【非鐡の旅J】坂東三十三箇所巡り(千葉編)

■はじめに
  半年以上も放置していた坂東三十三箇所巡りであるが、夏も本格化し、「暑い」「旅費が高い」「混雑する」の三重苦の季節となったため、再開することにした。残されている寺院は7つ、すべて千葉県内であるから、青春18きっぷ3日分で事足りるはずである。
 「非鐡の旅」に分類しているが、相変わらず鐡要素満載であることはご了承いただきたい。

@大原駅にて(今回は撮影しただけで、乗車していません)

2014.8.2(坂東第10日目)
 4時半過ぎに起床し、5時半過ぎに家を出発。品川で601分発の千葉行横須賀線に乗り換え、千葉からはあえて成東経由で銚子に向かった(復路で成田線を経由するため)。「総武本線」としてはこちらが「表通り」のはずであるが、現在は成田線経由の方が銚子行の列車本数は多い。
 銚子駅で待ち構えていた銚子電鉄の車両は、京王電鉄のお下がりである、通称「青ガエル」と呼ばれているものであった。

@懐かしい

 9時15分発の列車に乗ることわずか4分、観音駅に到着した。最初の目的地である円福寺までは、歩いてすぐである。そそくさと納経を済ませた。
 さて、私が銚子に来たのは3回目くらいである。これまで、地元では有名な今川焼や醤油工場の醤油ソフトクリームを食べたことがある。他の銚子名物といえば、先ほど降りた観音駅のたい焼きなどもあるが、せっかく港町に来たのであるから海のものを食べたい。そういうわけで、歩いて10分程度のところにある漁港近くの店に行って、「三色丼」を頂くことにした。人気店らしいが、朝の10時前という中途半端な時間であったため、並ぶこともなく店に入ることができた。

@豪華朝食

 食後は漁港内を少し歩いてみたが、すでに突き刺さるような日差しで、今後が思いやられる。
 駅へ戻る途中、八百屋の店先で山ほど実が付いている千葉産の枝豆が130円で売られていたので、迷わず購入した。夕方まで持ち歩かなければならないが、重い荷物ではないので問題ないであろう。

@今晩のツマミに決定(葉は店で切り落としてくれた)

 さて、次に行くべき寺院(龍正院)は成田線沿線にあるため、本来ならば銚子駅に戻るべきであるが、せっかくなので銚子電鉄にもう少し乗ることにしている。営業成績は芳しくなく、「ぬれ煎餅」の売り上げで持ち堪えているような鉄道会社であるから、一往復くらいは乗車して収支に貢献しておきたい(よって、銚子で乗車する際に一日乗車券を購入済である)。
 観音を1027分に出発する列車に乗り込み、終着駅の1つ手前にある犬吠で下車した。というのも、一日乗車券には「ぬれ煎餅1枚サービス券」が付いているからである。初めて乗る鉄道ならば終着まで必ず行くが、そうではないため、煎餅を優先させたわけである。

@煎餅+切符+駅舎

 折り返しの列車が来るまで28分ほどあるので、歩いて犬吠埼まで行ってみた。雲一つない快晴で景色は良かったが、駅に戻るころには軽くめまいがしそうなくらい強い日差しであった。
 犬吠を11時08分に出発する列車で、銚子に戻ってきた。次に乗るべきJRは12時10分発であり、30分以上も待ち時間があるが、あまりにも暑くてどこへも行く気になれない。結局、待合室で時間を潰した。

@もう少し日差しが弱ければ醤油ソフトでも買いに行ったのだが

 12時10分発の千葉行に乗り込み、早起きの影響ですこしうつらうつらしながら1時間と少し乗車し、滑川には13時18分に到着した。龍正院は、この駅から徒歩20分程度である。
 とりあえず歩き出したが、日差しが肌に突き刺さって痛いくらいである。仕方がないので、雨傘を取り出してそれを日傘代わりに差しながら歩き続けた(これをやったのはラオス以来、人生2回目である)。汗がしたたり落ち始めた頃、やっと寺院に到着した。

@まさに修行

 参拝と納経を済ませた後は、当たり前であるが来た道を戻らなければならない。傘を差しながら歩いていると、小さなコミュニティバスのような路線バスが追い抜いて行った。もしかしたら、適度な時刻のバスがあったのかもしれない(1キロ前後=歩くものというのがいつものパターンであるため、バスのことは調べていなかった)。
 滑川を1414分に出発する列車に乗り、成田と千葉で乗り換えて本千葉へ。そこから徒歩20分ほどで、今日の最終目的地である千葉寺には16時少し前に到着した。日差しは相変わらず強いが、昼過ぎに比べればかなりマシな程度になっている。

