祝・北海道新幹線開業(一番列車に乗車)

■はじめに

 昭和57年に盛岡まで開業した東北新幹線は、その後延伸を重ねて、この春ついに北海道の地に辿りつくこととなった。本来の目的地である札幌までの開業はまだまだ先だが、とりあえず北海道にまで届いたことはお目出たいことである。
 私は開業関連のお祭り騒ぎには参加したことがない(あまり興味がない)のだが、実は道産子ということもあり、北海道となれば話は別である。前もって金曜夜の青森までのフライトを含むツアーを申し込んでおいた(なぜ新幹線を利用しないかの理由はこれまでも何度となく書いた通り、料金の問題である。金曜の青森市内での宿泊と青森往復の航空券、合わせて2万5,300円という魅力的な設定を見てしまったら、新幹線を利用する気にはなれない)。
 いずれにしても、後は新幹線の切符を手に入れるだけである(ここが難関)。
 この手の「新規開業」一番列車は、争奪戦となるのが常である。結果からすると、東京発の一番列車が発売後30秒で、新函館北斗発の一番列車が発売後25秒で売り切れたという。
 しかし、この新幹線は南から延伸を重ねてきたものであり、今回の新開通区間は新青森から新函館北斗までである。そういう意味で、本当の一番列車は新青森を朝の6時32分に出発する「はやて91号」ではないか、と私は思っていた。そこで狙いをそこに定めたが、この列車も人気になることは間違いない。
 ダメ元で「えきねっと」に申し込んでおいたが、当然の如くに玉砕であった(ニュースによると、1分50秒で売り切れたとのこと)。残る手段は、キャンセルを拾うことである(ネットオークションは違法なダフ屋行為と思っているので、私のポリシーとして利用することはない)。
 発売日の昼休み、会社のパソコンで「申し込み→満席の×印」を何十回と繰り返すこと約10分、ついに当該新幹線に△マークが着いたので、慌てて手続きをした。どこの誰だか知らないが、オークションになぞに流さずにきちんとキャンセルしてくれた人に、大大感謝である。

@新青森駅にて

■2016.3.26
 昨晩のうちに青森に移動し、5時間程度の睡眠時間で朝5時前に起床。5時45分の列車に乗るべく青森駅に向かったが、もうすでに春めいている東京とは違い、やはり北国だけあって小雪が舞っていた。
 駅周辺は、男一人旅や二人連れなど(いかにもな同業者風)がかなり多く、早朝らしくなく賑わっていた。

@駅自体はいつも通り

 5時45分の列車は、恐らくいつもはガラ空きなのであろうが、今日は通勤時間帯のような混み具合であった。5時49分に新青森に到着(それにしても、新幹線との接続が悪いこと。今日はイベント等があるからいいが、そうでない場合は43分の待ち時間は長すぎる)。
 新青森駅は、さすがに準備であわただしい感じであった。

@出発および受入れ準備(手書きのメッセージ)

 早速改札を通ったが、どこもかしこも人だらけである。無料の旗や記念品(しおり)が配られたりしており、乗客以外にも報道陣(新聞社およびテレビ局)が大人数押し寄せており、地元の人らしき人が訛った発音で「青森らしぐないねぇ」と言ったりしている。

@人多し

 11番線に上がってしばらく待っていると、はやて91号が入線してきた。残念ながらJR東日本の車両であるが、JR北海道の車両だとしても塗装の一部が若干違うだけであるので、特にこれで問題ない。

@一番であることが大事

 出発10分くらい前に車両前方側へ移動してみると、何やら行事が始まったようであるが、規制線が張られており見ることができない。しかしモノは考えよう、隣りのホームに移動すればいいだけである。いそいそと反対側に移り、出発式を見物した。

@テレビニュースでおなじみの風景

 本来のホームに戻り、車内へと入っていった。残念ながら通路側の席であるが、今日に関しては贅沢は言っていられない。
 定刻の6時32分、はやて91号は出発した。

@外の写真が撮れないので、これで

 あっという間に、数か月前に訪問したばかりの「奥津軽いまべつ」に到着した。同駅を出発してしばらくすると、当然のように青函トンネルに入る。はやて91号は、「営業列車の新幹線として初めて青函トンネルに入る列車」という意味でも、一番列車となるのである。

