【petit-tetu】そうだ、肘折行こう

■はじめに
 2月の三連休は北海道に行く予定であり、往路は旭川、復路は稚内の安い航空券を手配してあった。しかし天気予報で、連休最終日の前後で北陸から北海道にかけて嵐の可能性があると報じられてしまった。連休明けの火曜日は外せない仕事もあり、結局、旅行はキャンセルしてしまった。
 その嵐が過ぎ(飛行機は普通に飛んだ模様)、火曜日のニュースを見ていると、「大倉村肘折で積雪4.33メートル、観測史上最大」などと報じられているではないか。肘折温泉には過去2回ほど訪れたことがあり、湯治用のプランで正月に数日過ごしたこともある。それを思い出し、上記のキャンセルの埋め合わせもかねてぶらっと肘折まで行ってみることにした。
 ただ単に行ってきただけであり、旅行記にするほどの内容ではないが、私の旅行記をそのまま転記している旅行サイトに「訪問先都道府県を塗り潰す地図」があり、山形県の部分がぽっかり空いたままであったので、旅行記に仕立て上げることにした。ということで、単純往復だけでは鐡分不足になってしまうため、山形鉄道とJR左沢線にも乗ってくることにした。

@左沢駅にて

■2018.2.17
 この手の旅行に最適な切符は「週末パス」であり、旅行を思い立った後に購入してある(旅行当日は購入できない)。
 朝5時過ぎに最寄りのJR駅から乗り継いで、大宮駅へと向かった。上野や東京まで行ったところで大宮までは新幹線でも速度が遅いため、新幹線特急券代をケチるためである(註:週末パスは乗車券分のみであり、特急券代は別途支払い)。
 6時30分発の「やまびこ」の自由席で、福島へと向かった。

@この時間帯なら自由席で充分

 1時間9分ほど新幹線に乗り、福島で下車した。そもそも山形に向かうのであれば大宮を6時38分に出る「つばさ」に乗ればいいのであれが、板谷峠は普通列車で越えたかったのである。以前(大昔)のようなスイッチバックの連続はなくなったが、一つひとつの駅が味わい深いものであり、せめて往路ぐらいは、という気持ちからである。
 8時05分の各駅停車に乗り、板谷峠へと向かう。福島市内はほとんど雪もなかったが、峠に入るとさすがに雪深くなっていった。

@県境でこうも違う

 峠駅の力餅売り(立ち売り)も健在であり、こういうのを確認するためにはやはり各駅停車でないといけない。
 8時52分、米沢に到着した。中途半端な乗り換え時間があるため、遅めの朝食(今日は朝4時起きのため、体感的には昼食)である。一番有名なのは「牛肉どまん中」であるが、あえて違うものにしてみた。

@これはこれで美味い

 9時39分の列車で赤湯まで移動し、ここでも50分ほど乗り換え時間があったので駅近くにあるスーパーまで行って夜用の食材を少し買ったりして、10時47分発予定の山形鉄道に乗り込んだ。さくらんぼ狩りの関係で途中の宮内までは3年前に乗ったばかりだが、終点まで乗るのはかなり久しぶりである。

@お久しぶりです

 定刻に出発。終着の荒砥までは52分間の旅であるが、特に雄大な景色があるわけでもないので、ついうっかりウトウトとしてしまった(4時起きの影響もあり)。
 久々の荒砥駅であるが、折り返しの出発まで7分しかない。ひな人形の展示や鉄道関係の資料なども少し置いてあり、もう少しゆっくり見たいところではあったが、あくせくとそれらを確認してから先ほどと同じ車両に戻った。

@とりあえず撮影

 赤湯まで戻り、今度は待たずに7分の待ち合わせで山形行に乗り、山形では18分の待ち合わせで新庄行に乗り込んだ。後者は悪評高いロングシートであるため、乗車中はひたすらスマホである(旅の意味なし)。

@新庄に到着(隣りは「とれいゆつばさ」)