@それでも暑いですが

 ここに来るのは、2回目である。というのも、昨年12月に茨城の寺院に行った帰りに寄ったのであるが、16時を過ぎていたため納経してもらえなかったのである(納経時間は、夏季は17時まで、冬季は16時までであった)。今日はまだ時刻も早いし、そもそも夏である。無事に納経を済ませた。
 寺院の目の前にはバス停があり、千葉駅行のバスが頻繁に出ているのでかなり惹かれたが、「ある程度の距離は歩いて、喉が乾いたりすればバス代分だけ冷たいものを飲んだりした方が体に良い」というのが持論なので、駅まで歩くことにした。途中、スーパーがあったので涼みがてら入り、そこで千葉産の刺身や干物(もちろん割引シール付)を買い、買い物袋には山ほど保冷用の氷を入れて帰路に就いた。

@今日の天気を象徴する犬吠埼の写真

■2014.8.16(坂東第11日目)
 先々週と同じ時刻に家を出て同じ電車に乗り、6時51分に千葉に到着した。今日は2つの寺院を回るだけであるためこんな早起きをしなくてもいいのであるが、最初の音羽山清水寺は駅から片道50分ほど歩かなければならず、昼過ぎの炎天下で歩くのを避けるためなのである。
 乗り換えで連絡通路に降りてみると、まだ7時前だというのに駅弁屋が開いているではないか。千葉駅といえば、肉の厚さがペラッペラの「とんかつ弁当」が有名であるが、それはもう買って食べたことがある。スルーしかけたが、ふとカウンターを見ると、県産豚を使用したカツサンドが売られていたので、うっかり買ってしまった。
 7時10分発の勝浦行に乗るべくホームに向かったが、ホーム上はすごい人数である。思えば、今日は夏休み(お盆)で快晴の海日和、房総方面行の列車が混まないはずがない。とてもボックスシートを独占して食事を楽しめるような雰囲気ではなさそうなので、カツサンドは階段で座って食べてしまった。

@こちらの肉は普通の厚さ(とんかつ弁当の肉の厚さが気になる人は、実際に買って確かめてみるべし)

 予定外の朝食を平らげてから、発車直前に勝浦行に乗り込んだ。車内は立っている人もたくさんいたが、人間心理の成せる業で進行方向と逆の窓側が開いていたので(たいていの人は最初に進行方向の窓側に座るため、いきなりその真正面には座りにくい)、そこに座ることができた。
 列車は、定刻の710分に出発した。駅に停まるごとに乗客は少しずつ増えていき、長者町到着は定刻の814分であった。その佇まい、姿形といい、まさしく「田舎駅」といった感じである。

@風格あり

 印刷してきたグーグルマップを片手に、清水寺に向かって歩き始めた。最初は曇っていたのであるが、15分後くらいからは快晴になってしまった。ただし「朝の日差し」であるため、まだ何とかなる範囲である。
 そうは言っても、だんだんと疲れてきてしまった。45分ほどで寺院の入口に到着し、最後の5分は「お寺にありがち」な急坂である。へとへとになって寺院に到着した。

@修行ですから

 参拝、納経を済ませたが、復路も当然50分である。タオルをかぶってサングラスを掛け、駅まではひたすら修行である。そして、最後は駅の自販機の冷たいジュースに救済された。しかし、午前中だからまだ可能であった訳で、昼過ぎの日差しではかなり厳しかったであろう。
 次は茂原に向かうのであるが、しばらく列車が来ないため、意味もなく大原まで南下することにした。1027分発に乗り込み、大原着は1033分。
 この駅には、いすみ鉄道に乗るためなどで2回ほど来たことがある。今日は特に目的もないが、いすみ鉄道の売店で涼んでいると、おじさんが「はいよ、たこ飯」と運んできていた。ほんの3時間前にカツサンドを食べたばっかりであるが、地の物には弱いので、これまたうっかり買ってしまった。
 1042分発の列車に乗り込む。たこ飯は持って帰ることも考えたが、出来たてホヤホヤであったため、せっかくなので車内で頂いてしまった。

@美味

 このまま茂原まで行っても無駄に時間が余ってしまうため(接続するバスが1日に片手くらいしかない)、上総一ノ宮で下車し、評判の和菓子店へ行って「みかん大福」などを買った。私は甘いものに関しては和風より洋風の方が好きであるが、今日はたまたま夜に実家に帰るため、そのお土産である。
 駅へ戻って再度JRで移動し、茂原には1126分に到着した。バスの発車までまだ1時間以上あるため、駅前の大型店舗で涼み、夏用のズボンを衝動買いしたりして時間を潰した。
 12時半頃、建物から外に出てバス乗り場まで移動した。ほんの50メートルくらいであるが、それでもうんざりするくらいの酷暑である。

