マイナーな長距離列車を求めて豪州まで

■はじめに
 コロナ禍も過ぎつつあり、やっと海外である。しかし、ウクライナ情勢などの影響もあり、欧州方面への航空券を買おうとしたら、余裕で30万越えであった。オーストラリアなら、と思ったが、同様に高価である。しかし、香港乗り継ぎのキャセイパシフィック航空で探してみると、17万6,000円くらいで行けることが判明した。以前と比較するとまだまだ高いが、この程度ならなんとか許容範囲である。
 さて問題は、どの列車に乗るかである。もうすでに、XPT号やインディアン・パシフィック号、スピリット・オブ・クイーンズランド号、オーバーランド号には乗車済みである。有名どころでは、オーストラリア大陸を南北に駆け抜けるガン号が残っているが、内容が豪華過ぎて私の旅行スタイルとは合わない。そこであれこれ調べてみると、ブリスベンから内陸の都市であるチャールビル(Charleville)まで行く「ウェストランダー号」(Westlander)というマイナー列車があることを知るに至った。ネットでブログ等を検索しても、英語での紹介動画があるくらいで、日本語では皆無のようである。ということで、その列車を往復で予約しておいた。
 ウェストランダー号は、上りも下りも夕方遅くに出発して昼頃に着く夜行列車(座席のみ)である。走るのは週に2往復だけであり、車両編成を調べてみると、客車は2両だけ、片方が横3列の座席でもう片方が横4列である。いずれもエコノミークラスであるが、料金は同じである。予約作業を何回も繰り返し(なぜか2人席の通路側になってしまうため、1人席になるまで繰り返し)、やっと1人席を確保することができた。

【旅程】
1日目:夕方に羽田から香港に飛び、深夜に香港を出発(機内泊)。
2日目:午前中にシドニーに到着。しばし市内を散策してから、国内便に乗ってブリスベンへ(ブリスベン泊)。
3日目:ローズウッド方面に行って、廃墟となりつつあるローズウッド鉄道博物館を見学してからブリスベン市内に戻り、ウェストランダー号に乗車(車中泊)。
4日目:昼頃にチャールビルに到着。同市内の徒歩観光をしてから、夕方遅くにウェストランダー号に乗車(車中泊)。
5日目:昼頃にブリスベンに到着。市内観光をしてからブリスベン空港へ向かい、深夜に香港行に搭乗(機内泊)。
6日目:香港到着後、しばし休憩。夕方に羽田行に搭乗して、夜遅くに成田に到着。

@チャールビル駅にて

■2023.4.30
 久々の海外旅行である。海外出張は昨年度の暮れから再開して2度ほど行っているが、個人的な海外旅行は3年3か月振りである。
 午後に羽田空港へ向かい、搭乗手続きを済ませた。キャセイのラウンジ招待券をもらったが、久々にJALのカレーが食べたいため、JALのラウンジに向かった。
 しかし、いつの間にかシステムが変わっており、自由に取れた料理が注文方式になっている。これでは、私のいつもの作戦(カレーのルーだけで肉を多めに取り、赤ワインのつまみにする)ができないではないか。仕方なく、欲しくもない冷めたフィッシュ&チップスとカレー(小)を注文した。

@味は「あのカレー」

 和御膳とパスタを追加し、締めで再度カレー(大)を頂いてから、搭乗口に向かった。登場後はすぐに就寝。
 目を覚ますと、もうフライトの半分は過ぎていた。20時頃に香港に到着。シドニー行の出発は23時55分(搭乗時刻は23時15分)なので、ラウンジでシャワーを浴びて小一時間酒を呑むと丁度良いい時間である。
 注文式の料理が多種類あったので、牛肉の汁料理とシュウマイを頼んだら、汁料理には唐辛子が丸ごと入っていて激辛であった。もちろんそれだけでは終わらず、あれこれと追加注文して頂いた。