@「北海道新幹線が津軽海峡を渡ります」

 車内では、青函トンネルに関する懇切丁寧な説明が車掌により行われている。トンネルを抜けた知内で沿線住民等によるお出迎えがあるという情報もアナウンスされたので、トンネルを出る時刻を見計らってデッキまで行ってそれを写真に収めた。

@歓迎

 トンネル内は140キロ制限であったが、地上に出るとまた速度を速めた。木古内に到着し同駅を出発すると、もうまさしく「あっという間」に新函館北斗である(時刻は確認していなかったが、報道によると定刻より1分早い7時37分であったとのこと)。
 新聞によると道知事が一番列車の乗客を出迎えたということであるが、だれがどこにいるのかすらわからないような大混雑であった。とりあえず、歓迎ムードであることは確かである。

@ようこそ北海道へ

 多くの観光客や地元の住民や報道陣などを潜り抜け、前回訪問時はまだ「渡島大野駅」だった在来線のホームに移動した。これから乗るのも「初物」であり、やはり今朝デビューしたばかりの「はこだてライナー」である。
 件の列車は、一番端のホームに入線していた。

@デビュー日

 7時49分、はこだてライナーは定刻に出発した。何度も乗車しているためこの辺りの風景は見慣れたものであるが、何が違うかといえば「電車」であるという点である(これまで、東北連絡の特急などは電車であったが、それ以外はすべて気動車だったのである)。ほどなくして函館に到着した。
 新幹線駅のある北斗市と違って函館市はどうなのだろうかと思っていたが、こちらも負けず劣らずの大歓迎であった(「ミスはこだて」や各種ゆるキャラ、和太鼓演奏などでのお出迎えである)。

@ここでも歓迎

 さて、ここでしばらく時間がある。もう何度訪れたかわからないくらいの函館であるが、とりあえず徒歩で函館山の麓にある古い建物群などを見て回った。
 10時頃に駅に戻り、駅付近の特設会場で開始したイベントを少し見たりしてから駅に戻る。次の「初物」は、道南いさりび鉄道である。この鉄道は、旧JR江差線が独立して第三セクターとなったものである。
 その車両であるが、「さて、どこが変わったでしょう」というクイズになりそうなくらい、JR時代とほぼ同じである。

@微修正のみ

 違いは、自動音声の案内内容が変わったのと、サボ(車両側面の行先票)が新しくなったこと、また正面(上記の写真で言えば運転手側の赤色灯の隣り)に「道南いさりび鉄道」の銘板が付けられたくらいである。
 2両編成の列車は、定刻から5分遅れた10時45分に出発した。車内はかなりの混雑であり、座席はほぼ埋まっている状態である(前回JR時代に乗った際は、時刻は違ったが1両編成で乗客はまばらであった)。初物故の人気であろうが、収支のことを考えると今後もこれが続いてほしいものである。
 すぐ隣りの五稜郭まではJRの路盤を間借りしており、ここから先が独立した路線となる。

@案内も新しく

 車内にいる多くの鉄道ファンは終点の木古内まで行くのであろうが、私は11時08分に到着した上磯で下車した。旧江差線はここから先が景色の良くなる区間であるが、この路線自体は何度も乗っているので、今日は「いさりび鉄道」として試し乗りをした程度である。
 ではなぜ上磯にしたのかというと、この駅の近くに浜焼きの店がオープンしたからである。駅から15分ほど歩いて行くと、港近くにその店はあった。私はすぐに座れたが、あっという間に行列となっていった(人気のようである)。
 Bセット(カキ4つにホタテとホッキ各1個ずつ)と、ごはんセットを注文。

@うまし(ホッキは食べかけ)

 食べ終えてから駅に戻り、11時57分発の列車で函館に戻った。
 さて、またしても「何をするか」悩む状態になったが、到着時に駅でもらった資料をあれこれ見ていると、どうやら一部の市電が無料で乗れるようである(全部ではなく、対象列車のみ)。駅近くでそれを待っていると(通常の市電=有料はすべてスルー)、やって来たのは新幹線カラーの車両であった。
 それに乗り込み、歩ける距離をお試しで乗ってみた。

