モロッコ鐡旅前後(リスボン・ミュンヘンのプチ鐡)

■はじめに
 今年の年末年始はモロッコで過ごすことにしたが、直行便がないため途中でトランジットをすることになる。通常は1か所で済むが、今回は特典航空券であるため、2か所で乗り継ぐことになってしまった(往路はフランクフルトとリスボン、復路はリスボンとミュンヘン)。
 往路の場合、当初はその日のうちにカサブランカに着く予定であったが、アライアンスの便に時間変更があり、どうにも乗り継げなくなってしまった。そのうち復路でも時刻変更があり、こちらも行き詰まってしまった。そこで航空会社のオペレーターに相談し、往復ともリスボンで1泊する変則旅程にしてもらった。
 そうすることにより、乗り継げるようになることはもちろん、リスボンで半日程度の余裕も生まれるため、ちょっとした鐡旅をすることも可能となった。復路でもミュンヘンでの滞在時間が1.5時間から8時間に増えたため、こちらでも寄り道することが可能となった。

@リスボン(トラム博物館)にて

■2017.12.28
 深夜の便で羽田を出発し、早朝5時半頃にフランクフルトへ。ここで6時間ほどの時間があったため当初はどこかに行くことも考えたが、「すでに訪問済の都市である」「朝早くて施設等は空いていない」「夜明けで明るくなるのが遅い」「とにかく寒い」などの状況を考慮して、結局ラウンジで過ごすことにした。

@ソーセージがあればラウンジでも文句なし

 11時40分発のポルトガル航空に搭乗し、約3時間でリスボンに到着した。意外と大行列であった地下鉄の切符の自販機に並び、復路の際の移動のことも考えて15ユーロ分を購入した(紙のチケットだが中にICがあり、積み増しも可能である。紙代0.5ユーロ)。

@これで移動

 地下鉄に乗車し、市内へ向かう。一旦ホテルに行って荷物を置いてもいいのだが、そこまで大きな荷物ではないので、その足のままでまずはトラム博物館へ向かうことにしている。
 アラメダで地下鉄を乗り換え、カイス・ド・ソドレ駅へ。ここで近郊鉄道の列車に乗り換えることとなる。
 地上駅へ向かい、落書きだらけの近郊列車に乗り込んだ。地下鉄でここまで来ているが、ある意味「ポルトガル初鐡」ということで、少しく緊張である。

@地下鉄よりこちらの方が「その気」になる。

 わずか2駅(4分)だけ乗車して下車し、そこからは歩いて博物館に向かった(トラムで向かった方がすぐ近くまで行けるが、近郊列車に乗ってみたかったのである。なお、近郊列車も地下鉄と同じカードで乗車可能である)。
 地図を見ながら歩き、ほどなくして博物館に到着した。料金は4ユーロであり、展示物は普通の内容であるが、他の旅行記でも記述されている通りここで特筆すべきことは「敷地内を昔の車両で移動してくれる」ということである。展示物の最後のコーナーで待っていると、旧型トラムがやってきて運転手が案内してくれた。

@これに乗ります

 1人だけだと少し気まずいが、幸い3人の家族連れ(しかも小さい子供あり)が一緒にいてくれたので、気さくな運転手はそちらの相手に集中してくれた。
 車内の内装は奇麗に整えられており、大昔に舞い戻ったかのような感覚である。

@古い

 年季の入った車両は敷地内の駐車場などをすり抜けて走り、車庫のような建物に向かって行った。この建物には数多くの車両が展示されており、売店も併設されている。

@色々あり

 旧いトラムに乗って戻ってもいいのだが、歩いて敷地内を戻り、走っているそのトラムを撮影したりして、博物館観覧は終了である。
 さて、戻りはトラムと地下鉄を乗り継いでホテルに向かう予定である。カイス・ド・ソドレ方面に行くトラムを待っていると、反対側に走っているのはクリスマスラッピングされた車両であり、しかも運転手がサンタコスチュームであったので、そちらの写真を撮ることにした。

@クリスマスはもう終わっていますが

 サルダーニャ駅付近にあるチェーン系のホテルにチェックイン。近場の店舗でのビールの入手に困ったが(同じ欧州でも、コンビニのような店ですぐに手に入るベルギーとは大違い)、マクドナルドで買うという手を思い付き、そこでなんとか揃えることができた。ナゲットと共に酔いどれて、就寝。