@こんな料理もあり

 酔っぱらいモードで搭乗口に移動し、機内に入ってすぐに寝入った(ここでも離陸には気付かず)。

■2023.5.1
 10時54分にシドニー空港に到着。事前にETAを済ませているとはいえ、入国審査の窓口を通らないで済むのは楽であった。
 ここで乗り継ぎ便まで4時間ほどある。国内線用ラウンジでまったりしてもいいのだが、せっかくなので市内まで出ることにしている。
 しかし、空港駅から乗ったのでは空港税の関係でぼったくり価格になってしまう。ということで、歩いて最寄駅(ウォーリー・クリーク:Wolli Creek)まで移動である。
 駐車場からの連絡橋を渡り、公園内の芝生に沿う道を歩き(芝生にいる野鳥がインコなのが、さすがオーストラリア)、駅までは25分ほどの道のりであった。久々にOpal cardを使ってホームへ。やってきたのは2階建て車両であった。

@久々の豪州鐡

 20分弱乗車して、タウンホール(Town Hall)駅で下車。賑やかな繁華街を歩いたり両替をしたりしてから、旧くて味わいのあるセントジェームス(St. James)駅へ(駅構内に歴史的写真の展示あり)。ここから、空港最寄駅であるマスコット(Mascot)駅(国内線ターミナルはこの駅が近い)を目指して移動した。理由はもちろん、空港税の回避である。
 同駅で下車したが、市内での滞在時間が短く「乗り継ぎ」と判断されたようで、なんと復路は0ドルであった。
 25分ほど歩いて空港へ向かい、荷物検査場を経て、少し時間があったので結局ラウンジへ。午後の中途半端な時間なので呑まなくてもいいのだが、注いでくれるビールが無料となるとつい手が出てしまう。

@「ラウンジ飯の旅」となってきました

 15時05分発のブリスベン行に搭乗。コードシェアなので事前の座席指定は「窓側」としか指定できなかったが、非常口の窓側であった。
 16時45分頃にブリスベン空港に到着。ここから市内へ移動するが、シドニーのような奥の手は使えないため(時間があれば「バス乗り継ぎ」などもあるようだが)、正直に空港税を含めた高額運賃を払うしかない。
 しかし、空港連絡鉄道のウェブサイトで「ネットで予約決済すれば片道無料」キャンペーンをやっていたため、4日の復路を含めて20.90ドルで切符を買ってある。片道10ドルであれば、許容範囲であろう。

@今日の最後はこれで移動

 セントラル(Central)駅まで移動し、予約済のホテルに投宿した。
 さて、後はスーパーと酒屋(オーストラリアではコンビニやスーパーでは酒が買えない)で夕食を揃えるだけであるが、なぜか休業のスーパーや酒屋ばかりである。調べてみると、今日はクイーンズランド州の「レイバーデイ」ということで、休みの店が多いとのこと。とはいえ、それでも営業している店もあるので、繁華街をあれこれ探してアジア系の酒屋で無事に酒を手に入れ、ファストフード店でテイクアウトを注文してホテルに戻った。

■2023.5.2
 いつもは早朝からあれこれ動き出すが、今日から車中泊が連続するため、ホテルで9時くらいまで心身・電子機器類共に充電をしてから出発した。今日は、セントラル駅から乗車である。

@旧い駅舎

 券売機でgo cardに10ドル積み増しをして、ホームへ。今日はまず9時28分発のイプスウィッチ(Ipswich)行に乗り、そこからローズウッド(Rosewood)行に乗り換えとなる。
 同駅を少し遅れた9時30分に出発。長距離列車が発着するローマ・ストリート(Roma St)駅を過ぎると、電車は地上を走行するようになる。住宅街が中心の、地味な景色が続いて行った。
 以前の訪問時は鉄道博物館に行くためにやってきたイプスウィッチには、定刻から7分遅れた10時32分に到着した。3分後に出発するローズウッド行は別のホームであり、しかも階段がなくてスロープしかない(かなり距離が長くなる)ため、小走りでそちらに向かった。

