各駅停車だけでJR北海道の全路線制覇(前編)

■はじめに
 行動制限のない年末年始である。「久々に海外(欧州)」と思って航空券を検索してみると、燃油追加を含めて往復で30万円近くになり、これだけでもう意気消沈である。「まだしばらくは国内旅行だな」と思ったが、時期的にどこに行くにしても高いし、これといった旅のテーマも思い浮かばない。
 北海道に目を向けてみたが、特急などを使ってあれこれ乗りまくる旅は過去に何度も実施している(古くは周遊券に始まり、フリー切符を使って連日連夜夜行寝台に宿泊などもした)。しかしそこでふと思ったのが、「各駅停車で乗り通した路線が意外に少ない」という事実であった。路線によっては各駅停車が1日に1往復しかないような区間もあり、なかなか乗り通す機会がなかったのである。
 特急だけで乗り通せばすぐに制覇できるJR北海道の路線であるが、各駅停車だけで乗ろうとすると、かなり日数を要することが判明した。往路の新千歳へのアクセスのみLCCにして、関東に戻るまですべて各駅停車を利用すると、以下のように10泊11日の旅程が完成した。使用する切符は、青春18きっぷ(5日間有効のうち4日分)と、北海道&東日本パス(7日間有効)である。

1日目:新千歳空港→札幌→北海道医療大学→札幌→滝川→富良野→美瑛(宿泊)。
2日目:美瑛→富良野→新得→新夕張→新得→釧路(宿泊)。
3日目:釧路→根室→釧路→川湯温泉(宿泊)。
4日目:川湯温泉→網走→旭川(宿泊)。
5日目:旭川→美瑛→旭川→稚内(宿泊)。 ※旅行記【前編】はここまで
6日目:稚内→旭川→深川→留萌(宿泊)。
7日目:留萌→深川→岩見沢→追分→新夕張→追分→苫小牧→鵡川→苫小牧→札幌(宿泊・年越し)。
8日目:札幌→小樽→長万部→東室蘭→苫小牧(宿泊)
9日目:苫小牧→南千歳→追分→苫小牧→室蘭→東室蘭→函館(宿泊)。
10日目:函館→森→函館→新函館北斗→新青森→八戸→盛岡(宿泊)。
11日目:盛岡→一ノ関→仙台→原ノ町→いわき→自宅最寄り駅へ(帰宅)。

 ただ単に乗っているだけではネタ不足になるため、1日に1回以上は「北海道のおいしいもの」を紹介するようにしたい。

 後は出発するだけ、と思っていたが、23日からの大雪で石北本線と宗谷本線が27日まで運休予定になってしまった(28日以降も未定)。ということで、以下のような応急措置をして出掛けることにした。
・石北本線(28日乗車予定):北見から旭川までの都市間バスを予約(キャンセル料は100円だけなので、どうするかは当日判断)。
・宗谷本線(29及び30日乗車予定):稚内訪問は諦めて、旭川連泊にする。
(しかし実際はこれ以上に混乱しており、現地でかなり予定変更を余儀なくされた)

@池田駅にて

■2022.12.25
 朝の5時台に家を出て、成田空港へ。予算の関係から今日はLCCで北海道への移動となるが、心配なのは天気だけである。幸い、北海道側も問題なかった。9時半頃に新千歳空港に到着したが、雪の影響で道内各所のJRが止まっているとは思えない晴天である(今回のJRの不通は、湿気の多い雪が原因であり、通常より除雪が困難なためであるという)。

@晴れ

 9時54分発の快速エアポートに乗り、札幌へ。来年度から使用されるエスコンフィールドも、建屋が完成していた。
 11時00分発の札沼線…ではなくて学園都市線に乗り、終着駅である北海道医療大学には11時44分に到着した。札沼線時代に何度も来ている駅であるが(降りたことはないが)、終着駅として訪問するのは今日が初めてである。

