年末は関西で居候

■はじめに
 ここ10年ほどは、年末年始は海外で過ごしていた。しかし、今年はこのコロナ禍である。海外旅行などは論外(無理)であるため、国内で過ごすこととなる。
 その国内にしても、北米や欧州ほどではないにしても、都市部ではコロナが蔓延している状況である。特に、人が集まる場所などには行きたくない、というのが本音である。
 そこで思い付いたのは、都市部の通勤列車などである。年末年始は企業や学校が休みであるため、ガラガラが予想されるから、密にもならないであろう。「観光旅行」には成り得ないが、「私鉄乗り潰し」として実行することにした。関東圏と比較して関西圏の方に落穂が多いため、そちらの安ホテルに巣篭っての実施である。私は大学から大学院まで9年間も関西(兵庫県西宮市)に住んでいながら、私鉄に関してはいくつか乗り残しがあるのである。
 使う切符は、「カンサイスルーパス2dayチケット」である。この切符は、交通カード「スルッとKANSAI」が使用できる鉄道やバスが2日間乗り放題であり、料金はたったの4,400円。1日当たりの価格で考えれば、JRの青春18きっぷよりもお得な設定である。旅程は12月26日から31日までの6日間として、この切符を2枚(4日分)購入し、中日と最終日はJRの大阪近郊区間の「大回り」乗車をしてくることとした。
 ・・・という塩梅で、かなり前(10月末くらい)にホテルや航空機の手配を終えたが、出発の約10日前に突然発表されたのが「GoTo一時中止」である。しかし、これに影響されてホテル代は若干高くなったが、そもそも激安であったし、それ以外は全く影響がなかった(高級旅館などをツアーで押さえていた人は、大きな影響があったであろうが)。それに、GoToで予約していればキャンセルしても無料であるが、私のように「普通の航空券を買っている」場合は、無料キャンセルの対象外なのである。そういう面も考慮しなければならない。
 後は、そもそも論として「行くべきかどうか」という点が残っているが、空いている通勤列車に乗るだけであるし、人の多い繁華街や観光施設には一切寄らない予定であるため、独り善がりの解釈ではあるが、決行することとした。もちろん、感染対策は忘れずに(いつも以上に)実施である。サブテーマは、「ホテルチェックイン時以外は、なるべく人と口を利かない旅」である。
 乗車対象路線であるが、未乗車の線区だけでは物足らないため、スルッとKANSAIで乗車できるすべての路線を対象とした。ただし、日程の都合もあり、以下は省略である。
「3日間有効のフリー切符で乗車済みである、近鉄の各路線」「関西1dayパスの『びわ湖チケット』で乗車済みである、京阪の該当路線」「土砂崩れで運休中の区間がある叡山電鉄」「地下鉄(大阪メトロ)のうち、すでに乗車済みの区間」
 上記を外して机上で旅程を練ったところ、ちょうど4日分(いずれも6時前くらいに出発して19時くらいに帰宅、というか帰ホテル)で落ち着いたため、旅程はこれで確定である。

@妙見口駅にて

■2020.12.26
 意外に混んでいた7時25分発の便に乗り、羽田から大阪伊丹空港へ。モノレールの駅に行き、コンビニ発券してあるバウチャーを磁気の切符に交換した。今日は、阪急の神戸側や神戸電鉄などを中心に攻めることにしている。
 なお、切符にはパンフレットと、さらに各観光施設が割引になるクーポン券が付いているが、今回は「人が多い観光施設には行かない」ことがテーマであるため、残念ながら活用しない。

@切符のみ活用

 モノレールで1駅だけ乗って蛍池に行き、そこで阪急宝塚線に乗り換え、またしても1駅だけの石橋阪大前で降りて、箕面行に乗り換えた。箕面まではすぐであるが、ここは大学在学中に来た思い出がある。
 すぐに折り返すのももったいないので、「もみじの天ぷら」で有名な街を10分くらい散策してから折り返しの列車に乗り込んだ。