@このボロ車両に乗り換える

 同駅を出発すると、住宅等は少なくなり、時折牛が見えてきたりした。
 10時56分、ローズウッドに到着した。趣のある旧い駅舎である。ここからローズウッド鉄道博物館に行くが、保存鉄道を運行していたのはかなり昔であり、今は廃墟となっているようである。しかし、車両くらいは見られるのではないか、との魂胆で向かうことにしている。
 鉄道博物館の最寄駅はローズウッドで間違っていないが、歩くと片道1時間半は必要である。選択肢は、徒歩しかない。
 しかし、最初の10分くらいは、旧い西部劇に出てきそうな趣のある街を楽しく歩くことができた。

@落ち着いた街

 それが終わると、住宅街や公園になった(恐竜のオブジェも発見)。しかしそれを過ぎると、もう何もない平原になってしまった(住宅街の最後で、放し飼いの大型犬が近付いてきて危機一髪に。目を逸らさず睨んだから大丈夫であったが、応戦していたら大変なことになっていたかもしれない)。
 何もない平原(牛がちらほらいる程度)なので、飼い犬ならまだしも、ディンゴなんかが出てきたら厭だな…と思いつつ歩いていると、道端で動くものを発見。よく見たら、ハリモグラではないか。これは初体験である。

@近付いたら顔を埋めて丸くなってしまった

 じっと1分くらい動かずに待っていると、あちらも動き出したので、それを動画に撮っておいた。
 ひたすら歩き続けるが、アップダウンが激しくかなり難儀な道である。駅から1時間20分くらい歩き坂を登り切ると、以前は保存鉄道として運行されていた路盤の踏切が見えてきた。もちろん、今は草生しており、以前の面影は全くない。

@残念

 せっかく登ったのにそこから坂を下り続け、左手に曲がってしばらくすると、鉄道博物館が見えてきた。しかし、踏切の部分には「KEEP OUT」「PRIVATE」の表示と有刺鉄線があり、敷地内に入ることはできなくなっていた。

@手前に見える車両だけ撮影

 建屋がある入口方面に行ってみたが、やはり閉まっている。柵の隙間から入ることは無理ではないが、不法侵入になってしまうため(変な問題にしたくないため)、残念ながら中に入るのは不可能である。横から見るに、かなりたくさんの車両(十数両くらい)はありそうなので、残念な限りである。
 敷地内には入れないが、駅付近の踏切の先の引込線には柵がなかったので、そちらに向かってみた。朽ち果てた車両が数両あり、倒壊寸前であった。

@無念

 片道1時間半(急坂あり)を歩いた割には収穫が少なかったが、仕様がないであろう。
 さて、帰り道も当然であるが、1時間半である(危険な犬を避けるため、復路は違うルート(ほぼ同じ所要時間)で帰ることにしている)。やれやれ、という気もするが、何しろ景色がいいからそれと相殺である。

@丘にある踏切付近より

 ひたすら歩き、14時半頃にローズウッド駅に戻って来た。ローズウッド発の列車はほとんどがイプスウィッチ行であるが、15時16分発は数少ない「Thru」(セントラル方面直通)である。それに乗ろうと思っていたが、直前の15時05分にイプスウィッチ行があり、これに乗ればイプスウィッチ駅構内の展示物などを見ることができる。そう思ってgo cardを機械にタッチすると、なぜか「無効」の表示が出てしまった。

@どういうこと?