@レールはここまで

 特にすることもなく、12時04分発の列車で折り返し。しかし札幌までは戻らず、ロイズタウンで下車した。
 この駅は久々に道内にできた新駅であり、今年の5月に訪問したばかりであるが、今日は今回の旅のサブテーマである「北海道のおいしいもの」を頂くために再訪することにしている。
 12時22分発の無料送迎バスでロイズの工場・売店に向かい、「北海道のおいしいもの@」としてソフトクリームを頂くことにした。道内には数えきれないくらい多種多様のソフトクリームがあるが(私のお気に入りは渡島当別にあるトラピスト修道院のもの)、ここのソフトクリームも有名であろう。

@ソフトクリーム(450円)

 適当な時刻の無料バスがなかったため、復路は歩いて駅に向かった。12時57分発の列車に乗り、札幌へ移動。
 札幌で14時07分発の列車に乗り、岩見沢へ(14時47分着)。次に乗るべき旭川行の出発まで50分くらいあるため、適当に駅構内や駅付近を散策した。

@合格祈願場所あり

 15時38分発の旭川行に乗り、16時17分に滝川到着。ここから根室本線に乗り換えることとなる。根室本線の滝川から富良野までは、つい2日前まで雪のため部分運休になっていたので、「初日から予定変更か」と恐れていたが、今日は無事に運転されている。
 本線と言ってもローカル線に成り下がっているので、待ち構えていたのは古いキハ40系1両であった。

@貫禄の1両

 同駅を16時26分に出発。ここまでは沿線風景が地味な路線ばかりであり、やっと北海道としての本領発揮となるが、残念ながらもう日は暮れ始めてしまっている。
 根室本線は、大昔は帯広や釧路方面へ行く大動脈であったが、石勝線開通後は落ちぶれてしまっている。繁忙期にラベンダーエクスプレスなどが時折走ることもあるが、基本はローカル線である。1両編成の車内は13人くらいの乗客がいたが、途中の芦別で半分くらいは降りてしまった。
 17時頃からは、暗くなった中を走り続けた。富良野手前の峠区間で徐行を繰り返し(鹿が多いため)、終着の富良野には定刻から2分遅れの17時34分に到着した。

@観光地富良野

 当初は富良野で泊まる予定であったが(翌日は新得方面に移動するため)、旅行支援が急遽27日まで延長されたため、支援が適用される宿泊施設を再検索したところ、富良野駅付近には安いところが見つけられず、今日は美瑛駅近くの宿泊施設に泊まることにしている。
 17時55分発の旭川行富良野線に乗り、美瑛へ。駅からは送迎車で宿に向かった。
 夕飯は、旅行支援クーポンを使ってスーパーで買った食材等である。

■2022.12.26
 6時過ぎに駅まで送迎してもらい(歩ける距離であるが、宿のご主人のご厚意による)、6時23分発の富良野行を待った。しばらくしてやって来たのは長大な3両編成であったが、後ろ側2両は回送であった(今後、旭川行に使われるのであろう)。

@富良野行は1両

 定刻に美瑛を出発し、富良野到着は7時08分であった。駅改札に行って青春18きっぷに押印してもらい、7時17分発の東鹿越行の入線を待った。実は根室本線の富良野から東鹿越までは、昨日の13時台まで雪で運休となっていた区間である。今日は無事走るようであり、まさに綱渡りの連続である。
 しばらくして、件の列車が入線してきた。北海道カラー(白地に緑)ではないキハ40系に乗るのは、久々かもしれない。

@これまた貫禄

 根室本線の滝川から新得までは、ただでさえローカル線に成り下がっている区間であるが、特に富良野から新得までは沿線人口も少なく、しかも東鹿越から新得までは2016年の災害によって長期間不通になっており、代行バスになっている。廃止になる日も近い、という話も聞く。
 のんびりと景色を見ているうちに8時01分に東鹿越に到着した。ここからは、代行バスとなる。

@切符で乗れます

 定刻の8時06分、代行バスは出発した。車内には私を含めて9人の乗客がいるが、明らかに「乗ることが目的」の人々以外に、制服の若い人もちらほらといる。不思議に思っていると、バスは高校前で停車して、そこで3人ほど降りて行った。そういう使われ方もしているようである(鉄道時代はできなかった技)。
 9時11分頃、新得駅に到着した。ここからは、特例を利用して特急で新夕張に向かうことにしている。ホームで待っていると、入線して来たのはラウンジ車両も付いている編成であった。