@石橋阪大前駅にて

 石橋阪大前からは再度北上し、川西能勢口で能勢電鉄に乗り換え。能勢電鉄と言っても、見た目は阪急そのままで車両横に「のせでん」と小さく書いてあるだけであるが。
 9時54分に川西能勢口を出発し、まずは日生中央へ。ベッドタウン(何もない)であるため、すぐに折り返し、山下で乗り換え、妙見口へ向かった。なかなか長閑な景色であり、「こんな近くに鄙びた路線があるのに、なんで学生時代に来なかったのだろう」と思ったくらいであった。今日の車内も、良い塩梅のガラガラ具合である。
 なお、「阪急そのまま」の能勢電鉄であるが、山下以北で接続用に運転されている短編成はオリジナルカラーである。

@こんな感じ

 10時31分、地方ローカル線の終着駅のような妙見口に到着(表紙写真)。このまま奥の妙見山まで観光したいところであるが、残念ながら割愛である。
 すぐに折り返し、川西能勢口へ。阪急に乗り継いで宝塚へ行き、今津線に乗り換えた。この路線は私の母校があるところであり、ほぼ各駅に思い出があると言っても過言ではないが、冗長になるため省略したい。
 11時30分に西宮北口に到着し、同じく今津線の今津行に乗り換え。大昔(私の知らない時代)は、神戸線と直角に線路が交差していたが、今は完全に分断されている。

@西宮北口以南は学生時代もほぼ乗っていない

 今津へ移動し、阪神電鉄に乗り換えて神戸三宮に向かった。上述した通り大学から大学院まで西宮にいたため、行きつけの豚まん屋や元町高架下など、神戸には思い出のある場所がたくさんあるが、今回は割愛である。というか、かなりの人出であり、すぐにでも退散しなければならない。
 地下鉄の三宮から谷上行に乗り込み、12時34分に到着した。ここからは、久々の神戸電鉄である。

@ローカルっぽい感じ(しかし人は多め)

 神戸電鉄の大部分は大昔に乗車しているが、三田方面の末端にある公園都市線は未乗車であるため、それに乗ることが目的である。
 13時06分に横山に到着し、目的の公園都市線に乗り換えてウッディタウン中央へ。それにしても、周囲には住宅しかない駅である(ベッドタウンなので当然であるが)。
 すぐに折り返し、横山と有馬口で乗り換えて有馬温泉へ。ここでやっと、30分ほどの空き時間があるため、徒歩観光である(折り返す列車がないわけではなく、この後に乗車する粟生線の本数が少ないためである)。

@久々に

 それにしても、かなりの人出である。おそらく、GoToが明日(27日)まで有効だからであろうか。店舗内などは密集度合いもかなり高いため、お買い物をする気にもなれない。
 あれこれと歩いてから駅に戻り、14時39分発の列車に乗り込んだ。有馬口と鈴蘭台で乗り換え、ここから先は粟生線である。粟生線に乗るのは、途中から分岐していた三木鉄道がまだ現役であったころ以来である。長閑な景色の中を走り続け、16時00分に粟生に到着した。

@すぐに折り返す

 16時10分発で折り返し、新開地へ。そこから先は阪急神戸線に乗り換えて、途中にある盲腸線2本(甲陽線と伊丹線)に乗ってホテルに向かうだけであるが、残念ながらもう日は落ちてしまって景色を見ることができない。ということで、単なる乗り潰しだけである。

@可愛い絵はゲット(甲陽園にて)

 十三で乗り換えて南方に行き、歩いて安ホテルへ。巣篭りの宿は、5泊で13,000円(1泊当たり2,600円)と激安であるが、GoToで押さえていた時は約8,600円で、しかも地域共通クーポンが2,000円分あったので、それと比較すれば高くなった気がするが、よくよく考えればこれでも十分に激安である(ちゃんとした部屋のホテルであるし、しかも、シングルの1.5倍もある大きさの部屋に上げてくれていた)。
 夕食材も激安スーパー(玉出)で揃えて、一献してから就寝。

■2020.12.27
 今日は、京都と大阪北部を攻めることにしている。
 西中島南方5時49分発の列車で淀屋橋に向かい、京阪の駅に向かった。6時07分発の列車に乗り込む。