 初老の駅員に聞いても「このカードは無効だから、トランスリンクに電話して」としか言わない。仕方ないので、そのまま15時05分発に乗り、イプスウィッチ駅で違う駅員に聞いたが、やはり「無効」とのこと。仕方なくそのままセントラル駅まで行き、窓口で確認してもらったが、やはり同様の答えであった。理由も不明とのこと。
 「久々に使おうとしたら無効だった」なら分かるが、今朝10ドル積み増して合計20ドル弱入っており、しかも11時頃には普通に使えたのに、午後になって「無効」はあり得ない。やはり、デジタルは怖いなぁと思った。
 なお今回のトラブルで、助けになったのが積み増し時に念のため発券しておいた領収書であった。イプスウィッチ駅で「残額が足りないのでは」と言われた際にNoと言えたし、セントラル駅の改札ではそれを見せて通ることができた。とりあえず発券した紙切れのおかげで、少しは楽になった(しかし、12ドル以上残っているはずのチャージはどこかに消えてしまったが…)。

@お助け領収書(朝の時点)

 この時点で、17時少し前。まずは市内にあるスーパーと酒屋に行って、あれこれと買い揃えた(今日はレイバーデイではないので、店は選び放題である)。
 歩いてローマ・ストリート駅まで行き、改札を「2回」通って10番線へと向かった(10番線は長距離列車が発着するホームであり、ICカードの制限区間外にある。よって駅の南側から入ると、ICで乗車する近郊列車の改札(一部有人改札)を2回通らなければならない)。
 久々の、ローマ・ストリート駅の10番線である。ここに立つと、「遠くに行くぞ」という気分になれる。「オーストラリアの上野駅」と勝手に名付けたくなるところである。
 ホームにはすでに車両が入線しているが、これはロングリーチ(Longreach)行のスピリット・オブ・アウトバック号である。

@10番線は特別な場所

 ロングリーチ行は18時10分に出発のはずだが、18時13分になってやっとOn Boardのコールがあった。しかも、乗り込んだのは20人くらい老人ばかりである(荷物車を含めて9両くらいあるのに)。とはいえ、その廃れ具合が、「次に乗ってみたいな」と思わせる要素でもある。週に1往復しかないため、旅程には航空機を絡める必要があるが。
 ロングリーチ行が18時21分に出発し、そして29分にウェストランダー号が入線してきた。機関車を先頭に、電源車・ラウンジ・A号車・B号車である。私が乗るA号車の入口には「ブラック・ダイヤモンド」と名がつけられている。

@入線(背後より)

 すぐには乗車できず、しばらくはラウンジ車両への荷物(食べ物等)の搬入作業が行われた。18時45分頃に客車のドアが開いたので、早速車内へ。乗客は12人くらいしかおらず、全員がA号車である(しかも一部に固まっている)。B号車は座席が横4列で人気がないのか、乗客は皆無であった。
 A号車のすぐ隣はラウンジ車両であるが、席は内側に向いており、まったりするのは難しそうである。この車両は、荷物積載が中心のようであった。

@こんな空間

 出発は19時15分であり、それまでやることがない。いつもなら「ネットで暇潰し」であるが、今日明日は「電源ケチケチ作戦」をする必要がある。ということで、19時くらいから呑み始めることにした。海外旅行では良くお世話になる鶏の丸焼き(の半分)と、オーストラリア産の安ワインである。

@パンも購入

 さてこの列車が走る路線であるが、ローズウッドまでは先ほど乗っていた近郊列車と同じである。しかし、ローマ・ストリート出発時点では、イプスウィッチ行とは逆方向(北方面に行く列車と同じ方向)である。これは、何かしらのルートを通って迂回して本来のルートに戻る必要がある。
 19時11分にドアが閉まり、16分に出発すると、列車はやはり北方面へと進み、セントラル駅を通過していった。その後のルートは不明であるが、左に左にと曲がって行ったようである。貨物線でもあるのだろうか(詳細は復路で判明)。
 ルートとは別に予想外であったのが、無料の夕食が配られたということであった。