@以前、稚内から乗車経験あり

 せっかくなのでラウンジ車両(自由席扱い)に乗り込み、9時21分に新得を出発した。
 石勝線の新得から新夕張までは各駅停車が1本も走っていないため、上述した通り特例で普通切符(お得な切符を含む)だけで特急の自由席に乗ることができる。今回はその特例を利用して、新夕張まで往復することにしている。
 それにしても、奇麗な狩勝峠である。くどいようであるが、道内各所でJRが止まっているとは思えない天気である。

@晴天

 4両編成+ラウンジであるが、どの車両もガラガラである(ラウンジ車両にいるのも5人程度)。JR北海道の収支が気になるところである。
 10時28分、新夕張に到着した。折り返しは11時40分発であるため、ここで「北海道のおいしいものA」として蕎麦をいただくことにしている。
 北海道で蕎麦と言えば、幌加内や先ほど乗り換えた新得などが有名であるが、夕張には「カレー蕎麦」なるローカルフードがあるのである。かなり変化球であるが、今日はそれをいただくことにした。

@カレーそば(800円)+ライス(150円)

 カレー色で中が見えないが、大き目の豚バラ肉と玉ねぎが入っている。カレーが餡になっているので、食べ切る頃には大汗であった。
 駅に戻り、11時40分発の特急に乗り込んだ。先ほどはガラガラであったが、今度はスキー客+帰省客でデッキまで満員である。立つのはしんどいが、JRの収支を考えるとこの方がいいのであろう。
 トマムでスキー客が降り、やっと席にありついた。少し遅れた12時43分、新得に戻って来た。
 さて、ここからは「各駅停車の旅」再開である。13時02分の帯広行は、観光用にラッピングされた車両であった。

@こんな側面

 定刻に新得を出発。今日は釧路まで移動することとなる。
 沿線風景は特急から眺めるのと変わりないが、各駅停車であるため、時折長時間の停車がある。ウトウトして目を覚ますと、信号所で待機中(15分)であった。
 そこで特急列車と行き違い、帯広には14時11分に到着した。乗り継ぐべき釧路行の出発時刻は15時12分であり、1時間以上も待ち時間があるが、これが北海道の各駅停車の旅である。
 しばし買い物などをしてから、15時頃にホームに向かった。待ち構えていたのは、結局新得から乗ってきた車両と同じものであった。

@反対側の図柄

 定刻に帯広を出発し、しばらくしてワイン城で有名な池田に到着。なんとここで30分も停まるという。その気になればワイン城まで行けそうなくらいの長時間停車であるが、とりあえず駅前を適当に散策した。駅前にある店でバナナ饅頭やステーキ弁当を買ったことがあるので、懐かしい限りである(もちろん、ワイン城に行ったこともある)。

@巨大な栓抜きあり(背後にワイン城)

 池田を出発し、しばらくすると日も暮れてきた。
 ここで明日以降の運行状況を確認すると、なんと釧網本線が明日も動かないという(釧網本線は昨日から全線停まっていたが、明日も動くのは釧路から摩周駅までという)。仕方なく川湯温泉での宿泊は諦め、あれこれ代替案を検索し、取り急ぎ宿泊は釧路で同じホテルに連泊することにした。こういう変更がネットで出来るようになったのも、時代の流れである。
 18時15分、釧路に到着した。歩いて3分程度の場所にある安ホテルに投宿。
 さて、「北海道のおいしいものB」は、豚丼である。豚丼と言えば帯広が有名であるが、帯広駅停車時に購入してある。

@炭焼ぶた丼おにぎり弁当(1,100円)

■2022.12.27
 今日は予定通り根室まで往復し、その後は予定変更で釧路に連泊である。釧網本線で細岡くらいまで往復することも検索したが、やはり無理であった。
 なお明日は旭川に泊まるため、結局昨日と同じルートで富良野まで戻り、富良野線経由で旭川に行くことにしている。
 8時前にホテルを出て、釧路駅へ。根室本線(花咲線)は、当然の如く1両編成である。

@当然の如く

 出発前から次第に乗客は増えて行き、20人くらいになって定刻の8時18分に釧路を出発した。
 今日も、JR各線の運休が信じられないくらいの快晴である。釧路の市街地を抜けると道東らしい平原となり、列車は警笛を鳴らして鹿を追い払っていく。時折大鷲が木の上に止まっていたり大空を飛んでいたりするが、さすがに撮影は不可能である。

