきてしまう。個人的に北海道は好きだが、鉄道ネタという意味では乏しく、まだまだ雪も多い時期であるため、本州で魅力的な組み合わせが出るまで何回か検索を繰り返し、「青森」「南紀白浜」「松山」「広島」の候補が出たところで、申し込みを確定させた。
 青森は津軽鉄道や弘南鉄道などの私鉄が頑張っているし、南紀白浜に近い紀州鉄道も御無沙汰である。松山にも、伊予鉄がある。ということで結果を待っていたが、結果は広島空港であった。「久々感」は一番薄いが、鐡ネタには困らないだろう。
 ということで、広電などが頭をよぎったが、3月31日といえば三江線の運行最終日である。お祭り騒ぎは個人的に好きではないので、最終日の喧騒には参加したことはないが、よりによって最終日に広島空港を引き当ててしまうとは、これはもう、「最後までお付き合いしなさい」という鐡の神様(?)の思し召しかもしれない。つい1か月前に「今度こそ最後」と言って三江線を訪れたばかりであるが、再訪することにした。

@備後落合駅にて

■2018.3.31
 9時過ぎに羽田空港に到着し、いつものパターンでラウンジへ。出発15分くらい前に搭乗口へ向かった。先述した通り6,000マイルだけで追加料金もなく、しかも今回は現地での移動も余っている青春18きっぷ2回分を使用し、空港前後の移動などもICカードが使えるため、週末旅行をしていながら出費は三次での安ホテル代だけという、懐に優しいプランである。

@広島行

 無料で乗るようなものであるが、機内は満席であった(早めに申し込めば、この手の便でも宛がわれるようである)。
 11時20分頃に広島空港に到着し、路線バスで白市駅へ。ここからは、ひたすら三次を目指す。

@駅付近の桜も6分咲き

 広島で乗り換え、芸備線に2時間弱揺られて、14時55分に三次に到着した。三江線が出発するホームには、最終列車に乗ろうとしている人がもう並んでいる。
 さて、私は夕方に出発する三江線に乗車、とはならず、今日は三江線には乗車しない。最終日ということで「積み残し」もあるかもしれないし、一番怖いのは、「復路で乗れない」というパターンである。ということで、最終列車を見送るだけの予定である。
 それまで待っていても仕様がないので、3分で乗り継げる備後落合行に乗り込んだ。

@久々です

 14時58分に出発し、長閑な景色の中を走り続けた。最初はちらほらと乗客がいたが、備後庄原などの大きな駅で降りてしまい、終点の備後落合まで乗っていたのは私を含めて2人だけであった。もう1人も同業者(鉄道旅行)であるから、まともな乗客はゼロである。三江線は耐え切れずに今日が最後であるが、芸備線の山間部もなかなかの危険水域である。

@大雪の日に来たこともある駅

 折り返しまで1時間ほどあるため、山間を適当に歩いて時間をつぶした。
 17時15分発の列車で、三次へと戻った。少し時間があったのでスーパーで夜用の食材を買い、駅から徒歩10分弱の場所にあるホテルに荷物を置いて、再度三次駅へと戻ってきた。
 それにしても、1か月前に来たばかりの都市にわざわざ来るというのも、変な感覚である。

@この掲示も今日が最後

 ホーム上は、19時34分発の三次発最終列車を見送ろうとしている人で、大賑わいであった。しばらくしてドアが開いたが、2両編成の中は混雑しているものの、「乗り切れない」というほどではなかった。

@「三次発」の最終列車(三江線としての最終列車は、江津着の列車)

 出発直前になると、ホーム前方でセレモニー(運転手への花束贈呈とTVインタビュー)が始まった。今日は午前の列車でも同様の行事があったようであり、また江津側でも同様であり、さらに出発時だけでなく到着時にも行事をしているようである。

@山のような報道陣

 広島からの列車との連絡を待ち、定刻から5分ほど遅れた19時39分、数秒間にわたる長い長い警笛を合図に、最終列車は出発していった。

@さようなら

 三次駅としての最終列車は20時40分に到着する列車であるが、それまで待っていても仕様がないので、今日はもうお開きである。
 ホテルへ戻り、半額総菜などで一献を始める。ホテルは三江線の路盤のすぐ横にあり、奇遇かな、私の部屋は線路側であった。酔いの回った20時40分頃に窓を開けてみたが、なかなかやってこない(遅れているようである)。10分ほど経過してからディーゼルのエンジン音が聞こえたので、過ぎ去るヘッドライトを見送った。正真正銘、これが最後である。

@翌朝、ホテルの部屋から撮影(今日から「廃線跡」)

■2018.4.1
 さて、今日はまず久々に福塩線に乗ることにしている。
 6時頃に駅に行ってみると、夜のうちに作業をしたのか、「三江線」と名の付く掲示物(電光掲示を含む)はすべて撤去・交換されていた。唯一残っていたのは三江線の各駅に付けられていた神楽愛称駅名であるが、「三江線」という表記は含まれていないので、これは残してもいいのであろう。

@唯一の残り香

 6時14分発の府中行に乗り込む。1時間20分ほど乗車し、河佐で下車した。ダム建設によってトンネルが開通し、それに伴って廃線となった区間を訪れるためである。
 まずは、河佐峡へ向かった。廃線跡巡りが主目的であったが、桜のきれいなことときたら。まだ6分咲きくらいであるが、なかなか美しい。

@良い季節に来た

 キャンプ場(廃線跡に含まれる)の桜を愛でてから、対岸の道路を歩いていくと、左手にコンクリート製の廃線が見えてきた。

@遊歩道として整備されている

 さらに進んでいくとダムと公園があり、廃線跡はコンクリート橋を経てトンネルへと繋がっていた。廃線跡巡りは、ここまでである。それにしても、ダム周辺の桜もかなりの見ごろであった。

@トンネル入口

 公園内に入り、遊歩道として整備されている廃線跡まで行ってみた。赤いポールが置いてあるだけで遊歩道に入れそうではあったが、キャンプ側の入口が閉鎖されていたのを見ていたので、そこは歩かずに訪問時に歩いた道路を経由して河佐駅へと戻った。
 9時08分の列車で府中へ行き、駅近くにある道の駅で地場産の野菜を買ったりして、福山経由で尾道へ向かった。ここでは、ただ単に普通の観光である。

@桜満開であり、波のような大量の観光客(含外国人)であった

 それでもまだ時間があるため、山陽本線で西条まで行って久々に酒蔵のある街を散策して、白市に戻ってバスで空港へ向かった。広島発は便数が多く、1便前に空席があったのでそちらに変えてもらい、あとはラウンジで適当に酔ってから帰るだけである。

@西条の松尾神社も桜満開

 

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