【非鐡の旅G】坂東三十三箇所巡り(栃木編)

■はじめに
 坂東札所巡り、今回は栃木県内の寺院を紹介します。

@益子駅にて

■2013.8.11(坂東第2日目)
 本来の予定では、8月10日(土曜日)に埼玉・群馬方面に行く予定を立てていた。しかし金曜夜に天気予報を確認すると、群馬南部は38度を超えて所によっては40度に迫るとなっている。15番札所である長谷寺の前後では合計1時間半ほど歩かねばならないが、これは尋常ではない気温である。あれこれ考えた結果、まず土曜のお出かけは諦め少し気温の下がる日曜日に出かけることにした。しかし日曜も予測気温は37度に近いため、行先も再検討し、少しでも涼しいであろう栃木北部を先に回ることにした。

 8月11日(日曜日)、4時台に起床し、最寄駅から京浜東北線に乗って上野で乗り換え、5時11分発の宇都宮行に乗り込んだ。
 宇都宮で日光線に乗り換える。私は小学6年生から高校卒業まで宇都宮まで住んでいたためこの駅に馴染みは深いが、日光線にはほとんど乗車したことがない。もしかしたら、今日で2回目くらいではないだろうか。

@車両だけでなく、駅やホームもレトロ調に造られていた

 比較的新しい車両であったが、残念ながらロングシートであった。それに揺られること約45分、8時25分に日光に到着した。
 中禅寺温泉地区までのバスのフリー切符を買い(その方が往復料金より安くなる)、8時35分発のバスで中禅寺湖方面へ向かった。日光が混雑するのは紅葉の時期であり、さすがに今の時期は道路の渋滞はないが、バスはほぼ満員で同時刻に2台体制であった。
 中禅寺温泉バス停から20分ほど歩き、中禅寺に到着。拝観料を払って中に入り(四国や西国に比べて、坂東は拝観料を取る寺の率が高い?)、納経帳を窓口に預けてから拝観した。抜けるような青空であり、さすがに日光だけあって暑さも和らいでいる。

@一応避暑地(他の方も少し書かれているが、この寺院は「営業トーク」が多く、少し食傷気味になる)

 歩いてバスターミナルへ戻り、少し時間があったので華厳の滝を見たりして時間をつぶした。
 天気も良くフリー切符もあるので日光観光でもしたいところであるが、今日中にあと2つ回るためにはすぐに出発しなければならない。10時55分発のバスで日光駅へ戻り、そこから11時42分発の日光線で宇都宮へ戻った。
 すぐに駅前のバスターミナルへ行き、大谷観音(19番札所大谷寺)を経由するバスを待つ。バスは定刻の12時35分に出発したが、多少の渋滞もあり大谷観音到着は定刻より3分遅れの13時04分であった。ただでさえ滞在時間が17分しかないのに、さらに少なくなり14分ですべてを済ませなければならなくなってしまった。

@地元では有名(よく耳にしていた)

 急いで拝観し(ここも拝観料が必要)、納経を済ませてから小さな宝物殿や庭を見たりした。近くには大きな平和観音もあるのだが、とても足を延ばしている時間はない。
 急ぎ足でバス停へ戻り、すぐにやってきた13時18分発のバスで宇都宮駅へ戻った。
 さて、かなり急いだが、皮肉なことにここで約1時間の空き時間ができてしまう(前後のバスの時刻のため)。そこで、宇都宮といえば餃子が有名であるので、とりあえず遅い昼食を頂くことにした。私が宇都宮に住んでいた頃(約25年ほど前)は餃子が有名とはまったく知らなかったが、いつの間にかそうなってしまったらしい。駅周辺にある有名店も、かなりの行列ができている。

@行列のない店で(暑さに負けてついビールを)

 次に目指すべきは20番札所の西明寺で、最寄駅は益子である。鉄道で移動するとなるとJRと真岡鉄道を利用して凵の字で迂回しなければならなくなるため、路線バスで直行することにしている。
 14時59分のバスに乗り、益子方面へ向かった。急に雲行きが怪しくなり、雷の音も聞こえ始めている。雷雨に逢いたくはないが、炎天下で歩くよりはましかもしれない。
 バスに乗ること1時間と少し、西明寺の最寄バス停(といってもそこから30分以上歩く必要がある)である城内坂に着いたのは、定刻から9分遅れの16時10分であった(これが後になって響いてくる)。
 雲が厚くなってきたため、陽光が遮られて歩くにはちょうど良い温度である。周囲はのどかな景色で、野良猫が走り去っていったと思ったらそうではなくてイタチみたいな動物(テン? ハクビシン?)であった。

@相手が動くので超ピンボケ

 小高い山が近くなり、坂道となって西明寺まであと500メートルとなったところで、雨が降り始めてしまった。すると、3分もしないうちにとてつもない豪雨と落雷に包まれてしまった。必死になって傘を支えながら歩くと、駐車場脇に「西明寺」とあり、その案内版の両方が尖っていてどちらが矢印なのかが不明である。まずは右手に進んでいったが、「青年の家」というところに出てしまった。必死になって駐車場まで戻り、今度は左手に行ってみたが、道は寂しくなるばかりで明らかに違う道である。
 ここで雨は私が経験した中でも史上最悪となり、腰から下はずぶ濡れになってしまった。落雷はすぐ近くに落ち始めており、下手をすると命を失いかねない。しかしこの場に留まることも危険であるため、身を屈めながら青年の家の方に再度向かい、その先に西明寺を発見することができた。
 時間にして10分足らずの出来事であったが、久々に死を連想させられる思いであった。バスが定刻に着いていれば寺で雨宿りできたと思い恨めしくもあるが、後の祭りである。