@しかし、バスがあるだけありがたい

 12時35分発のバスに揺られること30分強、笠森寺の最寄バス停に到着した。寺までは歩いて10分程度であるが、やはり厭になってしまうほどの日差しと暑さであった。
 寺の意匠は、坂東三十三箇所の中でもかなり上位を争うくらい独創的である。本堂は大きな岩の上に引っ掛かるように存在し、そこからの眺めもすばらしかった。

@階段で上がる

 復路のバスは13時50分発である。その5分前くらいにバス停に行ったが、じっと待っているだけでも汗がしたたり落ちていく。しかしバスさえ来れば、あとは涼しい公共交通機関を乗り継いで家に戻るだけである。

■2014.8.24(坂東12日目、最終日)
 前回、前々回と屋は起きして朝6時頃の列車に乗っているが、今回はさらに早くなり最寄駅4時47分発である。というのも、高蔵寺へ行くバスの時刻がネックとなっており、早朝のバス以外はどうしても寺での滞在時間が2〜3時間になってしまうのである。しかし木更津を朝一番(7時)に出発するバスに乗ると滞在時間を1時間半程度にできるので、それに合わせての移動である。
 朝3時50分に起き、準備をしてから駅へ。東京5時21分発の列車はそのまま内房線に乗り入れるので、木更津までは乗り換えなしである。
 木更津駅発7時00分のバスに乗り、「高倉観音下」で下車。数分歩いて高蔵寺まで行き、参拝を済ませた。

@朝の静寂

 境内を歩き回ってあれこれ見ても、まだ745分過ぎである(納経は8時から開始)。しかし、納経する建屋に行ってみるとすでに「受付中」の看板が出ていたので、納経をしてもらった。
 そんなこともあり、復路のバスまで1時間以上もある。じっと待っていても仕様がないので、バス路線に沿って駅方面へと歩いて行った。昼間の直射日光の下なら歩く気にならないが、まだ朝なので問題はない。
 1時間ほど歩いて途中からバスに乗り、木更津駅へ。このまま次の那古寺に向かえば午前中に結願(けちがん)できるが、急ぐ必要もないため、少し早目の昼食を取ることにしている。
 959分発の列車に乗り、1035分に浜金谷降り立った。目的の店は駅から歩いてすぐである。11時の開店予定であるが、すでに早めに店を開けているようであった。昼食時は行列になるらしいが、朝の11時前ということもあってすぐに座ることができた。

@フライの身の厚さに感動

 アジ尽くしのセットを堪能した後は、フェリーターミナルで房総産の落花生やオクラを買ってから駅へと戻った。
 1129分発の列車で南下し、那古船形には1148分に到着した。最後の札所である那古寺は、ここから歩いて15分程度である。
 とりあえず地図を頼りに歩き始めたが、一言で表現すれば「地味」な街並みである。お遍路の最後(八十八番札所)は当然それなりの盛り上がりがあるし、西国の最後である谷汲寺も元から参拝客で賑やかな場所であるが、ここはとにかく平々凡々な感じである。
 そうは言っても、門前に近づけばそれなりに「これで最後だな」との感慨が高まってくる。寺には、1205分頃に到着した。

@ここまで、長い道のりでした

 そそくさと参拝を済ませたが、なんと納経所が閉まっている。というのも、うっかりしていたのだが、坂東の札所にありがちな「昼休憩」のある寺院だったのである。
 となれば、これから1時間ほど待たなければならない。そこで周囲を見渡してみると、那古山頂や展望台に行く道があるようであった。真夏の昼時に山登りなどする気になれないが、今日は幸い11時頃から曇り(時々小雨)である。他にすることもないため、予定外のトレッキングをすることとなった。

@景色は綺麗でしたが

 13時過ぎ、納経所が開いてから納経を済ませた。「つまみ食い」で約1年にわたって続けていた坂東三十三箇所巡りも、これで終了である。

 まだ昼過ぎであるが、結願を記念して一杯やりたいところである(これまでも、神奈川や埼玉を終了するごとに、気になる店で一献してきた)。しかし、あれこれ調べたが館山市内にこれといって気になる店もなく、それに昼前に食べた大量のアジがまだ胃に残っている状態である。
 そこで、館山の意外な名物として知られている「くじら弁当」を買って帰ることにした。売り切れてはかなわないので、昨日のうちに電話で予約してある。
 結願した後は、館山城の周辺を散策し、海辺にある施設で漁業関連の展示物を見たりしてから、駅にある店で弁当を受け取って帰路に就いた。

@美味しく頂きました

 

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