@逃げていく鹿

 厚岸が近付いて来ると、海際で列車はスロー走行をし始めた(観光用のサービス)。私は山側に座っていたので、海を見るためにデッキに出てみたが、残念ながらこの時刻は逆光で撮影は難しい。ということで、後方の写真を撮っておくことにした。

@後方を望む

 9時09分、厚岸に到着した。今回はここで途中下車をして、観光などをすることにしている。
 まずは駅から歩き、海事記念館へ向かった。ポカポカ陽気と言っては語弊があるが、天気も良く、「北海道だから」ということで持参してきた防寒用の帽子もマフラーも不要である。
 しばし歩き、海事記念館に到着した。2年くらい前に無料になったということであるが、意外に充実した展示内容であった。

@一例(船内の器具)

 その足でまた移動し、続いては道の駅へ。「北海道のおいしいものC」として、牡蠣の登場である。10時開館の道の駅のフリースペースで小一時間休憩してこの旅行記を書いたりして時間を調整し、11時開店のレストランに入店した。生牡蠣や蒸し牡蠣など多種多様であるが、ご飯のおかずとしてはカキフライが最強だと思っているので、それにすることにした。北海道ならではのザンギ(鶏のから揚げ)とのセットがあったので、それを注文(よって、「北海道のおいしいものD」としてザンギも追加したい)。

@ザンカキ定食(ハーフサイズ)(1,200円)

 厚岸駅に戻り、11時59分発の根室行を待つ。列車は、10分以上遅れてやって来た(もちろん1両である)。
 厚岸出発後も、道東らしい平原の景色が続いて行く。車内には「いかにも鉄道旅行好き」という人が多いが、多くの人は時刻表や本を見たり、スマホでゲームをしていたりする。「せっかく雄大な景色があるのに」と思うが、旅のスタイルは人それぞれなのであろう。
 道東に行けば行くほど、雪が少なくなっていくのが意外である(気温はこちらの方が低いのに)。風で雪が飛ばされてしまうのであろうか。

@秋口のよう

 定刻から9分遅れた13時31分、根室に到着した。折り返しの出発まで3分しかないため、私も急いで下車して13時34分発の釧路行の乗客の列に並んだ。慌ただしくて、駅舎の外に出る暇もないくらいである。
 ギリギリ定刻に根室を出発。後は、ひたすらのんびりと景色を眺めるだけである。

@定番ネタ

 復路は、海側の窓側席を無事に押さえている。落石から東側は高台を走る区間となり、やはり素晴らしい景色である。
 往路と同様に、鹿遭遇→警笛が繰り返されている。大鷲もあちらこちらで飛んでいるのが見えるが、やはりどうしても撮影はできなかった。

@白鳥で我慢

 住宅の数が次第に多くなり、定刻の15時53分に釧路に戻って来た。
 本来の旅程であれば、ここから釧網本線に乗って川湯温泉に行く予定であったが、残念ながら今日は運休である。上述した通り釧路連泊にしたが、しかしホテルに戻るにはまだ早い時刻である。
 そこでふと思い出したのが、釧路製作所にある雄別炭礦鉄道車両(SL)である。駅から微妙に遠い場所にあるため、これまで訪問できていなかったのである。
 ということで、30分ほど歩いてその場所に行ってみたが、到着して吃驚。まさかのクリスマス仕様(?)である。

@意外な展開

 しかし、到着時点(16時半頃)ですでに薄暗かったので、これはこれで分かりやすかったとも言える。
 ホテルに戻り、安食材で一献してから就寝。
【改訂版旅程】
3日目:釧路→根室→釧路(宿泊)。

■2022.12.28
 JR北海道のウェブサイトを確認すると、石北本線や釧網本線は29日くらいまでどうにもならないものの、宗谷本線は今日から動いている模様。明日からは、予定通り移動できそうである。当初予定から釧網本線と石北本線が「歯抜け」になってしまったが、急な旅程変更も旅の醍醐味であり、逆にそれが面白くなりつつある。
 5時20分頃にチェックアウトをして、釧路駅に向かった。これから乗る5時43分発の新得行は、当然1両編成である。

