長距離フェリーで韓国へ行ってみる

■はじめに
 夏季休暇を2日取得して4連休としてみたが、まだ8月ということもあり日本国内はどこも混雑気味であるし、チケット等も値段が高い。
 そこでふと思い付いたのが、大阪から釜山へ行く国際フェリー(パンスタークルーズ)である。船での出国は、稚内からロシアへ、博多や厳原(対馬)、境港から韓国へ行ったことがあるが、今回は初めて大阪から出国することとなる。もちろん夏はそれなりに混雑するが、日韓関係が冷え切っている今ならチケット入手は楽勝である。
 韓国での鐡ネタは、少ないが以下である。
・花本駅訪問
・韓国初のモノレール乗車
・2017年10月に新規開業した東海線(浦項〜盈徳)乗車

【旅程】
初日:空路大阪へ移動し、17:00出航のフェリーに乗船(船内泊)。
2日目:昼過ぎに釜山到着。プチ観光後、釜田から慶州へ移動(慶州泊)。
3日目:花本駅訪問。大邱に移動してプチ観光(+モノレール乗車)をしてから、東海線に乗車(慶州泊)。
4日目:釜田へ移動し、空き時間でプチ観光してから、午後のLCC(エアプサン)で成田へ。

@盈徳駅にて

■2019.8.23
 今日は大阪に移動するだけである。できるだけ安く仕上げたいが、昼行バスでは少し時間的に厳しく、「ぷらっとこだま」では芸がない。そこであれこれ検索してみたところ、ANAの成田−伊丹便が9,300円であったので、即決してしまった(しかもポイントも使ったので実質3,300円である)。
 10時00分の便で飛び立ち、伊丹空港へ。徒歩で阪急蛍池駅まで移動し、大阪市内で適当に時間を潰してから、今日の夜の食材を得るためにスーパーに向かった(フェリーにもバイキング形式のディナーがあるが、あまりそそられる内容ではなかったので申し込んでいない)。大阪で激安スーパーといえば、やはりここでしょう。

@100円〜120円の総菜をあれこれ購入

 地下鉄でコスモスクエアまで移動し、ここでフェリー会社の無料バスを待つことにした。時刻はまだ14時半である。
 フェリーは17時ちょうど発であり、予約票に「16時までに発券手続をお済ませください」とあるので16時少し前にターミナルへ行けばいいと思っていたが、同じ予約票に「乗船手続締切時間15:00」とあるので、どちらを信じていいかわからない。ということで、後者でも大丈夫ないように移動している。

@バスがやってきた

 14時35分の送迎バスに乗り、14時40分にターミナルに到着した。窓口はまだ空いておらず、やはり16時までに来れば充分であったようである(よく考えたら、無料送迎バスは15時台にも何本かあるので、締切時間が15時では無理がある)。
 15時過ぎに窓口が開いたので、印刷しておいた予約票と乗船名簿を提出し、チケットを発券してもらった。出国手続きは16時15分ということで時間もあるため、ターミナルの3階にある展望室で時間を潰した。

@展望室より

 16時20分頃に手続きが始まり、簡単な出国審査を経て、バスに乗りフェリーへ。エスカレータでフロアに上がると、バイオリンとピアノ演奏に出迎えられた。日本酒と焼酎の試飲会もやっている(もちろん頂く)。
 フロントでキーを受け取って自室へ。冷え切った日韓関係のおかげで、2人用部屋を今日は貸し切りである。

@手振れ写真

 16時53分、定刻前にフェリーは出航してしまった(乗客や荷物が少ないせいであろうか)。しばらく、デッキから大阪の町を眺め続けた。船内は韓国人旅行者で賑やか(ちょっと騒がしい)が、日韓比率は適当に見積もって1対6くらいであろうか。
 予定からすると、18時頃に明石海峡大橋を通過するはずである。それでも眺めようと思っていたが、雨が強くなってきたため諦めることにした。ということで、船内にある大浴場に入ってからは、激安食材で一献の開始である。冷えたビールは船内で買えるし、自室にテレビもあってNHKで野球中継も見られるので、何も問題はない。

@激安

■2019.8.24
 昨日は20時前に寝てしまったため、必然的に4時頃に起床。5時から利用できる大浴場に行き、6時少し前にデッキに出てみた。昨日、明石海峡大橋をやり過ごしたため、せめて関門橋を見るためである。
 天気は良くないが、雨は上がったため、なんとか撮影。