@先頭撮影できず

 定刻に出発したが、この時間ではまだ暗くて外を見ることはできない。しかし、「ひらパー」の車内広告を見ると、「大阪に来たなぁ」としみじみ思わせてくれる(関西の人だけ分かってください)。
 じきに明るくなり始め、枚方市で私市(きさいち)行に乗り換えた。今日も、「盲腸線潰し」の旅である。

@今度は正面から撮影

 先頭に陣取り、6時37分に同駅を出発した。私市ですぐに折り返して枚方市に戻り、準急に乗り換えて石清水八幡宮へと移動。この駅からケーブルカーが出ており、件の切符で乗車可能であるため、それに乗るためである。観光要素の薄い(ほとんどない)今回の旅においては、こういったアクセントは最重要コンテンツである。

@ケーブルに乗る

 3分で山頂まで移動して、国宝である神社本殿を参拝。急いでケーブル駅まで戻り、8時00分の列車で下山。石清水八幡宮駅へ移動して、京都方面の列車に乗り継いだ。8時06分発。
 車内広告には、1,600円の京阪フリー切符の宣伝がある。実は旅程を練る際、各社のフリー切符を組み合わせることも考えたが、意外と煩雑であり、今回の切符が一番お得であることに落ち着いたのであった。
 中書島(ちゅうしょじま)で乗り換え、宇治へ。さすがに宇治まで来てすぐに折り返すのはもったいないため、平等院につながる参道だけを歩いて(中には入らず)、駅へと戻ってきた。

@宇治駅にて

 8時57分の列車に乗り、六地蔵で下車。しばし外を歩いて地下鉄の六地蔵駅へ移動して、ここからは京都地下鉄の乗り潰しである。地下鉄の乗り潰しは、正直言って面白いものではないが、「乗っていない線区がある」というのももどかしいため、今回の機会を利用しての実行である。
 スマホと友達になりながら、まずは烏丸御池まで移動して、別系統に乗り換えて国際会館まで移動した。最近の地下鉄はホームドアや壁などがあって撮影できないものが多いが、ここは一般の鉄道と同じような感じである。

@京都地下鉄

 すぐに折り返して南下して、終着の竹田で近鉄線に乗り換えて、桃山御陵前まで移動した。この付近は酒蔵などがたくさんあって風光明媚なところであるが、実は別件で先月に来たばかりであるため(そもそも、今回の旅行は「観光要素削除」であるため)、そちらには向かわない。
 すぐ近くにある京阪の伏見桃山駅へ移動して、三条まで行き、そこから再び地下鉄に乗って太秦天神川まで移動した(地下鉄制覇)。地上に上がり、嵐山電鉄に乗り込み、帷子ノ辻で乗り換え、未乗区間である北野線に乗り込んだ。

@1両編成

 終点の北野白梅町で折り返し、再度帷子ノ辻で乗り換えて嵐山へ。
 さて、せっかくの嵐山であるから、旅程では少しだけ散策することにしてある。しかし、実は朝に京阪に乗った際、ふと路線図を見て、2008年に開業した中之島線のことをすっかり忘れていたのに気づいたのである(未乗車線区)。そこで、今日は各地での散策タイムを削減して(宇治は例外)、かなり切り詰めて移動してきたのである。よってここでもまっすぐに阪急の嵐山駅(少し遠い場所にある)に向かって歩いた。ここで乗り込んだのは、12時44分発の列車。この時点で、本来の旅程よりも1時間前倒しに成功である。

@阪急の車両はどれでも似たようなものになってしまうので…

 桂まで移動して、特急に乗り換えて大阪梅田方面へ。茨木市で降り、各駅停車に乗り換えて南茨木まで移動して、さてここからはモノレールである。
 連絡通路を渡ってモノレール乗り場に行ってみると、なんだか人だかりがしている。よくよく見てみると、13時過ぎから運転を停止しているというではないか(しかも全線)。今日はこれから、モノレールを手掛かりに北大阪急行線や阪急千里線に乗り、最後は地下鉄谷町線などで仕上げる予定であったが、これでは大混乱必死である。
 その場で待っても仕様がないので、すぐに南茨木駅に戻って電車に飛び乗った。代替案であるが、最初に、上述した中之島線に乗ることにしたのである。他線区乗車中にモノレールの復旧状況を確認し、運行再開をしたらモノレール作戦再開、である。