 順調に乗り継いできたが、電光掲示板によると陸羽東線は雪のため運休のようであった。今日はこれから吹雪くようであるが、あとはバスに乗るだけであるから大丈夫である。
 今回は素泊まりプランであるため新庄駅から歩ける場所にあるスーパーで食材や酒を買い込み、15時45分発予定のバスを待った。
 定刻にやってきたのは、小さなマイクロバスであった(前回乗ったときは山交バスの普通の大型バスであり、肘折の集落内の細い路地で軒先にぶつかりそうになっていたのを思い出す)。
*100年の歴史があった路線バスは昨年3月限りで廃止となり、その後は村営バスとなった。

@今回のバス(村営バス)

 バスは市内を抜けてだんだん山奥に入って行くが、吹雪くと前がほとんど見えなくなることもあり、なかなか危険である。
 峠を越えて下りになり肘折の集落が近づくと、道の両側の雪はまるで立山黒部アルペンルートのようになっていった。降りて写真でも撮りたいくらいである。

@5〜6メートルくらい?

 16時50分頃に到着し、少し散策をしてから宿に向かった。後は、温泉に浸かってスーパーで揃えた安食材で一献して寝るだけである。

■2018.2.18
 重機による除雪の音で目を覚まし、熱い温泉に浸かってから朝の散歩に出た。前回も冬に訪れたが、その際は源泉のある場所まで歩いていくことができた。今回は雪のせいでまったくそこには近づけず、それどころが時折吹雪いで目の前が真っ白になったりするので、大げさだが「遭難しそう」な感じであった。

@とにかく雪(川です)

 宿に戻り、冷え切った体を再度温泉で温めなおした。
 ゆっくりしてもいいのだが、今日は左沢線に乗ることにしているし、家に戻るのも遅くしたくないので、8時00分の始発のバスで戻ることにしている。
 そのバスに乗り、今日も立山黒部アルペンルート「もどき」の道路を走り続けた。次の写真のような場合はいいが、吹雪くと視界がほとんどなくなるため、そういう場合は運転手も最徐行(時にはほぼ停車)して対応していた。

@自分では運転したくない

 9時少し前に新庄駅に到着したが、乗るつもりでいた9時32分発は雪のため運休であるという(下り列車が来なかったため車両運用できず)。しかし、次の10時09分は運行するという。もともと山形で1時間ほどの待ち時間があったので、特に問題はない。陸羽東線は今日も運休であり、あちらを旅程に含めなくてよかったと思った。
 することもなくみやげ物屋を覗いてみると、地元の人が作った小さなお弁当(300円)があるではないか。味噌おにぎりが気になったので、それを頂いた。

@質素で美味

 10時09分の列車は、折り返し列車が遅れた関係で少し遅れて出発した。各駅に停まることに乗客は増え、途中からはぎゅうぎゅう詰めになってしまった。それもそのはず、この列車は2両編成のワンマン列車であり、そこに本来は9時39分発(ワンマンではない)に乗るはずであった乗客もプラスされているのであるから、無理もない。
 外を見ることもできず、そもそもロングシートでもあり、今日もスマホとお友達である。
 少し遅れた11時32分に山形に到着した。次に乗るべきは、11時55分発の左沢線である。

@こちらに乗るのも久々

 左沢までは約40分。こちらも結構地味であり、特筆すべきものはこれといってない(ごめんなさい)。
 折り返し時間が17分あったので、少しはゆっくりと展示物(山車などがある)を見ることができた。
 さて、本来の旅程では復路は寒河江で途中下車して1時間ほどぶらりとする予定であったが、こういうタイミングで吹雪き始めてしまった。仕方なくスルーして、山形市内で買い物をしてから、15時03分発の東京行新幹線に乗り込んだ。

@復路は新幹線で板谷越え

 峠を越えて福島市内に入ると雪はほとんどなくなり(昨晩は少し降ったようであるが)、東京に近づけば、山形のことが信じられないような快晴である。
 往路と同様に大宮で下車し、家路についた。

 

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