@さらば日本

 船体が日本海に出てからは、特にすることはない(海しか見えないため)。ということで、自室でNHK(今日は大リーグ中継)である。フェリー内の朝食(バイキング)も買わなかったが、ネタのために買ってもよかったかもしれない。
 のんびりと過ごし、12時08分に釜山港に着岸して、12時20分頃に下船した。燃料税等を含めて1万7,570円。激安LCCとの勝負にはならないが、船旅好きの人は試してみてもいいであろう。

@到着直前

 入国手続きを経て、ターミナルの外へ。釜山から博多へジェット船で行ったことがあり、その際もターミナルまで歩いて行ったことがあるのだが、どうにも覚えがない景色である。ターミナル自体も大きくて新しいし、やたらと街からも近い。適当に歩くと、すぐに釜山駅の後ろに辿り着いた。かなり違う場所に移転したようである。
 釜田からの鉄道出発時刻までかなり時間があるため、適当に無料の博物館や市場などを観光し続けた。

@鐡ネタ

 地下鉄で釜田へ移動し、駅近くにある市場を散策して夜用食材(豚足の煮付けの肉部分を薄切りにしたもの)を7,000ウォンで購入してから駅へと向かった。
 これから乗る予定の15時35分発ムグンファ号は、すでに入線していた。ディーゼル機関車を先頭に、客車3両、旧セマウルの電源車という編成である。

@久々に

 定刻に出発。この路線は、以前は海雲台以降しばらく海が見え続ける路線であったが、新線が開通してからはトンネルばかりである。
 出発時からそこそこ混雑していたが、すぐに満席になり、16時以降は立つ人もちらほらと現れ始めた。
 列車は、新しい路盤を中心に走り続けた。電化工事も進められているようである。海の見える区間も、ほんの少しだけ残されているのが幸いである(ただし、以前のように「海際ギリギリ」を走る区間はなくなってしまった)。

@旧路盤は線路撤去中

 その後は昔からある路盤に降り、定刻より少し遅れた17時34分に慶州に到着した。駅から15分ほど歩いた市場近くにある安ホテルに投宿。

■2019.8.25
 今日は9時16分発の列車から始まる。かなり余裕のある設定であるが、そもそも花本駅に停まる列車が上下とも1日に2本しかないのであるから、他に選択肢はない。
 慶州市内の古墳などを散策して時間を潰してから駅に向かい、件の列車を待った。定刻から6分遅れの9時22分に出発。

@ムグンファ号の写真は全部同じになってしまうため、駅の写真で代替

 慶州付近には何回も来ているが、中央線方面に乗るのは久々(たぶん9年ぶり)である。こちらも、所々で電化工事の様子を見ることができた。
 10時27分、花本に到着。6人ほど下車したが、降りてすぐに写真などを撮っており、皆さん観光目当てのようである。
 駅構内でまず目につくのが旧セマウル号の車両である。なおこの車両であるが、車体部分は本物であるが、先頭の運転台部分はハリボテである。

@ということで駅写真を

 瀟洒な駅内部や外見を観察してからは、駅裏手にある給水塔を見学しに行った。
 さて、鉄道関係で見るべきものは以上である。ということで、歩いて5分くらいの場所にある「お父さんお母さんが小さかった頃へ」という施設(廃校を利用した展示施設)へ行ってみた。古い家具や民具なども展示されており、日本の物ならば懐かしくなるような代物であろう。もちろん韓国の物であるが、どことなく底辺では通じるものがあるようであった。

@小豆島の「岬の分教場」を思い出した

 花本駅には鉄道は上下2本ずつしか停まらないが、自動車やバイクでの観光客が意外にたくさん押し寄せていた。小さい街中は至る所にアート作品があり、小ぢんまりしていて「ちょっと観光」するには丁度良いサイズ感であった。駅スタンプもあったので、私個人としても満足である。
 戻りは、11時22分発の東大邱行である。やってきた列車に乗り、揺られること約1時間強、12時38分に東大邱に到着した。まずは、腹ごしらえである。