@南無

 飛び乗った列車が、幸いにも淡路から分岐して天神橋筋六丁目から地下鉄に乗り入れる準急であったため、そのまま乗り通し、北浜で下車した。そこから歩いて「なにわ橋」駅に向かい(地下通路の案内板で迷ってしまったため、地上に出て移動)、地下深くにある中之島線の駅へ行き、しばし待ってやってきた列車に乗って中之島に向かった。

@まだ掘削できる?

 この時点で14時を過ぎており、モノレールのウェブサイトを確認したところ、ちょうど運転を再開したところであった(まだ遅れあり)。ということで、モノレール再び、である。
 中之島線で天満橋まで移動して、そのまま地下鉄谷町線で太子橋今市へ。今里筋線の乗り残し区間である井高野まで往復してから、モノレールとの接続駅である大日に向かった。
 この時点で、ダイヤは定刻に戻っていた。手書きの掲示板によると、運休の原因は「停電」とのこと。

@やっとモノレールに

 その後は、モノレール全線(彩都線含む)を乗り通し、蛍池から阪急で淡路まで戻り、阪急千里線に乗車、再度モノレールに1駅だけ乗り、北大阪急行線と地下鉄御堂筋線を乗り継いで西中島南方に戻ってきた。到着時間は18時22分。トラブルがあった割には、本来の旅程より早く戻って来られた(しかも1ネタ追加できた)ので、良しとしよう(その代わり、街歩きはほとんどできなかったが)。

■2020.12.28
 さて、今日はJR大阪近郊区間の特例を活用した「大回り」の日である。1周目は、新大阪から東淀川までの切符で、和歌山・奈良・加茂・柘植・草津・高槻乗り換えでの移動である。ますます旅行記に成り得ないが、参考程度に記しておきたい。
 まずは6時08分発の列車で大阪に向かい、大阪から環状線で天王寺に向かった。ここからは、紀州時快速で和歌山に向かう。

@関空行(前側)に乗らないように

 6時45分に出発。薄暗い中を走り続け、明るくなってくると、朝から降っていた雨も止んできた。7時49分、和歌山到着。
 次に乗るのは8時20分発の和歌山線であるが、その前に弁当の購入である。というのも、今手にしている切符(130円)だけでは地元に全くお金を落としていないため、弁当くらいは購入しなければならないし、観光要素がない=旅行記用のネタがないため、そういう意味でも必要である。まだ朝ということもあって柿の葉寿司しかなかったが、3種類入っているものを購入した(大回り乗車の場合、途中下車できないため、駅構内にある売店は重要である)。
 それからホームに向かったが、入線してきた2両編成の列車は、残念ながらロングシートであった。これでは、駅弁の雰囲気ではない。

@残念

 和歌山線に乗るのはかなり久々(20年ぶりくらい?)であるが、おぼろげな記憶を頼ると、前回もロングシートであったような気がする。駅数が多くて頻繁に停車し、そして景色も地味であったことも思い出してきた。
 定刻に和歌山を出発。最初はちらほらと乗客もいたが、近距離利用が多いようで、次第に空いてきた。これならば、弁当も不可能ではない。9時頃にはかなりガラガラになったので、片隅で寿司タイムである。

@3種類あり

 地味な景色を眺めつつ、途中から桜井線に乗り入れ、奈良には11時10分に到着した。10分で接続する加茂行に乗り継ぎ、加茂からは関西本線(2両のディーゼルカー)に乗り継いだ。

@「本線」です

 関西本線には何度も乗っているが、名古屋方面から乗り継いでくるパターンが多いため、加茂から乗るのは初めてかもしれない。大きな川が沿う部分が多く、景色が地味であった和歌山線とは大違いである。
 12時38分に柘植に到着し、ここで下車した。ここから先は草津線に乗るが、これまたかなり久々の乗車である。
 しばらくして、13時01分発の列車が入線してきた。

@草津線だけに草色?

