乗り潰しと乗り直しの旅

■はじめに
 今回の目的地は、韓国である。もうかなり乗りつくした感はあるが、探せば落穂はまだまだ出てくる。今回は、昨年末に開通したSRT(水西高速鉄道)の乗車と、KTXの浦項への新線に乗るのが主目的である。
 上記以外にも、韓国の在来線では大幅な路盤の作り直し(ほぼ新線状態)が各所で行われており、今回乗車する慶全線についても、前回乗車時(5年半前)に「ほぼ新線」と言えるような高架が長距離にわたって工事中であったのを見ており、どうやらそれも完成しているので、「乗り直し」に近いものがある。

 KORAILの乗車券はこれまで何度もネットで買っているが、どうやらシステムが変わったようである。これまではネットで予約し、その予約票とクレジットカードを駅などの窓口に提出して発券してもらっていたが、今回はネット乗車券のようなものが送られてきた。どうやら、これを印刷すればそのまま乗れるようである。
 SRTに関しては、ネットで予約決裁できるのは韓国のクレジットカードだけのようである(サイト自体も韓国語表記)。ハードルが高いため、現地に着いてから入手するしかない。

 三連休であるため、飛行機はどこも高い。かなり前にアシアナ航空のサイトでそこそこの値段のものを発見しておき、それを決裁しておいた。

【旅程】
1日目:羽田から金浦へ飛び、地下鉄で水西へ。SRTの切符を入手し、光州松汀へ。在来線に乗り換えて光州まで移動(光州泊)。
2日目:1本の列車で慶全線を横断。その後、釜田から慶州まで移動(慶州泊)。
3日目:いったん在来線で浦項まで行き、KTXで新線経由で釜山まで移動。金浦から羽田へ。


@水西駅にて

■2017.7.15
 羽田から金浦へ飛び、地下鉄でソウルへと移動した。もうずいぶんと見慣れた光景であるが、取り急ぎウォンの手持ちが少なくなっていたので、いつもの場所で両替をした。

@見慣れないものもあり(本当に開催できるのか?)

 地下鉄駅へ戻り、水西へと向かった。地下鉄自体は飽きるほど利用したことがあるが、水西方面は始めてであるので少しだけ戸惑いつつも、なんとか辿り着くことができた。
 地下鉄駅を出ると、SRT乗り場方面への案内が大きくあるので迷うことはない。

@左へ曲がる

 時刻は13時50分。自動券売機があったので操作してみたが、次に発車する14時10分はすでに満席であり、その次の15時20分もほとんどない状況である。急いで操作を進めたが、最後の決裁画面になってどうにも進まない(まさか自販機も韓国カードのみ?)。
 結局諦めて人がいる窓口に並んだが、もう売り切れであった。大人しく、その次の16時15分発の列車を購入した。待ち時間が長くなってしまったが、窓側を確保できたのでヨシとしよう。
 時間が余ってしまったので、駅の反対側に行ってみた。こちらの方が正面口であり店舗等も多く、地下鉄側は裏口であったことを知った。

@広い

 特に見るものはなく、外を歩くにしてもスコールのようなものが降ってきてしまったので、その後は待合室でPCをつついたりして時間を潰した。
 しばらくして乗り場案内の表示が出たので、ホームへ向かった。見た目はKTXぽいが、違うといえば違うとも言える。

@初乗り(汚れている)

 客車部分は8両編成であり、そのうち3号車が特室(1等車)である。車内のデザインはKTXに似ているが、改善してくれたところ(足元部分にあったテーブルが上に移動して日本方式に)もあるが、改善されていない部分(クーラーが窓の下から出るため顔に当たることや、ブラインドが2列一緒のため前後の人に閉められてしまう)も残されたままである。

@自席はここ

 車内にある画面では、英語や中国語、日本語での案内も表示されていた。
 定刻の16時15分、ゆっくりと出発した。しばらくはトンネル内の走行である。16時31分に東灘に到着し、ほぼ満席となった。
 その後は、トンネルを出たり入ったりを繰り返し、しばらくして普通の路盤を走るようになった。前評判は聞いていたが、確かに「ガタガタ」という感じで揺れは大きい。在来線に比べれば気にならないが、日本の新幹線とは比較にならない気もする。

@雨は上がった

 17時06分に公州に到着。ここから先が、KTXの専用路盤として初乗りとなる区間である(従来の路盤でなら乗車済み)。
 あっと言う間に快走し、17時24分に益山に到着した。以前ここのモーテルに宿泊した際は駅の大工事中であったが、それが完成している。

@ホームは古いまま

 2分後に同駅を出発し、専用路盤を快走し続けて17時52分に光州松汀に到着した。こちらにしても、まさに「あっと」言う間である。ずいぶん前に在来線で走ったときは、かなり遠かったような記憶がある。
 今日のホテルは、盲腸線で飛び出している光州駅の近くである。地下鉄では味気ないし、せっかく両駅間をムグンファ号が走っているので、それに乗ることにしている。
 そう思って改札の外に出たが、券売機のようなものが見当たらない。窓口で買うほどの距離ではないし、出発時刻(18時05分)も迫っているので、ホームに行って乗るべき列車の車掌室にいた車掌に光州松汀までに切符を見せながら「車内で買いたい」ようなジェスチャーをしたところ、了承してくれたようなので乗り込んだ。
 出発後、すぐに車掌が来たので切符を売ってもらった。韓国では数え切れないくらい切符を買っているが、車内で買ったのは初めてである。

@買えた

 それにしても、車内は閑散としている(数えるほどの乗客)。前回来たときは、光州松汀は見た目も小さな乗換駅であり、逆に光州駅はKTXも出発する主要駅であった。しかし2015年にKTXの乗り入れがなくなり、両駅の間はこのような寂しいシャトル列車が往復するだけの区間となってしまった。
 18時20分、光州到着。駅前に出たが、ホンダのディーラーなど、ちょっと覚えているところもある。

@地味になった?