@湯の川まで行くと戻ってこられませんので

 駅に戻ってからは、14時にイベント会場のステージで開始した「イカ大王様」(NHKコント番組のキャラクター)を半分ほど見る(有名人の写真なので、ここには掲載せず)。ステージの途中で席を外して駅に向かい、14時31分発の長万部行に乗り込んだ。
 なぜ移動するのかというと、この日の函館市内のホテルは軒並み満室だったからである。長万部は少し遠いが、以前に泊まった旅館がとてつもない大量の夕食を出してくれ、良かった印象が残っている。残念ながらその旅館は満室であったが、もう1件の旅館で1部屋空いており、そこのネット上での評価も高かったため、そちらを予約したのである。
 定刻に出発し、今朝降り立った新函館北斗も過ぎて峠を越えると、左手に小沼が見えてくる。この湖越しに見える駒ヶ岳は、私個人にとっては「やっと北海道に来たぞ」と思わせる景色なのである。新幹線ルートでも、この景色を見ることができればいいのであるが(それ以前の問題で、札幌延伸はこれから15年も先のことである)。

@「北海道の入口」を象徴する景色

 線路が交差する大沼駅を過ぎてしばらくすると、流山温泉駅である。この駅のすぐ隣りには、東北新幹線の200系が展示されていた。今回の旅行を思いついた際に、「どうせ行くなら、いつも見過ごしていたあの駅で途中下車してみよう。新幹線がテーマの旅であるし」と思って調べてみたところ、なんと3年前に撤去されてしまったという。
 駅付近には、車両一対と先頭の「団子鼻」の先っぽが展示されているだけであった。

@無念(新幹線開通まで待ってくれてもよかったのに)

 17時52分に長万部に到着し、歩いて温泉街へ。1泊夕食のみのプランで税抜き7,000円にしては、なかなか豪華な夕食であった。鉄道の旅も良いが、温泉の旅も捨てがたいものである。

@酒を呑みつつ

■2016.3.27
 函館本線の普通列車は運転本数が少ないため、朝一番に乗るために朝食なしのプランにしてある。6時過ぎに宿を出て、適当に寄り道をしながら駅へと向かった。
 長万部も、ずいぶん先ではあるが新幹線がやってくる予定の街である。駅前には、早期開通を願う展示物もあったりする。

@ここまで来るのは、まだまだ先

 1両だけのディーゼルカーに揺られ続け、昨日の風景を逆戻しで見つつ、約3時間10分で函館に戻ってきた。またしても2時間ほど時間があり、「何をしようか」状態になったが、とりあえず早めの昼食にすることにした。
 函館と言えば海鮮丼などが有名であるが、「ここでしか食べられない」というものの一つにラッキーピエロ(ハンバーガーチェーン店)がある。私は何度か利用したことがあるが、今日は変化球で「のり弁当」にしてみた。

@ボリューム多し

 腹もくちくなって駅前のイベント会場に戻ると、なんだか行列がある。どうやら「カニ汁」の無料配布ということで、もう入る余地はないが無料ものには弱いので、つい並んでしまった。

@ピントが背景側に(毛ガニ入り)

 11時53分の「はこだてライナー」に乗り、新函館北斗へ。続いては、この駅付近で昨日から行われているイベントに行ってみる。またしても行列があり、今度は「ほっき寿司」などが振舞われるという。もうどうやっても食べられそうにないが、ついまた並んでしまった。
 寿司だけならと思っていたが、こういう時に限ってホタテの汁物やヨーグルトまで付いており、フルコースセットである。

@結局、全部頂きました(グルメ写真3連発)

 イベントが行われているせいか、あちこちで大混雑である。女子トイレなど大行列であり、「最後尾」のプラカードを持った警備員が配置されている始末であった。
 あれこれ見て回ってから、新幹線ホームに入っていき13時35分発の「はやぶさ24号」に乗り込んだ。昨日は状況が状況だけに贅沢は言えなかったため正規料金(7,460円)であるが、今日は「えきねっと」で最も安い4割引のもの(4,470円)である。各ニュースでも北海道新幹線の収支(毎年の赤字)など、対応すべき課題があれこれ指摘されているが、この列車の乗車率も3割程度であった。

@出発15分前はガラガラ

 定刻に新函館北斗を出発。この列車は木古内と奥津軽いまべつを通過するタイプであるため、新青森まではあっという間であった(この旅行記で「あっという間」はもう何回目であろうか)。このまま乗り続ければ18時過ぎには東京に着くことができるが、先述した通り経費節約のため、青森空港へ行かなければならない。

 そのうち、料金どうのこうのは別にして、東京から通しで乗りたいと思う。それよりも、札幌延伸が待ち望まれるのであるが…。

@あれこれもらった粗品を集めてみる

 

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