@嵐の後

 西明寺到着は16時45分頃で、納経の締め切り15分前であった。寺の人に「(この雨で)よく来たね」と言われながら雨宿りをし、雨が通り過ぎてから参拝をした。
 その後は歩いて益子駅まで行き(徒歩約45分)、真岡鉄道で下館まで行き、そこから先はJRを利用し小山経由で上野へと向かった。

■2013.10.6(坂東第7日目前半)
 10月になり、季節も秋めいてきた。今日は栃木・埼玉・東京の寺院1つずつを巡ることになっている。
 6時頃に家を出て、JRと地下鉄を乗り継いで東武浅草駅にやってきた。私は中高生時代に宇都宮に住んでいたため、東京へ出る際に当時からよく利用していた駅である。

@会津方面への旅行でも利用する

 7時10分発の快速に乗り、8時27分に栃木で下車した。栃木駅の駅舎は昭和3年に普請された味わいのあるものであったが、平成15年に現在の新駅舎になってしまっている。旧駅舎の一部は別の場所で保存されているとのことであるが、今日は訪問している余裕はない。
 8時45分の市営バスで、満願寺(出流観音)へと向かう。以前は関東バスの路線であったものであり、それが廃止対象となってしまったため、現在は行政が代替路線を運行している。

@「ふれあいバス」

 そういう事情もあるためか、運賃は初乗りで100円であり、あとはどれだけ乗っても300円までである。出発後しばらくして(20分くらい?)最高の300円になったが、あとはそのままである。私は終点まで約1時間乗車するが、民間のバスなら1,000円は超えてしまうかもしれない。
 公共施設や集落などあちこちに迂回し、その後は山深くなり、石灰石の鉱山が立ち並ぶ中を通り抜け、9時45分頃に満願寺に到着した。

@静寂

 寺院の敷地内には、大きなモミジの木がたくさんある。あと6週間後くらいに来れば、おそらく紅葉も綺麗であろう。
 坂東の寺院は、個人宅のような小さなものから巨大な有名寺院まで様々であるが、ここはその規模や立地(山奥過ぎず、かといって市街地でもない)の面で、「ほどよい」感じであった。
 そそくさと参拝を済ませたが、バスの発車時間までまだ2時間近くもある。他の寺院であれば困ってしまうところであるが、ここの場合は「奥の院がある」「周囲は蕎麦で有名であり、店がたくさんある」ので、時間を潰す選択肢は充分である。
 まずは、片道15分くらいをかけて奥の院へ行ってみる。社殿は岩にへばりついているように建てられており、鳥取県三仏寺の投入堂のようでもある(アクセス方法は断然こちらの奥の院の方が楽であるが)。

@奥の院

 さて、続いては蕎麦である。ほとんどの店が11時開店であるためしばらく集落内を散策し、11時になるや否や店へ入った。結局、集落入口にある有名店ではなく、あえて山門近くにある小さな店にしてみた(特に深い意味はなく、感覚の問題)。
 出流の蕎麦屋は地粉から挽いているので、迷いなく「もり」を注文した(ただ単に蕎麦が有名というならば温かい蕎麦でもいいが、良い蕎麦の場合はそれだけで味わいたいのである)。
 ついでに、野菜天も注文した。

@美味なり

 蕎麦を堪能した後は、11時55分発のバスで駅方面へ戻った。
 本来ならば、栃木駅まで乗り通して13時04分の列車で次の寺院へ向かう予定であった。しかし、往路時に車内から蔵の街並みを見た際に少し歩いてみたくなってしまったので、結局、駅から1.5キロくらい手前で降りてしまった。
 本来の予定であれば最後の浅草寺には16時20分くらいに着く予定であり、30分くらいなら余裕があるはずである。

@蔵を堪能

 新旧様々な蔵のような建物を見ながら歩き、栃木駅に着いたのは13時11分であった。時刻表を見てみると、なんと電車は出発したばかりであり、しかも次の出発時刻は13時41分である。私にとっては意外であったが、東武鉄道もこれだけの地方になるとこの程度の本数しかないのである。
 さて、普通ならば駅で大人しくしているところであるが、今日は奇跡的に駅前で「ドイツビールまつり」が開催されているのである。蕎麦と天婦羅を食べてからまだ1時間半しか経っていないが、ビールは別腹なので、そこで時間を潰すことにした。

@食べかけ

 さらに奇跡的なのが、実は私は昨晩にネットのニュースでこのイベントのことを知っていたのである。このイベントのポスター写真で女性の胸元が大きく開いており、駅に掲示できないとクレームが付いてしまい修正版を出した、というニュースであった。その翌日に、まさか自分がそのイベントに行くとはつゆも思っていなかった。
 ビールを飲み干した後は、次の寺院へ行くのみである。

 

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