@有名らしい

 今日は前後の移動の都合により大邱で4時間弱も暇があるが、特に目的があるわけでもない。ただし、韓国発のモノレールだけは見ておく(乗っておく)ことにしている。
 地下鉄で明徳まで移動し、モノレールに乗り換えた(モノレール自体が「地下鉄3号線」という扱いであるため、「乗り換え」という扱いになる)。

@確かにモノレール

 ついに韓国にもモノレールもできたか、という感じである(4年も前の開通であるが)。このまま終点まで乗ってもいいが、少し乗れば充分であるため、わずか3駅目の西門市場で下車した。
 その後は、広い市場や無料博物館を観光し、大邱駅から地下鉄に乗って東大邱へ戻った。
 次に乗るのは、16時28分発の浦項行KTXである。当初電光掲示板では「6分遅れ」になっていたが、いつの間にか定時に戻っていた(危ない危ない)。

@入線してきた

 しかし、結局出発は定刻より4分遅れの16時32分であった。出発後は、のんびりと景色を眺めつつ、無料Wi-Fiでスマホを少しだけつつく。
 ふと気づいたのであるが、私のいる車両はすべての座席が進行方向を向いている(旧KTXは座席が固定だったはず)。いつの間にか、回転式の椅子に取り換えられたようであった。
 17時06分、浦項到着。前回到着時には気づかなかったが、この新駅は構造的に欠陥(設計ミス)がある。というのも、18両編成のKTXが到着しているにも関わらず、エスカレータ1本とエレベータ1個しかないのである。当然のようにエスカレータ前は大行列であり、次に乗るべき17時15分発のことを考えると、私はホームの反対側(先頭側)まで急いで歩いて階段を利用した。
 それはさておき、やっと新線区間に乗車である。

@車両はボロですが、新線区間

 定刻に出発。高架上を走り続け、しばらくすると右手に1本分岐していった(あれが何かは帰国後に調べなければならない→調べたが、海際の現代重工業の工場近くまで路盤が工事中であったことをグーグルマップで見つけたくらいで、詳細な情報は不明であった)。
 さすがに新線区間ということもあり、高架とトンネルの連続でまっすぐ進み続けた。10分ほど走ると右手に海も少し見え、17時27分に月浦に到着した。
 その後も同様に高架+トンネルであったが、ちらほらと海も見え続けた。17時49分、終点の盈徳に到着した。これで新線区間は終了である。
 それにしても、「エスカレータの連続」する駅である。高架がかなり高い位置にあるため、エスカレータでひたすら降りて駅舎に向かい、その後もエスカレータで出口に向かった。

@こんな駅

 折り返しまでは適当に駅付近を散策し(特にこれといったものは発見できず)、駅に戻って18時35分発の浦項行に乗り込んだ。
 盈徳以北も工事がかなり進んでいるようであり、そのうちまた部分開通するのかもしれない(となると、また来てしまうのかもしれないが、ここで途中下車することはないであろう)。

@そのうちまた

 上記の列車で浦項に戻り、3分の乗り継ぎで東大邱行に乗り込んで、慶州着は19時49分。もうこの時間であるから、今日の夜はコンビニ食材である。

■2019.8.26
 さて、今日は帰国するだけである。6時台発のムグンファ号もあったが、昨夜がいつもより遅かったので、今日は8時42分のムグンファ号からである。

@ムグンファ号(いつも同じ写真)

 2日前の逆回しの景色を見続け、10時35分に釜田到着。駅前市場を経由して西面へ移動し、両替や交通カードの積み増しをして、さて向かうのは海雲台である。前半で少し書いたが、海雲台以降は海際を走っており、その路盤などが残っているためである。
 しかし、今日は廃線跡を散策するまでの時間はない。ということで、旧海雲台駅だけを見ることにしている。
 地下鉄に揺られること約30分、海雲台に到着した。旧駅は地下鉄出口のすぐ近くにあり、駅舎も残っている。
 ホームに行ってみたが、「もうこんな大きな木が」と驚くくらいの成長率であった。自然の力恐るべし、という感じである。

@植物だらけ

 ということで、後は金浦空港へ行ってLCCで成田へ飛ぶだけである。1時間強で空港に着いたが、いつものLCCにありがちな「行列攻め」を覚悟していたところ、カウンターはガラガラであった(1秒も待たず)。日本ボイコット運動も関係しているのか、空港自体も閑散としている感じであった。

 

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