 定刻に出発し、草津から先は新快速に乗って高槻まで移動して、高槻で各駅停車に乗り換えて、14時51分に東淀川に到着した。これで1周目は終了である。
 2周目は、東淀川から新大阪までの切符(130円)を買って、京都・木津・尼崎で乗り換える「ミニ大回り」である。近郊列車ばかりであるので、特筆することもないであろう。予定通りに回って、新大阪には18時28分に戻ってきた。

@その途中の写真(木津駅)

 安食材を揃えて、ホテルへ。3日目ともなると、思わず「ただいま」という感じである。

■2020.12.29
 今日は、「南海電鉄の日」である(泉北高速鉄道を含む)。南海電鉄は路線数も多いため、乗車済みである空港線を除外したりしても、ほぼ1日がかりなのである。
 5時59分発の列車で西中島南方を出発し、なんばで下車して南海の難波駅へ。まずは6時29分発の橋本行である。古い車両であるが、こちらの方が先頭部分に座席があって前方を見渡せるため(かぶりつき席)、ありがたい。

@人少なし

 まだ暗い中、定刻に出発。じきに明るくなり、最後は小さな峠を越えて7時18分に橋本に到着した。昨日も「大回り」でこの駅(JR併設)を通っており、再訪である。
 ここから乗り継ぐのは、2両編成の極楽橋行である。

@橋本−極楽橋専用機

 7時22分に橋本を出発。この路線には何度も乗っているが、ちょっとした山岳路線のようであり、毎回楽しい。
 車輪を軋らせながらゆっくり走り続け、8時06分に極楽橋に到着した。ここから先はケーブルカーになるが、今回利用している「カンサイスルーパス」で利用可能である。ということで、今回の旅程で唯一の観光要素と言っていいくらいの、高野山詣でである。

@ケーブルに

 ケーブルに5分ほど乗車して高野山に行き、そこからバス(これも上記切符で乗車可能)で奥の院前まで移動して、久々に奥の院を訪問した。その後は歩いて「一の橋」まで移動して、開店前の商店街などを散策してからバスで高野山に戻り、ケーブルで極楽橋まで降りてきた。
 なお極楽橋駅であるが、今年の7月にリニューアルされており、奇麗な天井画が非常に印象的であった。

@こんな感じ

 さて、唯一の観光要素が終わり、今日の残りは昨日までと同様の「盲腸線巡り」である。まずは橋本まで降りて、そこから難波行に乗って北野田で下車、各駅停車に乗り換えて中百舌鳥までやってきた。ここからは、初乗車となる泉北高速鉄道である。
 いくら9年も関西に住んでいたとはいえ、観光要素のない泉北高速鉄道には乗る機会がまったくなかった。今回のような試みがなければ、ずっと放置していたかもしれない。
 11時56分の列車で、和泉中央へ。これで制覇である。

@これで戻る

 難波行の列車で折り返し、天下茶屋で乗り換えて羽衣まで移動した。続いては、高師浜線である。13時29分発に乗り込み、たったの3分で高師浜に到着した。
 それにしても、短い線区である。沿線住民にしても、南海本線の駅まで徒歩や自転車で行ける範囲である。「なんでこんな線区ができたのだろう」と思ってその歴史をスマホで調べながら移動していたところ、高架化のために来年春から3年間運休になるとのニュースに行き当たった。ということで、羽衣に戻ってからは、それ(高架)も見えるアングルで写真を撮り直した。

@背後上部が高師浜線高架になる

 13時54分の関空行急行で泉佐野まで行き、そこで各駅停車に乗り換えてみさき公園へ。続いての盲腸線は、多奈川線である。
 多奈川線を軽く片付けてからみさき公園に戻り、特急サザンで和歌山市へ。続いての盲腸線は和歌山港線であるが、この路線の本数が少なく、今日の旅程作成のボトルネックであった(最初は午前中に和歌山方面を片付けようとしたが、この線区が理由で諦め、高野山を先にしたのであった)。
 ホームに向かうと、待っていたのは「めでたいでんしゃ」というラッピング車両であった。