@予定外

 事前にサービス内容を調べた限りでは、ラウンジ車両でセルフにて飲めるコーヒー等だけしか記載がなかったので、これは意外であった。先ほど買ったパンは確実に明日以降(ヘタすると家まで)持ち越しになってしまうが、サンドウィッチが頂けるのは有難い。
 すっかり酔っぱらい、サンドウィッチやリンゴを平らげてから、就寝。

■2023.5.3
 朝起きてから、シャワー室へ向かって一浴びした。超狭くて着替えが大変であるが、シャワーがあるだけで有難い。
 その後は隣にある洗面室で歯を磨いたりして全体を整えて、ラウンジ室にある無料コーヒー(セルフ方式。紅茶などもある)を頂いた。

@これも有難い

 起きた時点ではまだ暗かったが、6時を過ぎるとだんだんと明るくなってきた(南半球にいるため、右手(北側)が明るくなってくる)。
 ここで、B号車の後ろがそのまま貫通式であったことを思い出して、そこに向かってみた。後ろ側を見渡せる写真が撮れると思ったからである。
 撮るには撮れたが、窓ガラスの汚いことときたら。これが奇麗であれば、もっと良い写真が撮れたのに、と思う。

@これが精一杯

 6時27分、ローマ(Roma)に到着した(定刻より22分遅れ)。ここでA号車にいた家族連れなどが下車して、車内の乗客は6人くらいになってしまった。
 この駅で10分くらい停まるため、ホームに降りたり車内を再散策したりしていると、A号車の一番後ろに電源コンセントがあるのを発見した。これで「電源ケチケチ作戦」は終了である(早速充電開始)。
 同駅を6時34分に出発。しばらくすると、朝食までが無料で配布された。シリアルやコーンフレークなどから選べるということなので、コーンフレークを選択。これを食べるのは、何年、いや何十年ぶりかもしれない。

@コーンフレークやないかい!

 外の風景は、ひたすら平原である。時折牛などが見えて来るが、それ以外にも野生のカンガルーなどの生き物もあちこちで見ることができた。

@とにかく平原(奇麗だが、旅行記として記述するものがない)

 8時08分、定刻から13分遅れでミッチェル(Mitchell)に到着した。ここでも、ホームに降りてしばし撮影タイムである。
 同駅を8時18分に出発してからは、沿線の木々も少しずつ多くなっていった。モーベン(Morven)を10時07分に通過し(時刻表に記載があっても、予約等がないと通過するようである)、チャールビルに近付き、11時43分に一旦停車。手動でポイントが切り替えられてからゆっくり進み、到着はピッタリ定刻の11時45分であった。

@最果ての駅

 散策の準備をしていると、着いたばかりの列車が引込線へと移動した。これは見に行かねばならない。というのも、敷地内にある「三角線」を使って進行方向を変えるからである。
 実は乗車時に、椅子が回転しないことに気付いた。「であれば三角線か何かを使って方向を変えるはず」と思っていたら、チャールビル到着手前で左手に三角線が見えてきたのである。
 列車は引込線を進み、そのままバックをして三角線につながる路盤へ。三角線を使って、お尻を後ろにして入線してきた。

@その様子

 さて、この時点でまだ12時過ぎである。復路の出発は18時15分であるから、時間は余り過ぎている。
 まずは、歴史博物館(Historic House & Museum)に行くことにしている。様々な雑多なものを展示している、いわゆる民俗博物館的なものであり、私はいつもなら無料でないと入らないのであるが、8ドルも払って入ることにしたのは、ここに鉄道救急車(Rail Ambulance)があるからである。早速、そちらに向かってみた。

@かなり古い

 長い説明書きがあるが、要するに水害によって道路が使えないような時に活躍した車両であるという。
(右手に見切れている物の方がよっぽどSLっぽいが、これは蒸気自動車である)
 鐡ネタはこれだけかと思っていたが、敷地内には作業用の鉄道車両や大きな腕木式信号機があり、また建屋内にも切符保存箱や鉄道員の制服など、ちょっとした鉄道コーナーもあった。