 ホテルは駅から歩いて5分程度のところである。ホテルといってもほぼ「モーテル」であるが、最近は予約サイトでこういうところも予約できるようになったので便利である。
 コンビにで韓国ぽい食材や弁当を買い揃え、いつも通りに酔いどれてから就寝。

■2017.7.16
 今日は10時33分発の列車に乗ればいいため、かなり時間がある。ということで、まずは歩いていける距離にある良洞市場の散策である。
 と言っても、前回は賑やかな時間帯に訪れたが、今回は日曜+朝ということで人もまばらである。市場内の店はまだ開いてなかったが、場外にある店などを見て回った。

@ぼちぼち営業

 その後は、ちょっと離れているが芸術通りの方まで散策をした。
 さて、これから光州駅に向かうが、かなり距離があるので地下鉄を利用することになる(光州地下鉄は初体験である)。
 切符の買い方がよく分からず、日本語案内もあるのだが、料金等が不明である。しかしよくよく見るに選択肢はない(=たぶん一律料金)であるため、大人の料金(1,400ウォン)を購入した。

@適当に操作して購入

 光州まで移動し、まだまだ時間があるためコンビニでおにぎりやフライドチキンなどを買ったりして待合室で頂いた。
 それにしても、巨大な駅舎である(高速鉄道が開通するとどこでもそうなるが。日本も人のことは言えない(木古内とか…))。

@意味なく比較(旧駅舎と新駅舎)

 これから10時33分発の釜田行に乗り、5時間半も乗り続けることになる。先週の英国での7時間に続き、またしても長時間乗車である(なおこの列車は木浦始発であり、そこから乗るとさらに1時間増える)。
 10時34分、予定到着時刻より2分遅れて列車が入線してきた。宛がわれた座席は、窓との相性が良いところであった(運が悪いと「ほぼ壁」になることあり)。

@入線

 遅れをそのまま受け継いで出発。しばらくは昨日の光州行の列車と同じ路盤を走り、しばらくしてそれが左手に分かれて行った。朝に歩き疲れたこともありしばしウトウトとしてしまったが、駅に停まる毎に少ないながらも乗降がある。所によっては、意外に山深いところを走行することもある。

@この辺りは旧い路盤のままのよう

 ぼんやりしているうちに12時38分に順天に到着したが、ここで多くの乗客が乗り込んできて乗車率は9割以上となった。
 同駅を出発すると、「新線ですか?」と言いたくなるような路盤(高架+トンネル多し)である。所々で、使用されなくなった古い路盤や橋脚が残されているのが見える。

@あちらはもう用済み

 一番驚いたのは、13時30分に到着した北川である。駅前付近一帯がコスモス畑で有名な駅であったが、新駅はそれらを見下ろす高台(高架)にあり、どうやら旧駅はレジャー施設に変容したようである。

@レールバイクらしきものあり

 ほぼ新線区間を乗り続け、時折打ち捨てられた旧セマウル号の車両を見かけたりして、定刻から5分遅れの16時06分に釜田に到着した。
 駅前の大きな市場でキムパッ(海苔巻き)を買い、16時40分発の列車に乗り込んだ。今日はこれで慶州まで行ってそこに泊まる旅程である。
 しかし、以前は海が奇麗に見えたこの路線であるが、短絡線が完成してからはほとんど見えなくなってしまっている。今でも月内駅を過ぎた頃に少し見えるが、その辺りも路盤が工事中であったので、そのうち「海なし路線」になってしまうのかもしれない。

@もう勘弁して(何を?)

 18時22分に慶州に到着し、駅から徒歩5分程度の距離にある新しい安ホテルに投宿(結構良かった)。
 釜田で買ったのは海苔巻きだけなので、何かないかと繁華街を探したが、これといったものがない。結局、最近の韓国=チキンということで、チェーン店でそれを買ってツマミとした。

@短絡的に

■2017.7.17
 7時17分の列車(東大邱から来た列車がスイッチバックをする)に乗り込み、定刻に出発。しばらくは普通の路盤を走り続ける。時折、浦項へつながるKTXの路盤と交差していく。

@帰りはあれの上を走る

 しばらくして、右手に旧路盤(旧浦項駅まで繋がっていた路盤で、廃線済)が分かれ、こちらの路盤は真新しいKTXの路盤へと吸収されていった。7時51分、浦項到着。
 それにしても、周囲に何もない駅である。この路線がこれから北上する(工事継続中)という事情もあるにしても、もう少し街に近い場所にできなかったものかと思う。それでも駅付近は、今後の発展を期待してか、造成工事真っただ中という感じであった。

@大工事中

 そのうちショッピングモール等ができるのかもしれないが、今は巨大な駅舎が持て余し気味にいくつかの店舗を抱えているだけである(従業員も暇そう)。いずれ路盤が東海岸を横断するようになれば、少しは事情が変わってくるのかもしれないが、今は「場違い感」がかなり大きい。
 駅付近を散策しても面白くなさそうなので(「趣のある商店街」などあるはずもないので)、待合室でPCを突いたりして時間を潰した。
 さて、あとはKTXに乗って新線区間を乗車するのみである。

@これでソウルに帰る

 

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