@観光向け

 外装だけでなく、内装もかなり凝っている。ただ単にシールを貼ったりしているだけではなく、つり革も形がそれぞれ違っていたり、本来は広告があるスペースにもあれこれ飾ってあったりする。

@乗客はあまりいませんが

 15時40分に和歌山市を出発して、和歌山港へ。1駅だけの盲腸線であるが、調べてみたところ、2005年までは途中駅があったようである。
 その名の通り、海が見える部分もある。ラッピングされているクラゲを通して撮影すれば、1葉の絵のようにもなるだろう。

@クラゲと海

 5分で終着の和歌山港に到着。目の前にはフェリーターミナルもあるので、機会があればここから対岸(徳島)まで乗ってみたいものである。
 折り返しまで6分しかないため、駅付近を散策しただけで和歌山市に戻った。次に乗る加太行との接続時間はたったの1分だけであり、先ほど和歌山市駅に到着した際に下調べをしたのだが、7番線(和歌山港から)と3番線(加太へ)はかなり離れており、諦めていた。しかし、和歌山市到着時(定刻15時55分)にスマホを見ると、まだ54分台である。実質1分ちょいあれば可能かもしれないため、ダッシュで3番線に向かったところ、ギリギリセーフであった。
 大急ぎであったため撮影はままならなかったが、こちらも「めでたいでんしゃ」の姉妹号であった。

@車内にあったもの

 定刻の15時56分に出発。和歌山港線ほどのガラガラではないが、こちらもかなり空いている。なお、途中で行き違った別編成は普通の車両であったため、ダッシュしたおかげでラッピング車両に乗れたとも言える。
 小駅にいくつか停まりながら、終着の加太には16時19分に到着した。ちょっとぶらぶらしてみたい良い雰囲気であるが、折り返しまで4分しかないため、撮影だけである。

@やっと車体撮影

 和歌山市に戻り、17時00分発の特急サザンの自由席(先頭かぶりつき席)で府内に戻った。ホテルに帰宅である。

■2020.12.30
 今日は、阪神沿線の盲腸線やライナー、神戸地下鉄、山陽電鉄を中心に攻め、最後は大阪府内の落穂拾いをすることになっている。
 今日も早朝にホテルを出て、地下鉄で梅田まで移動して、阪神の大阪梅田駅へ。6時00分発の特急は、山陽電鉄の車両であった。少し古いが、クロスシートであるのが有難い。

@今日はこれから

 定刻に出発。このまま姫路まで突っ走るのも面白そうであるが、今日も「盲腸線潰し」が目的である。ということで、わずか7分で到着した尼崎で降りて、各駅停車に乗り換えて武庫川に向かった。まずは、武庫川線に乗るためである。
 兵庫県の南部に長いこと住んでいたが、武庫川線には縁がなかったため初物である。まだ真っ暗であるし、大雨も降っているが、初めての路線に乗るのは楽しいものである。
 待っていたのは、阪神タイガースカラーの車両であった。

@ご当地車両

 片道5分で終着の武庫川団地前まで往復し、武庫川に戻ってからは各駅停車で魚崎に移動した。続いての目的は、六甲ライナーである(こちらも初物)。
 連絡橋を渡って六甲ライナーの駅に向かい、7時13分の列車に乗ってまずはJRとの接続駅である住吉に向かった。折り返し、マリンパーク行に乗り込み、六甲ライナーを制覇。再度折り返し、魚崎まで戻ってきた。

@外観の撮影ができないため代替で

 魚崎からは再度阪神電鉄に乗り、神戸三宮へ。続いてはポートライナーである。こちらについては、学生時代にバイトで使ったり、社会人になってからも神戸空港の関係で何回か利用したりしたことがある。
 8時10分発の神戸空港行に乗り、終着まで。折り返しに乗って市民広場で降りて、周回する系統に乗り換えて三宮まで戻ってきた。

