【非鐡の旅D】LCCで行く沿岸バスの旅

■はじめに
 今年度(2012年度)は日本国内におけるLCC(格安航空会社)の展開が目まぐるしい年であり、いくつかのLCCが初便を運航させている。
 それらは単に運賃が安いというだけであり、特に何も珍しいものでもないが、今回はそれを利用して北海道へ行ってみることにした。目指すのは、北海道で私が唯一未踏である離島、天売島である。

@成田空港にて

2012.9.7
 朝の3時台に起き、最寄駅を431分発という信じられないような時間帯の列車で東京駅へ向かう。そうすることで東京駅500分発の成田空港行バス(キャンペーン価格で800円)に乗ることができ、空港に6時頃に着くことができた。航空券だけ安くては意味がないので、その他の手段も最安を考えてみた次第である。確かに安いことは安いが、かなりしんどい時間設定ではある。
 空港1階にあるエア・アジア用の待合空間で案内を待ち、6時半過ぎに荷物検査を受けた。プレハブ小屋のような待合室を過ぎ、バスで案内され、飛行機の手前でそのまましばらく待たされて搭乗する。国内では珍しいが、海外ならばこの程度は我慢できる範疇であろう。

@飛行機の手前でおあずけ

 機体後方のタラップから、機体内に入る。座席間隔の狭さは、マレーシアやインドネシアで何回かお世話になったあの間隔と同じである。日本人である客室乗務員の化粧まで東南アジアのそれと同じようになってしまうのは、エア・アジアならではの魔力であろうか。
 成田を飛び立ってしまえば、あとは他の国内線となんら変わりはない(無料の飲み物など、あってもなくても同じである)。航空券代は6千円以下だが、これからも利用するかどうかは暇と体力次第である。
 新千歳空港着は、定刻よりも5分程度早着であった。JRで乗り換え、空き時間で札幌市内を適当にぶらつく。新しくできた地下道では、北海道新幹線にちなんだクイズイベントが行われいてた。当然のように全問正解したが、福引の結果はハズレであった。

@残念賞として、ファイルとティッシュをもらった

 札幌駅バスターミナル11時20分発の、留萌行バスに乗り込む。これに乗るのは2回目だが、滝川経由は初めてである。最初から片手くらいしか乗客がいなかったが、次第に少なくなり、滝川では私1人になってしまった。そこから乗ってきた客が2人いたが、それでも3人だけである。
 留萌着は14時10分過ぎ、すぐ近くにある沿岸バスの建物で、今日から2日間使用するフリー切符を購入した。その名も「萌えっ子フリーきっぷ」である。この切符を使用するのも2回目であるが、「乗降時に提示するのに多少の勇気がいる」という珍しい切符でもある。

@趣味で買うのではなく、旅行のために買うのです(と見せる度に言いたい)

 留萌発14時25分、留萌市内を過ぎると、ひたすら国道232号線で北上していく。この国道を走るのはもう何回目かわからないが(バイクツーリングやレンタカー、稚内行のバスなど)、日本海に沿って行くのでその景色はいつ見ても飽きがこない。

@海(車内から撮影です!)

 右手には、昭和62年に廃線になった羽幌線の跡(鉄橋やコンクリートなど)が時折見える。廃線からすでに25年経過しており、15年前にツーリングで来た際にはもっとたくさん残っていた気がするのだが、やはり風化には勝てないのだろう。

@橋の跡

 出発時は14?15人いた乗客もそのほとんどが近距離で降り、車内は閑散としている。遠別を過ぎると、ついに私1人だけになってしまった。
 終着の幌延で降り、スーパーで夜用の食材を買い揃えてから、幌延駅の待合室で時間を潰した。
 幌延発1847分の最終バスで豊富温泉へ向かう(乗客は私だけ)。すっかり暗くなった中、予約済みの温泉宿に投宿し、石油臭い独特の湯に浸かってから一献へ。ここの湯は、アトピー気味の私の肌にはとてもよく効くものであり、今回で2回目の経験だが、やはりこの日の晩も体が痒くなることがなかった。