@作業用車両(これの左側に信号機あり)

 どうせ時間が余っているので、その他の雑多な資料も拝見。日本軍から奪った豪州の天気図などもあったりして、興味を惹かれた。
 博物館を見終えて駅に戻り、すっかり向きが変わった車両の写真を撮っても(表紙写真)、まだ13時過ぎである。地図を見て公園に行ったり、スーパーで夜食材やお土産を吟味したりして戻ってきても、まだ15時。駅構内でこの旅行記を1時間ほど書いて、再度また街に繰り出したが、小さい街なので30分も歩けば終了である。
 17時過ぎに駅に戻ってベンチでスマホを触っていると、係員が来て「もう乗っていいよ」ということであった。乗客リストから、私が往復することを知っていたようである。

@早速車内へ

 復路も同じ席であったが、「近くに人が座るから、こっちに座っていいよ」と案内されたのが、最後尾の2人席である。ここは、まさに唯一の電源が背後にある席である。ということで、早速充電しつつPCとスマホタイムである。
 18時を過ぎると、車内の乗客も増えてきた(と言ってもやはり12人程度。車内の係員は5〜6人いるので、経費的に大丈夫か不安である)。恰幅の良い女性が「充電難民」になっているようで、あれこれ探し回り、結局私の後ろにしかないことに気付いた。ということで、私の充電が終わったら教えてあげる、ということにした(実際は、8割くらいで切り上げてあげた)。
 そしてまた、今日も夕食の配布である。

@サンドイッチの種類が違う

 18時13分にドアが閉まり、15分に出発。すぐに停車し、手動でポイントが切り替えられてから再度走り出した。
 さて、もうすることはないため、一献の開始である。ツマミはチャールビルのスーパーで買った総菜やサラダであり、安ワインは昨日のうちにブリスベンで手配済みである。
 夜行列車で酒を呑み翌朝になったら違う地方へ、というのが一番好きなシチュエーションであったが、もう日本ではほとんどできないので、海外でのそれが貴重な機会となっている。

@ワインの瓶は重いため持参したペットボトルに移し替え

■2023.5.4
 今日も暗いうちに起きて、洗面室で洗顔を済ませた(シャワーは夜に空港で浴びる予定)。
 6時15分頃、貨物列車とすれ違った。先述した通りウェストランダー号は週に2往復だけで、しかも客車はたったの2両である。こういう場合、「大陸の鉄道は貨物のためであり、旅客はオマケ」というのが通常の理由であるが、この路線の場合、貨物列車すらほとんど見当たらないのである(昨日も、明るくなってからチャールビルに到着するまで、1本もすれ違わなかった。そもそも単線であり、信号所などの交換施設でしか行き違えないのである)。

@やっと貨物が

 数少ない貨物列車であるが、編成自体は長大であった。
 しばらく走行し、6時44分にトゥーンバ(Toowoomba)に到着した。ホームには20人くらいいて、そのすべてが先ほどまで無人であったB号車に乗り込んだ。このような利用のされ方もあるようである。
 しばし停車するため、私はホームの散策である。

@貨車花畑

 7時00分に同駅を出発したが、後ろ向き(つまりスイッチバック)であった。実は昨夜、就寝時にふと目が覚めて「あれ、後ろ向きに動いているな」という瞬間があったのだが、どうやらこの駅であったようである。
 スイッチバックで駅敷地を離れて本線に戻り、再度前進をし始めた。
 ここでまた朝食タイムとなったので、今日はシリアルにしてみた。

@今日はこんな感じで

 シリアルもコーンフレークも、なんだかお菓子のようで朝食という感じがしない。やはり「ご飯と味噌汁と鮭」が最強であると思う。
 しばらくすると、路盤は左右に曲がりだし、スピードもかなりゆっくりとなっていった。どうやら、意外と高地を走っているようである。逆光なので上手く撮影できないが、山岳地域の結構上の方を走っているようである。たった4両しかないのに、先頭の機関車が左右に大きく見えたり隠れたりしている。
 なお坂に弱い鉄道は左右にうねりながら走っているが、道路は一気に坂を上がるようであった。