@こちらも外観の撮影が不可能のため

 地下鉄の三宮駅に向かい、続いては西神中央へ。学生時代、神戸グリーンスタジアム(当時)に行くために途中まで乗ったことはあるが、終着駅まで来たのは初めてである。
 西神中央から折り返しの電車に乗り、板宿で下車。ここからは山陽電鉄である。時々海を見ながら、特急で飾磨まで移動。ここで山陽網干行に乗り換えるが、この区間は初めての乗車である。

@盲腸線巡り再び

 11時14分の列車で山陽網干まで行き、そのまま折り返し。飾磨から山陽姫路に向かい、ちょうど12時00分に到着した。
 さて、昼時であり、姫路で有名な駅そば(駅構内ではなくて店舗の方)にでも行こうかと思っていたが、山陽網干を出発したころから大雨になってしまっている。「では駅弁でも」と思ってJR姫路駅まで行ってみたが、お土産屋とコンビニしか見当たらない(駅弁は駅構内の模様)。結局、コンビニで駄菓子だけ買ったのであった。

@姫路ネタ皆無に

 直通特急に乗り込み、12時23分に山陽姫路を出発。空はまさかの快晴である(こんなに極端な通り雨は珍しい)。
 なお、このまま大阪梅田まで突っ走るのではなく、まだ神戸市内の落穂がある。板宿で下車し、地下鉄の山手線に1駅だけ乗り、地下鉄の海岸線に乗り換えた。この路線は初乗車である。
 終着の三宮・花時計前で下車し、阪神の神戸三宮から板宿に戻ってきた。意味不明なぐるぐる感であるが、これで神戸の鉄道は乗り終えたことになる。

@板宿駅のコンビニは山陽電鉄仕様

 板宿から直通特急に乗り、一路尼崎へ。なお、最前部に座って前方を眺めていたのだが、強風の影響で「淀川橋梁は45キロ」の制限が出ているようであった(無線による情報)。
 尼崎で乗り換え、15時09分の列車で九条へと向かった(それにしても、「奈良行」の列車にここから乗ることができるとは、時代も変わったものである)。

@奈良まで1本で

 九条で下車し、地下鉄に乗り換える。なお、私が指摘するまでもないことであるが、この駅では「地下にある阪神電鉄(一般の鉄道)」から「地上(高架)にある地下鉄」に乗り継ぐという、奇妙な体験をすることになっている。
 「地上を走る地下鉄」に乗ってコスモスクエアに到着してからは、南港ポートタウン線に乗り換える。学生時代にバイトでATC(アジア太平洋トレードセンター)に来たり、旅行でフェリーターミナルに何回か来たりしたことがあるため、懐かしい限りである。

@これまた外観の写真が撮れないので

 しばらくして、住之江公園に到着。ここで、旅程を変更して昨日の落穂を拾わなければならない。というのも、本来の旅程では昨日の夕方遅くに南海汐見橋線に乗ることにしていたが、そうするとホテルに着くのが遅くなるため(和歌山から大阪までの特急に乗れないため)、「明日でいいや」と先延ばしにしていたのである。
 ということで、難波で乗り換えるために四つ橋線に乗り換えたが、難波では地下鉄の駅と南海の駅が遠かったことを思い出した。そこでネットで地図を見ると、地下鉄の花園町駅と南海の萩ノ茶屋駅が近いことを発見し、そこで乗り継ぐことにした。まさに「ぶらり途中下車」である。
 いわゆる「あいりん地区」に隣接する地域を歩いて、萩ノ茶屋駅へ。各駅停車で岸里玉出まで行き、そこで汐見橋線に乗り換えた。
 16時25分に岸里玉出を出発。汐見橋線、それにしても不思議な路線である。こんな都心にあるのに、2両編成で1時間に2本だけ。各駅のホームも短く、踏切は多い。時代から取り残されたような、昭和感の残る深い味わいのある線区であった(また乗りに来たい)。