@1両にも慣れてきた

 この列車は、新得まで4時間以上も走ることとなっている。定刻に出発したが、車内にいる乗客は私を含めても2人だけであった。運転手の給料や燃料代は、到底賄えそうにない。
 当初は薄暗い中を走り続けていたが、白糠を過ぎるとだんだんと明るくなってきた。しばらくすると、左手には海が広がって来た。釧網本線と石北本線には乗れなくなってしまったが、このようなすばらしい景色を見ることができたから、良しとしよう。

@朝焼け

 すっかり明るくなり、厚内に停車した。ここで、列車の行き違いや特急による追い抜きがあり、20分以上も停車するという。暇なので外に出てみたが、今日はかなり気温も下がっている。
 しばらくして、行き違いの釧路行各駅停車がやって来た。乗客2人だけのこちらも寂しかったが、あちらはなんと乗客ゼロであった。

@寂しい者同士

 同駅出発後は、帯広が近付くにつれて車内の乗客も多くなっていった。
 帯広で乗客の半分くらいが入れ替わり、その後も走り続けたが、9時54分の新得到着時は3人まで減少していた。なお、釧路出発時に乗車していたもう1人の乗客は途中で降りていたので、通しで乗っていたのは私だけである。
 さて、ここでなんと4時間以上の待ち時間がある(東鹿越までの代行バスの本数が少ないため)。新夕張まで抜けて函館本線経由で旭川に行くことも検討したが、この後に出発する特急が新夕張に止まらないため、特例(乗車券のみで特急乗車)が利用できないのである。ということで、ここで待つしかない。
 暇なので、まずはSL広場に行ってみることにした。歩いて20分くらいで着いたが、駐車場が雪捨て場になっておりSLに近付くことができない。よって、側面からの撮影である。

@横から

 日本三大車窓の狩勝峠は、大昔は今より北側を走っていた。線路の付け替えにより旧線は試験線になっていたが、その役目も終えて今は遊歩道となっており、そしてその端にこのSLがあるのである。
 駅に戻ったが、まだ3時間も暇がある。この旅行記を書いても潰せる時間はたかが知れているので、結局駅前スーパーで地元肉の唐揚げを買ってしまい、駅の売店でビールやパンなどを買ってしまった(旅行支援クーポンを使って1,000円以上にするため、お土産のカレーも購入)。
(今日はルート変更により「北海道のおいしいもの」が紹介できなくなったため、代替で参考までに紹介したい)

@ダメ人間

 ひたすら時間を潰してから、13時57分発の代行バスに乗り込んだ。ここから富良野までは、一昨日の巻き戻しである。
 バスは定刻に出発。車内は20人以上も乗客がいて賑わっているが、その半分弱は途中のサホロリゾートを利用する乗客である。鉄道時代にはできなかったサービスであり、鉄道があった方が良いのかそうでないのか、複雑な気分である。
 ここ数日ずっと晴れていたが、狩勝峠から雪が降って来た。

@幾寅駅は映画の撮影地

 東鹿越に到着し、列車に乗り換えて富良野へ。富良野には15時51分に到着したが、旭川行の富良野線は数分前に出発したばかりであり、次の列車は16時55分である(最悪の乗り継ぎ)。仕方なく、待合室で時間を潰した。
 件の列車で旭川に向かい(18時17分着)、雪の中を歩いて安ホテルに投宿。
【改訂版旅程】
4日目:釧路→新得→富良野→旭川(宿泊)。

■2022.12.29
 JR北海道のウェブサイトを確認すると、石北本線と釧網本線は今日の夕方遅くから運行を再開するようである(昼間には代行バスも走る模様)。宗谷本線には数本の運休が出ているが、これは昨晩の車両故障が影響して車両運用ができないためであろう。
 今日はとりあえず、上川まで行ってみることにした。石北本線を少しでも乗車するという意味もある。
 ホテルが旭川駅から遠いため、旭川四条駅に向かった。ホームで待っていると、やって来たのはラッセル車である。