@鉄道には真似できない

 中には25kmの速度制限などもあるところを、列車はゆっくりと走って行った。かなりの長時間である。「往路は平原を堪能できるけど、復路はブリスベンに近付くだけだから、もしかしたら面白くないのかな」と思っていたが、予想外に復路の方が色々と景色を楽しめた。
 8時20分頃にやっと平坦な路盤となり快走し始め、定刻から5分遅れの8時45分にヘリドン(Helidon)に到着。なんと2号車にいた団体さんはここで全員降りてしまった(てっきりブリスベンまで行くものと思っていた)。
 同駅を出発すると、路盤は複線となってさらに快走していった(ただし、すれ違う列車は皆無であったが)。見えて来るのは、田畑ばかりである。

@一例

 一旦「プチ山岳路線」となって単線になったが、また複線に戻り快走。9時55分頃に昨日訪問したローズウッドを通過し(時刻表では9時50分発となっている)、10時13分にイプスウィッチに停車。ドアは開かず、すぐに出発した。一昨日に乗ったばかりの路線であるが、各駅を通過するので、都内の中央線などで特急に乗るような爽快感がある。
 さて、ローマ・ストリート到着予定は11時25分であるが、この様子だと20分以上早着となりそうである。しかし、同駅が違づくと急に路盤は迂回をし始めて、明後日の方に行き始めてしまった。ローマ・ストリート駅よりかなり北の、エキシビション(Exhibition)という駅の近くで、しばし停車である。
 そのうち操車場の方に向かい始め、右に急カーブをしてボウウェン・ヒルズ(Bowen Hills)に向かい本線と合流し、そこから南下してセントラルなどを経由して、結局ローマ・ストリートに到着したのは11時23分であった。最後まで乗っていたのは、私を含めて7人だけである。

@操車場を経由するとは

 ということは、ローマ・ストリート駅の10番線からは、イプスウィッチ方面には直行できない構造になっているのかもしれない。いずれにしても、面倒なルートである(この後、この車両が次の出発に向けてどうやって方向を変えるのかは、謎である)。
 さて、今日の午後は特にすることもない。本来は近郊列車に乗る予定であったが、go cardがお亡くなりになっているし、新たにカードを作ってまで乗るほどでもない。
 ということもあり、まずはクイーンズランド博物館へ向かった。交通関係の展示は少ないが(入口にある航空機くらい)、無料なのが有難い。
 続いては、これまた無料であるシティ・ホッパーという船に乗り込んだ。

@無料の連続

 終着のシドニー・ストリートまで行き、そこから歩いてパワーハウスを見学。その後は、またシティ・ホッパーに乗り、途中のマリタイム・ミュージアムで下船して、縦長の公園をひたすら歩き、橋を渡って繁華街を抜け、そしてセントラル駅までやってきた。この時点で16時半である。
 もう何もすることもないので、深夜便であるが空港に行ってしまうことにした。16時46分発の列車に乗り、空港へ。椅子と充電器を発見して、この旅行記の作成である。
 さてここで作戦違いであったのは、カンタスのラウンジが23時で閉まってしまうことである(この時点で今さらながらに気付いた)。国際便の手続開始は出発の3時間前が多いから恐らく21時55分頃であり、スムーズに先に進めたとしても1時間弱しか呑めない。それに搭乗時刻は24時25分くらいであろうから、1時間以上は間が空いてしまう。ラウンジでシャワーを浴びるとなると、呑む時間はさらに減ってしまう。
 と、ここで検索してみると、なんと到着エリア(私がPCを使っているエリア)にシャワーがあるという情報があるではないか。さっそくそこへ向かい、まずはシャワーを済ませた。