2012.9.8
 北海道らしくない暑い日差しの中を散策し、猫と戯れてから、830分発の留萌行バスに乗る。

@本当はサロベツ原生花園方面に行こうとしたが、土日運休のバスが多くて断念

 昨日とまったく同じルートを、ひたすら南下していく。運転手は時折無線で連絡を取っているが、どうやら温泉施設などを迂回するか否かを問うているようである(乗客がいないことがわかれば、寄り道せずに直行してしまうというシステム)。
 廃線跡などを時折見つけながらバスに乗り続けること2時間半、1100分に栄浜というバス停で降りた。この近くには、数年前にうに丼を食べた「ココカピウ」という店があり、ぜひとも再訪したいという願いからわざわざやってきたのである。しかし、昨日の夕方には外に出ていた「うに」の看板が、今日に限って玄関の中に置かれている。嫌な予感がして店に近づいてみると、なんと完売してしまったというではないか。

@無念

 仕方なく、羽幌方面へ向かうバスがすぐに来たのでそれに乗り、羽幌市内で昼食を頂くことにした。実は、羽幌にも目をつけておいた店があるのである。
 羽幌高校バス停で降り、歩きながら今日の天売の宿に連絡をする。捨てる神あれば拾う神ありで、「○○プランでお申込みされてますけど、今日は漁でうにが揚がったので、プランを海鮮バーベキューに変更しますね」とのことであった。
 さて、昼食に訪れた店は「北のにしん屋さん」というところである。ここはここで、コストパフォーマンスが非常に良い店であった。

@これで1,300円(見えないところにアワビまであった)

 歩いてフェリーターミナルへ向かい、天売行の切符を購入する。先述の「萌えっ子フリーきっぷ」があると、運賃が1割引きとなる。
 小さなフェリーは、定刻の14時00分に出航した。天売までの所要時間は1時間35分、途中の焼尻までは行ったことがあるが、天売は初めての訪問である。

@巨大オロロン鳥(頭上のウミネコはおまけ)

 ほぼ定刻に天売に到着し、宿の車に荷物だけを預け、レンタルバイクで島を回り始めた。小さい島であり、1時間もあれば十分である(ただし急坂が多いので、体力に自信のない人は自転車は避けた方がいいだろう)。

@島の景色

 その後は宿へ行き、海鮮尽くしのバーベキューを頂く。腹もいっぱいになり、海の音が聞こえる部屋で横になった。
(海鮮バーベキューは豪華だったが、小出しで饗される故に1枚の写真に収められないため、割愛)

■2012.9.9
 天気予報では、午前中から雨になる予定である。朝食を頂いた後は、雨が降る前に島の中ほどにあるフットパスの歩道を歩いておく。道案内には地元の高校生手作りによる石の標識などがあり、なかなか心温まるものであった。

@手作り感たっぷり

 午前10時頃から、雨が降り始めた。港まで送迎してもらい、10時25分発のフェリーに揺られること1時間45分、羽幌港に到着した。すぐにバスに乗りたいところだが、ほどよい時間のものが土日運休のため、しばらく時間がある。雨の中、町内を適当に歩いて観光施設などを見たりして、その後は昨日と同じ店に行って「えび丼」を頂いた。

@これはこれで美味でした(700円)

 この後は、留萌行のバスに乗り、その後は札幌行のバスに乗る予定で、そして東京へは当然飛行機である。復路もLCCにすればいいのだろうが、結局は到着後の利便性やマイル等に惹かれてしまい、普通にJAL便である。
 留萌行のバスに乗り込む。しばらくすると、右手に例のうに丼の店が見えてきた。今日は、しっかりと「うに」の看板が外に出ていた。

@宿の部屋から見えた焼尻島

 

■ 鐡旅のメニューへ戻る

 「仮営業中」の表紙へ戻る

inserted by FC2 system