■2017.12.29
 今日は昼過ぎの便であるため、それまでに近郊列車に乗ってシントラまで行くことにしている。当初はロシオ駅から乗ろうと思っていたが、地図を見たらホテルからエントレカンポス駅まで歩けるくらいの距離であったので、そうすることにした。

@まだ暗い高架駅

 駅舎に入り、ホームに上がる階段の近くにあるカードをかざす機械を見ると、×印が付いている。何か所か見たがどこも同じであり、しょうがないなと思って切符を買おうとすると、券売機までサービス中止である。仕方ないので窓口に行ったら、「You don't need to pay」と言われてしまった。よくわからないが、無料のようである。
 ホームに上がり、ほどなくしてやってきた7時07分発のシントラ行に乗り込んだ。欧州の夜明けは遅いので、まだ景色を見ることはできない。

@こういう車内

 7時半を過ぎると明るくなってきたが、シントラが近づくにつれて今度は濃霧である。結局、これといった景観を見ることはできなかった。
 霧に包まれて、7時45分にシントラ到着。

@市内から近いです

 シントラには宮殿などいくつか観光スポットがあるが、この時間ではまだ開いていない。とりあえず徒歩で、宮殿方面へ歩いてみた。道端には芸術品(オブジェ)などが並び、巨木や旧い町並みなど、なかなか趣のある町である。

@その一例

 町の雰囲気を感じてから、復路は裏道を通って駅へと戻った。
 シントラ駅でも不具合は継続中であり、地元民も「カードをかざす」「自動改札に拒否される」「窓口に行く」「何か言われて切符は買わずに列車へ」という流れに従っており、私もそれに倣い、帰りも無料で乗ることにした。

@北側正面には駅舎あり(到着時は西出口から出た)

 中心部にあるロシオまでは、約40分である。ほどなくして到着したが、見るからに壮大な駅舎であり、近郊列車がちまちま発着するだけではもったいないような駅であった。
 その後は、市内をおのぼりさん的観光。大聖堂+トラム的な雰囲気を堪能した。

@リスボン名物

■2018.1.3(モロッコからの戻り)
 始発の地下鉄で最寄りの駅を出発し、空港へ向かった。大混雑の荷物検査を過ぎ、フライト時間ギリギリで搭乗して乗り継ぎ地であるミュンヘンに向かった。3時間ほどで到着。
 今日はミュンヘンで8時間弱の乗り継ぎ時間がある(前後の移動やチェックイン時間を考慮しても、市内で2時間以上は時間がある)ため、「ドイツ博物館 交通センター分館」に行くことにしている。まずは空港駅に向かい、一日乗車券の購入である。

@これがお得

 地下駅に移動し、13時08分頃に出発した電車に乗り込んだ。それにしても、路盤の安定していること。日本と同じくらいであるが、先進国でない国の列車に乗った後であるため、殊更その安定感が染み渡る感じがする。

@並走するハイデッカー車両(観光用?)

 中心部で地下鉄に乗り換え(上記のチケットで乗れる)、博物館の最寄り駅であるシュヴァンターラーヘーエで下車した。博物館はすぐ目の前にあるため、迷うことはない。
 6ユーロを支払い、中に入る。鉄道以外に車やバイク、自転車などの展示もあるが、とりあえず鉄道関係からピックアップしつつ見学していった。

@市電もあり

 次の展示室に行くと、旧い機関車や客車、高速鉄道やケーブルカーなど、なかなかの充実具合である。全部紹介する紙幅はないが、鉄道(のみならず交通手段全般)に興味がある人は、訪問しても損はない施設であろう。

@展示例

 なお前述した通り、鉄道以外の展示も豊富である。個人的には、この辺りの展示も興味がある分野であるので、つい時間をかけて見入ってしまった。

@これ以外に、ウィリアムズ・BMWもあり

 1時間超ほど滞在し、まだ余裕があったためしばしミュンヘン中央駅付近を散策したりしてから、空港へ向かった。ラウンジでシャワーを浴び、往路のフランクフルトと同様にソーセージで締めを、と思ったが、どうやら今日はミートローフのようである。もちろんこれでも充分であるので、スペイン・モロッコと続いてきた鐡旅を締めくくることとした。

@ビールが美味い

 

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