【非鐡の旅E】四国“橋尽くし”の旅

■はじめに
 四国への経路は昭和時代は連絡船などが主流であったが、1988年に正式開業した瀬戸大橋を皮切りに、今ではいくつかの経路で本州と結ばれている。また四国内は峡谷の集落も多いため、生活道路としての橋梁もたくさんある。今回の旅では、それらの橋をいくつか巡る予定である。
 実は、今から11年前に今回と同じテーマ(ルートもほぼ同じ)で旅をしたことがある。ふとしたきっかけで橋尽くしの旅を思い出し、それを再現することになった次第である。

【主な旅程】
・東京→徳島(夜行バス)[鳴門大橋]
・徳島→尾道(JR)[瀬戸大橋]
・尾道→今治(路線バス)[しまなみ海道]
・今治→池田(JR)
・池田駅→大歩危駅(路線バス)[かずら橋]
・大歩危→高知(JR)[はりまや橋]
(上記以外にもいくつかの橋を渡る予定である)

 橋尽くしのポイントは、「橋の規模がだんだん小さく(ショボく)なっていく」という点であろうか。

@路線バスで吉野川を渡る

■2012.12.14
 仕事を終えいったん家に戻った後、東京駅八重洲口へ向かう。乗るべきバスは「ドリーム徳島1号」である。10?20年前はその値段の安さからよく利用した夜行バスであるが、最近は寄る年波に勝てず(あまり寝られず翌日に響くため)、とんとご無沙汰である。
 しかしこのドリーム徳島には、4席限定のプレミアムシートが備え付けられている(それが目当てで、久々に夜行バスを予約した)。フルフラットまでには至らないがかなり水平近くになるため、それなりに良く寝ることができた。

@差額2,300円なら納得

■2012.12.15
 5時過ぎ、淡路島の室津PAでの休憩で目を覚ます。出発後ほどなくすると、鳴門大橋を渡る。まだ朝早く、冬至も近い12月とあって真っ暗であり、残念ながら写真にきちんと収めることはできなかった。

@無理矢理の撮影

 徳島駅到着は、定刻より20分ほど早着の6時20分であった。実はこのバスの徳島着予定時刻が6時41分で、高松行のJR普通列車が6時39分に出発してしまっているという微妙な設定であったのだが、おかげですぐに移動することができた(それを逃すと、8時26分まで待たなければならないのである。もちろん特急はあるのだが、今回は「青春18きっぷ」を使用することになっている)。
 件の列車に乗り込む。車窓を眺めながらうつらうつらとし、バス早着のおかげで旅程に余裕ができたため引田で途中下車した。徳島到着時は小雨模様であったが、いつの間にか快晴になっている。晴天の下、しばらく旧い街並みを散策する。

@引田の街並み

 引田発8時18分の列車で高松方面へ向かい、栗林公園北口で降りる。歩いて県庁方面へ行き、高松に来ると何故か訪問してしまううどん店へ入る。
 初めてここに来たのは20年弱前であろうか。特に気に入っているというわけでもないのだが、つい「自動化された行動」として来てしまうのである。セルフでうどんを湯がき、天ぷらを1つ付けても280円である。

@美味

 市内を少し観光し、あえて昭和町駅へ向かい1駅だけ乗車して高松へと向かった。続いて乗るのは快速マリンライナーである。
 以前は運転席すぐ後ろに座席があり、高松から岡山に移動する際にはそこが特等席であったのだが、いつの間にか関西地域で新快速として使用されている新しい車両になっており、そのような座席はなくなってしまっていた。
 列車は11時40分に高松を出発、最初の停車駅である坂出を過ぎると、瀬戸大橋である。
 瀬戸大橋とはあくまでも略称であり、実際には多種多彩な6つの橋梁で島々をである。その違いは名称だけではなく、工法(斜張橋やトラス橋、吊り橋など)の違いもあるので、そういった資料に目を通してから乗ると興味一入であろう。

@残念ながら景色は自動車道(上段)の方が良い

 岡山で山陽本線に乗り換え、尾道には14時頃に到着した。因島大橋行のバス出発時間は14時40分であるが、駅周辺を適当に歩いているうちに雨が降り始めてしまった。これは天気予報通りで、今日は雨から晴れになり、午後はかなり荒れてしまう予報になっている。
 14時40分発の路線バスに乗り込み、因島大橋を目指す。雨はだんだんと酷くなり、辺りの景色も靄ってきてしまった。

@せっかくのしまなみ海道が…(因島大橋)

 降りやまぬ雨の中、因島大橋バス停で降りる。すぐそばにパーキングエリアがあったので、そこで地場産の「はっさくパン」などを買う(後で食べたが、八朔の身がそのまま入っているなど、なかなか面白い出来であった)。
 15時26分頃、少し遅れて福山からやって来た「しまなみライナー」に乗り込む。このままこれに乗り続けても今治に行けるが、そんなに早く今治に着いても仕様がないので、大三島で途中下車する予定である。
 ほどなくして大三島BS(バスストップ)に到着したが、相も変わらずの雨模様である。その美しい姿で有名な多々羅大橋も、煙った靄の向こうに佇むだけである。