@まさかのシャワー

 入口にはトイレとしか書いておらず、中に入らないとシャワーの存在には気付かない。これは、有難い情報であった(シャワーだけしかないが、アメニティはいつでも持参しているし、今回は車中泊もありタオルも持参していたため、無問題であった)。
 さてここで「作戦違いその2」が発生。この旅行記の作成もほぼ終わってしまい、21時前に出発フロアに行ってみると、出発の4時間も前だというのにもう手続きが開始されているではないか(だったらシャワーもラウンジで入れたことになる)。
 預ける荷物もないので早速機械で受付して、荷物検査と出国手続きをして、搭乗ゲートへ入った。カンタスのラウンジへ直行。21時半から呑み始める。
 ビールは注文する形式であったので、2種類を手に。ビーフシチューがあったので、JALラウンジではできなかった「肉多目にしてツマミ」作戦を決行した。

@肉祭り

 なお、実は「作戦違いその3」もあったことが判明。オーストラリアでワンワールド=カンタスと思い込んでいたが、搭乗手続時に出てきたラウンジ招待券には違うラウンジ名が書かれていた。調べてみると、そちらは24時30分まで開いているとのこと。つまり、23時になってそちらに移動すれば、居酒屋的に言えば丸々「3時間呑み放題コース」である。
 せっかく肉料理があるので、赤ワインにスイッチ。数種類あったので「どれがオーストラリア産?」と聞いたら「全部」ということで、バーテンの女性と一緒に大笑い。
 22時15分くらいから「店じまいモード」になってきたので(お姉さんたちも早く帰りたいのだろう)、招待券のあるラウンジへ移動した。
 料理については、こちらの方が種類豊富であった。美味しそうな(食べ難そうな)手羽先と、ピザを選択。

@「ラウンジ飯の旅」再開

 2皿目で小さいラザニアなども取ったが、もうそれ以上は呑めないし食べられない。年を取ったと思う(若い頃ならもっと行けたのに)。
 3時間呑み放題コースのつもりが、2時間ちょっとでギブアップ。早めにラウンジを後にして、土産店を見たりして時間を潰して、24時30分頃に搭乗した。今日も離陸に気付かずに就寝。

■2023.5.5
 今日は香港で6時間くらい暇があるため、一旦入国して十数年ぶりに鉄路博物館に行こうと思っていた(そのために、手持ちの2百数十香港ドルも持ってきている)。しかし、3晩連続で車中泊・機内泊であり、少しお疲れモードである。よって、ラウンジで朝から呑んで2〜3時間寝てすっきりしてから東京に戻ることにした。
 乗り継ぎカウンターを経て、すぐ近くにあり5日前にも利用した「ザ・ピア」ラウンジへ。ここには、大きなベッドもあって寝るには最適である。しかし、なぜか閉まっていた。歩いて「ザ・ウィング」へ行ったが、ここはシャワーがないとのこと。ということで、「ザ・デッキ」へ行って、シャワーを浴びてすっきりした。
 しかし、ここのラウンジは注文方式の品が少なく、ベッドなどもない。ある程度の品を頂いたら、ザ・ウィングへ行って二次会という作戦を取ることにした。

@文句を言いつつ食べる(味は良い)

 しかも、アルコールが缶ビールくらいしか見当たらない。ということで、早めに切り上げて二次会会場(?)であるザ・ウィングへ移動である。
 ここには瓶の香港ビールやワインなどはあったが、やはりベッドはなかった。大きなベッドでの休憩をしたいところであるが、ザ・ピアはかなり遠い場所にあるので、「もうここでいいや」と悟った。担々麺やカレーでビールやワインを頂き、皮のソファーで横になって2時間ほど眠って体調を回復させた。
 その後は15時10分発の成田行に乗って帰るだけであるが、旅行記にするまでもないであろう。

@最後は「ラウンジ飯の旅」4連発

 

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