【petit-tetu】ベルギー鐡入門

■はじめに

 ベルギーでの出張が終わり、土曜日は夜の便で日本へ向かうだけである。よって夕方まで、ベルギー国内の鐡ネタを拾うことにした。
 ベルギーの鉄道博物館(「トレインワールド」)は、去年9月できたばかりである。この手の博物館は首都から遠い場所にあることが多いが、トレインワールドはブリュッセル市内のスカールベーク駅に隣接しており、アクセスは簡単な場所である。
 後は、適当な路線に乗車するだけである。トーマスクック時刻表に掲載されている「景勝路線」のうち、気になるのはルクセンブルクへ向かう路線であるが、夕方までにブリュッセルまで帰ってくるのは少し難しい(可能ではあるが、万が一遅れてしまった場合に帰国に影響してしまうため、少なくとも14時くらいまでには市内に戻ってきたい)。そこで、ディナン(Dinant)へ往復することにした。駅のすぐ近くにはシタデル(城砦)もあり、普通の観光もすることができる。それに週末は、ベルギー国内の往復切符はすべて半額になるので、財布にも優しい。

@ディナン駅にて


■2016.6.4
 6時前にホテルを出て、始発のトラムでロワイヤル広場まで移動し、そこからブリュッセル中央駅に移動した。今日も残念な曇天(かなり靄っている)であるが、雨がないだけで充分である。

@中央駅(今日も機関銃を抱えた軍人2名がお出迎え)

 切符はすでにネットで手配済みであり、週末なので半額の14ユーロである(近隣にある空港まで往復するくらいの値段)。これで観光地まで行けるのであるから、お手頃価格である。
 7時07分発のディナン行は、定刻から2分ほど遅れて入線してきた。ベルギーといえば、車両の先頭部分が「ゴムのお化け」みたいな車両があり、できればそれに乗りたいところであるが、やって来たのは残念ながら(?)最新型の車両であった。

@地下駅のため綺麗な撮影ができず、代替で車内の様子を

 定刻から3分遅れの7時10分に中央駅を出発した。トンネルを過ぎ、市内にある駅に停まるごとに多少の乗客の入れ替えがあったが、土曜日なので基本的に空いたままであった。
 30分も走ると辺りは田園風景となったが、いかんせん霧が濃すぎて景色の詳細は不明である。「晴れていれば」と思うが、仕事のついででプチ鐡旅ができるだけでも御の字と言わなければならない。

@おそらく田園風景

 途中駅で遅れを取り戻したが、他の路線との分岐点となるナミュールに到着したのは定刻から3分遅れのままの8時17分であった。

@「ゴムのお化け」みたいな車両も発見

 さて、ここから先がトーマスクック時刻表で景勝路線となっている区間である。同駅出発後、しばらくは普通の街並みの中を走り続けたが、次の駅を出発すると右手に川が沿い始めた。大きな川ではないが、車窓として楽しむにはちょうど良い規模の川である。

@長閑な感じに

 思いのほか、貨物列車と多くすれ違う。南部方面への物流の中心になっているのだろうか。
 ずっと沿い続けていた側が左手に移り、しばらくすると終点のディナンであった(8時50分着)。駅のすぐ近くに川があり、その向こうには巨大な城砦が聳えている(ただし、霧のせいで半分くらいしか見えないが。

@到着

 城砦の見学時間は10時からであり、見学時間+降りてくる時間を考えると乗車できる復路の列車は12時以降となる。それからブリュッセル市内に戻った場合、帰りの飛行機には充分間に合う時間であるが、トレインワールドでゆっくりしたりする時間もなくなってしまう。幸い(?)、今日は霧が濃くて上からの眺めも堪能できないようなので、今回は登らずに眺めるだけにした。

@次回がいつになるかは不明ですが(見るだけ)

 街中を1時間くらいかけて徒歩観光してから駅に戻り、10時10分発の列車でブリュッセル市内へと戻った(ブリュッセル北駅到着は、定刻より8分遅れの11時55分であった)。
 北駅で降りたのは、トレインワールドがあるスカールベーク方面へ乗り換えるためである。12時10分発の列車は、5分遅れて入線してきた。

@待っている間、向かいに停まっていた「ゴムのお化け」を撮影(実は気になっている?)

 12時15分に出発した列車に揺られること約5分、この列車にとって終着であるスカールベークに到着した。鉄道博物館の一部となっている大きな旧駅舎がある=昔は利用客が多かったようであるが、今は乗降客はあまり多くないようである。駅名標の上にはトレインワールドの標識もあり、あたかも「専用駅」のような扱われ方である(主従逆転?)。

@わかりやすい

 地下連絡通路を歩いて外に出ると壮大な旧駅舎があり、その前にはトラムの終点駅がある。今日現在は、ほとんどの人はトラムかバスを利用して他方面へ移動しているのであろう。

@旧駅舎

 受付で入場料(10ユーロ)を支払い、まずは旧駅舎へと入っていく。旧い切符売り場が残っており、それ以外にも模型などが展示されているが、この建物はトレインワールドにとって「前置き」のようなものでしかない。
 外に出てしばらく歩き、新しく建設された建物に入っていくと、多数の車両がお出迎えである。他の人のブログ等にも記載されているが、ライドアップや音響などが効果的に多様されており、かなり凝った演出になっている。

@SLもあり

 機関車や客車の展示、また各種資料の展示物に目を通して、またトレインシミュレータも日本の博物館のような長蛇の列がなかったので試しにやってみたりして、館内での時間を過ごした。ユトレヒトの博物館がアトラクション的な要素が強いのに対して、こちらは展示物の内容に重きが置かれている気がした。

@コンパートメント車

 見学が終わり、時刻は13時半過ぎである。あとは市内でお上りさん的に小便小僧などを見たりして、そして帰国するだけである。

■おまけ
 「メトロ」は地下鉄、「トラム」は路面電車、というのは常識であるが、ブリュッセルの場合は「プレメトロ」という謎の名称の鉄道がある。一言で表現すれば、「地下鉄を走る路面電車」である。将来的には本格的な地下鉄に転用できるようになっているため、普通の地下鉄のホームを掘り下げて異様に低くしており、若干異様な雰囲気でもある。

@こんな感じ

 切符は市内のメトロ、トラム、プレメトロ共通であり、2.1ユーロである(券売機のない停留所で乗車して運転手から買う場合は2.5ユーロ)。
 上記とは別に、MOBIBというICカードがある。デポジットが5ユーロ必要であるが、10回の回数券(ICカード専用)が14ユーロで買えるため、デポジットを足しても1回当たり1.9ユーロとお得である。カードを返せばデポジットがある程度戻ってくるが(買ってから1年以内であれば4ユーロ)、私は記念に持ち帰ることにした。

@仕事でたくさん使ったので

 ちなみに、紙タイプの回数券はつい最近廃止になったということなので、ご注意を。

 

■ 鐡旅のメニューへ戻る

 「仮営業中」の表紙へ戻る

inserted by FC2 system