@多々羅大橋

 16時15分にやって来た路線バスで、今治を目指す。先ほどまで乗っていたしまなみライナーとは違って、普通の路線バスである。
 今治到着は17時過ぎ、予約済みであった今治桟橋近くにある超格安旅館に投宿。今治名物の焼き鳥(皮焼とセンザンキ)を有名店でテイクアウトし、それを肴に軋む部屋の中で一人酔いどれた。

@肉を食らふ

■2012.12.16
 早朝に宿を出て暗闇の中を歩くこと20分、今治駅に着き6時02分発の各駅停車に乗り込んだ。伊予西条、多度津、琴平で乗り換える。坪尻駅では、今となっては珍しくなってしまったスイッチバックを充分に堪能した(今回は「鐡旅」ではないので、さっくりと省略)。
 峠を越えて箸蔵を過ぎると、吉野川を越えていく。これもまた、橋の一種である。

@渡れるのは鉄道だけですが

 阿波池田で降り、かずら橋方面へ行くバスへ乗り越える。駅近くにあるバスターミナルを10時25分に出発するこのバスは、吉野川沿い(大歩危方面)経由ではなく、細い県道32号線経由である。大きな車体(通常の路線バス)が、ほぼ1車線しかない狭路を進んでいくのはスリルがあり、大変面白かった。なお、最初から最後まで、乗客は私1人だけであった。

@この像を撮るために、運転手さんは一時停止してくれました

 山間の狭路を走り続けると、平家落人伝説のある西祖谷の集落に入り急に建物が増え始めた。その後しばらく進むと、観光地として有名なかずら橋である。
 さすがに有名観光地であり、前回の訪問時にはなかった巨大な施設(駐車場+土産店等)が対岸に出来上がっている。かずら橋を渡るのも久々であるが、高所恐怖症の身にとってはやはり楽しいものではない。

@かずら橋

 橋を渡り終え近場にあった滝を見てから、その近くにあった店で祖谷蕎麦と「あめご」の塩焼きを頂く。後者は、身がピンク色でサーモンのような味であった。
 大歩危方面行の次のバスは13時10分である。時刻はまだ12時半頃、それまで待っていても仕様がないので、祖谷の集落まで歩いていくことにした。
 歩き出すとすぐに、「秘境祖谷大橋」という近代的な橋をを渡る。車ならなんてことはないだろうが、徒歩で端を歩くとそれなりに怖い。

@秘境祖谷大橋

 集落までは、30分ほどであった。集落を少し過ぎると、何やら観光施設のようなところに橋が出来上がっている。今回は橋シリーズの旅であるので、とりあえずその写真を撮ってみた。

@これも橋の一種(生活要素はないですが)

 集落の方へ少し引換し、13時16分発のバスで大歩危方面へ向かう。今度は、小さなマイクロバスである。先ほどの県道32号線に比べて今度の道路は立派なので、車両を交換した方がよさそうな気がする。
 大歩危駅で降りたのでは乗り継ぎ時間が余ってしまうので、そのままラピス大歩危まで乗り過ごし、大歩危峡を眺めながらしばらく歩いて駅へと戻った。大歩危駅には犬助役の虎太朗がいるということだったが、今日は「お休み」であった。仕方なく、ホーム上にあったミニかずら橋の写真を撮る。

@これも橋の一種(もう何でもアリ)

 14時16分発の各駅停車に乗り込む。あとは「はりまや橋」のある高知へ向かうだけであるが、橋という意味で外せないのが土佐北川駅なのである。この駅は、なんと駅自体が橋の上にあるのである。
 上からの写真ではわかりにくいが、川の上に橋が架かっており、それと駅が融合しているのである。これは全国的にも珍しい形態の駅である。

@橋でもあり駅でもある

 峠を過ぎて土佐山田を過ぎると地形も平坦になり、住宅も増え駅数も多くなり2分に1回くらいの割合で停車していく。つい最近新装されたばかりの高知駅には、16時07分に到着した。
 さて、あと残された橋は「はりまや橋」である。ここは、日本三大がっかり名所として有名な場所である。ちなみに、残り二つは札幌の「時計台」と那覇の「首里城」であるが、首里城に関しては諸説(長崎の「オランダ坂」など)がある。
 これはあくまでも私の個人的判断であるが、時計台はそれなりに歴史を感じられるし存在感もあるし、首里城もここ数年でかなり周囲が復元されて見どころがあるが、この「はりまや橋」だけは正真正銘の「がっかり」感満載である。
 ここを訪問するのは5?6回目だが(来る気がなくても、繁華街にあるので高知にに来るとつい寄ってしまう)、今日もいつも通りに地味であった。

@がっかり

 その後は日曜市の会場へ行ってみたが、ほぼ撤収が終わっていた。することもなく、高知城周辺を適当に歩き、あとは高知空港から戻るだけである。

 

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