@駅も良い雰囲気

 汐見橋駅のすぐ近くにある阪神の桜川駅から1駅だけ乗り、ドーム前へ。すぐ隣にある地下鉄のドーム前千代崎から、長堀鶴見緑地線に乗り込んだ。これまで、仕事やプライベートでもまったく縁のなかった同路線を制覇して、これで大阪の地下鉄はすべて乗車したこととなった。

@記念に1枚

 その後は、同路線で心斎橋まで戻り、北上して西中島南方まで戻り、ホテルに帰宅である。

■2020.12.31
 さて、今日は午後の便で自宅に戻るだけであるが、その前にまたJRで「大回り」をすることにしている。まずは、新大阪から塚口までの切符を買い、加古川線経由で行くことにしている。
 5時54分の快速に乗り、一路加古川へ。ここから加古川線に乗り換えである。1本では乗り通せないため、まずは7時17分発の西脇市行に乗り込んだ。

@2両編成

 のんびりと、うっすら雪景色の中を走り(昨晩から大寒波で日本海側の路線は運休続きである)、8時15分に西脇市に到着した。ここで4分の乗り継ぎで谷川行と接続するが、なんと倒木の影響で運転が停まっているという。ただし、対処は終わって復旧した模様。
 極寒の中で10分ほど待っていると、「新たな倒木があり、運行再開は未定」とのアナウンスがあるではないか。窓口へ行き、事情を確認する。なお、大回りの場合は規定により改札の外には出られないが、優しい駅員さんが改札を通してくれた。これで、暖房のある待合室で待つことができる(あのまま寒空の下にいたら、風邪をひいていたかもしれない。駅員さんに感謝である)。

@予想外の途中下車

 駅前にあった自販機で熱いコーヒーを買い、それを飲みながら待合室内でこの旅行記を書いたりして30分くらいすると、やっと体の震えが止まってきた。
 なお、ここで駅員さんから追加情報があり、「倒れているのが竹で、それが複雑に線路に絡まっており、かなり時間を要す」とのことであった。私(大回り中)に関しては、証明書を書くので、出発地(新大阪)に戻るぶんには元来た路線に乗って戻ってよいとのことであった(この対応も感謝である)。
 なお、この駅(西脇市)には思い出がある。今から30年以上前、この駅がまだ「野村」であった頃(鍛冶屋線廃止直前)に加古川線に初乗車をして、その際にこの駅で3分くらいの停車時間があったため、猛ダッシュで跨線橋を渡って窓口で硬券の入場券を買ったのである。今現在の跨線橋や窓口を見ると、なんだか昨日のことのように思い出される。
 せっかく外に出ることができたので、その鍛冶屋線の跡を見に行ってみた。

@歩道として整備されている

 復旧にはやはり時間が掛かりそうであったので、「新大阪に戻ります」と宣言して証明書を発行してもらった。9時38分発の列車で加古川に戻り、新快速に乗り継いで新大阪には11時34分に戻ってきた。
 さて、本来の旅程では、塚口から「プチ大回り」として「おおさか東線」に乗ることにしていた。幸か不幸か新大阪に戻ってきたため、逆回りであるがそれも遂行可能である。
 私は「JR完乗」と謳ってきたが、実は2019年3月に全開通したおおさか東線には乗っていなかったのであった。11時56分発の列車に乗り、これでやっとまた「JR完乗」と言うことができるようになった。

@大阪制覇

 久宝寺到着後は、天王寺経由で大阪へ。その後は阪急の大阪梅田から蛍池まで移動して、同駅から徒歩で大阪伊丹空港へ向かった。最後は、15時の便で羽田に戻るだけである。

 今回の旅では、多くの路線でゆったりした空間を保てたものの、往路の飛行機や夕刻の大阪近郊区間では、それなりの密度もあり、そういう意味では反省点の残る移動もあったことは否めない。
 年明けは、さすがに自宅で巣篭りである。1人暮らしであるのにもかかわらず、3人前のおせち(三段重)が大晦日の夜に到着予定であり、それを頂きながら酒を呑みつつ、正月番組三昧である。

@良い年を(伊丹空港にて)

 

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