@作業中

 今日明日の私の行程は、この子の頑張り次第とも言えるので、活躍を祈るばかりである。
 7時05分発の1両編成に乗り込み、一路上川へ。なかなかの雪景色である。石北峠はもっとすばらしい雪景色であろうが、今回は残念ながらお預けである。
 車内は私を含めても2人だけの乗客となり、8時01分に上川に到着した。適当に駅散策をして、8時24分発の列車で旭川に戻った。

@敢えてこんな角度で撮影(上川駅出発前)

 旭川に到着してからは、「北海道のおいしいものE」として、ラーメンの登場である。
 私はラーメンに関しては拘りが全くなく、外食でラーメン店に行くことはかなり稀である(外食としての優先順位で、ラーメンはかなり下位)。これは「好きではない」というものではなくて、幼少の頃に旭川に帰省した際に出前で食べた塩ラーメンが忘れられなく(しかも勝手に記憶を脳内増殖しており)、他のラーメンを食べても「こんな感じか」くらいにしか思えないのである。
 とにかく、某有名店へ行って塩ラーメンを頂くことにした(旭川ラーメンといえば醤油が有名であるが、上述の理由があり塩である)。

@塩らうめん(850円)

 幼少の頃に食べた味とはもちろん同じではないが、「旭川で塩ラーメンを食べた」というだけで、もう懐かしい感じである。
 駅に戻り、余った時間は自由スペースでこの旅行記の作成である。雪の影響で留萌本線が運休というアナウンスがあり、明日が少し心配になってきた。
 11時30分発予定の快速「なよろ」に乗り込む(快速と言っても1両編成)。宗谷本線は名寄以北の本数が少なく、12時33分発に乗っても余裕で乗り継ぎができるが、こういう天候の日は少しでも前に進んでおくのが正解である。
 遅れてきた特急と連絡し、通路まで満員になって定刻から7分遅れた11時37分に旭川を出発した。天気は、吹雪いたり晴れたりと、目まぐるしい。

@キマロキ編成も冬支度

 12時50分頃、名寄に到着した。次に乗るべき稚内行は14時59分発で2時間以上もあり、雪も舞っておりお得意の「ぶらぶら散歩」もできないが、待合室には暖房が入っているしテレビも付いていたので、時間潰しは余裕であった。
 駅のすぐ近くにあったスーパーで夜用の食材を買ったりしてから、14時50分頃に改札を通ってホームへと向かった。吹雪いていて前方が良く見えないが、湿気は少なそうな雪であるし、先ほど出発した稚内行の特急サロベツ号がラッセル代わりに雪を避けてくれているから大丈夫であろう。

@前方視界不良

 定刻に名寄を出発。雪深いが、各駅をほぼ定刻で発着していった。美深で数分の停車があったのでホームに出てみたが、跨線橋の上の雪は高く重なっていてかなり重そうであった。
 定刻の16時05分、音威子府に到着した。なんとここで1時間弱も停車して、出発は17時02分である。できれば早い時間帯に稚内に着きたいが、こればかりは仕様がない。
 それより気になるのが、名寄を30分くらい前に出発していた特急サロベツ号が音威子府に停まっているのである。ネットで調べてみたら、対向の特急列車が鹿と接触して止まっているという。

@追い付いてしまった

 いずれにせよ、1時間弱も時間がある。もう何度目かになる天北線資料館(駅舎内にある)を見た後は、待合室に電源を発見したのでスマホを充電しながら出発を待ち続けた。
 16時35分頃、特急サロベツは1時間10分くらい遅れて出発していった。そしてこちらの各駅停車は、定刻の17時02分に音威子府を出発した。
 宗谷線のここから先は、景色が白眉である区間である。天塩川に沿う区間や、高台から利尻島を眺められる区間もあるが、もう真っ暗である。これは、明日に期待するしかない。
 幌延までは順調に走っていたが、稚内発の列車が大幅に遅れていてそららと行き違うために待ち時間が発生し、定刻から30分遅れた20時19分に稚内に到着した。駅近くのコンビニで発泡酒を買い、安ホテルへ投宿。
【改訂版旅程】
5日目:旭川→上川→旭川→稚内(宿泊)。

@稚内駅にて

 さて、長くなってきた(写真も多くなってきた)ので、残りは「後編」で紹介したい。

 

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