【どこかに鐡F】熊本空港編

■はじめに
 3月から8月まで毎月実施してきた「どこかに鐡」であるが、9月は海外旅行が多かったため実施せず、10月も国内旅行や出張が多いため行わない予定であった。しかし、暇な週末がないわけではない(10月2週目の週末のみ用事がない)。「毎週用事がある」のは避けたいが、かといって土日ずっと家にいる性分でもないので、10月に入ってから「もし適当な行先があれば行ってしまおう」と思って検索してみた。
 土曜朝出発で日曜夕方に戻る便はさすがに皆無であったが、戻りを早くするとちらほらと選択肢があった。このシリーズで未訪問の旭川・帯広・宮崎・熊本が揃ったところで、申し込みを確定させた。
 北海道になってしまうと、バス旅に続いて「2週連続北海道」になってしまうが、もしそうなってしまえば、根室本線の廃止予定区間でも乗ってくればいいであろう。
 そう思って覚悟していたら、翌日に判明した行先は意外にも熊本であった。となれば、訪問先は熊本地震から復興中の「南阿蘇鉄道」である。まだ全線復旧はしていないが、一部のみ再開しており、トロッコ列車を走らせている。被災地にお金を落とす意味合いでも、ぜひ行かねばなるまい。

@高森駅にて

■2018.10.13
 往路の便は10時05分発であったが、早朝の時点にネットで確認したら前の便に空席があったため、7時前に羽田空港に到着するように移動して8時05分の便に変えてもらった。こうすることにより、熊本での移動に余裕ができる(観光ができる)のである。
 10時少し前に熊本空港に到着。高森方面へのバス出発時刻は11時09分であり微妙な間があるが、熊本空港のゴールドカードラウンジASOは「到着時も利用できる」「ビール1本無料」と使い勝手が良いため、そこで時間調整をした。

@朝から熊本のビールで乾杯

 1時間ほどラウンジに滞在してから、バス乗り場へ移動。これから乗車する「たかもり号」は熊本から高森に行くバスであり、途中空港を経由するものである(1日に4本ある)。
 ほどなくしてやってきたバスに乗り込んだ。途中地ということもあり、すでに車内は9人くらいの乗客がいた。先週に続いて「バス旅」の感覚である。
 バスは阿蘇に向かって走るが、山並みの美しいこと。これはもう絵画である。

@天気もいいし

 このバスの終着は高森中央であるが、その少し手前で下車した。「高森湧水トンネル公園」に行くためである。
 下車したバス停から田舎道を歩いて踏切を渡り、水路のある公園を歩いて件のトンネルに到着した。入場料300円を支払って中に入る。
 ここは、国鉄の高森線と高千穂線を繋ぐためのトンネル跡であり、いわゆる鐡ネタであるため訪問した次第である。

@中の様子

 削岩中に大量の水が出てしまい(それが影響して付近の湧水が枯れたりしてしまい)、工事を断念したものである。そのすぐ後に国鉄再建法によって高森線と高千穂線自体が廃線対象となってしまい、その後の流れは皆さんご存知の通りである。「もしトンネルが早期に開通していれば、両線の運命も少しは違った?」と想像したくもなる。
 公園を見終えてから、高森駅に向かった。

@駅前のSL

 今日はこれから、13時15分の「マンガよせがきトレイン」に乗って中松まで行き、トロッコ列車で同駅から戻ってくることにしている。飛行機の便を早めた利点がここにあり、もし10時台の便であれば、たかもり号を中松駅前で下車してトロッコに乗るのが関の山であった。
 駅窓口で中松からのトロッコ指定券を買う(790円)。駅構内には、マンガよせがきトレインに使用されている漫画色紙が陳列されていた。

@帰りの切符

 駅構内にあるその他の展示物(歴史や災害に関するものなど)を見てから、少し時間があったので町内の観光案内所などまで散策し、駅に戻って列車に乗り込んだ。マンガよせがきトレインは一般車両扱いであるため、清算は車内であり、通常料金(中松まで290円)である。

@マンガよせがきトレイン側面

 定刻の13時15分に出発。一般車両扱いであるが、運転手による丁寧な観光アナウンスがずっとあった。
 最初の停車駅である見晴台(テレビCMで有名になった駅)に到着。ホームには5人くらいの人がいたが、いずれも写真撮影が目的であり、列車には乗ってこない。
 同駅出発後も、運転手による観光アナウンスは続いた。各駅で、ちらほらと撮影する人が待ち構えていた。

@湧水多し

 13時36分、中松に到着した。この列車は6分後に折り返すが、上述した通り私は15時00分発のトロッコ列車で戻ることにしている。
 1時間半近い時間があるが、歩いて隣駅である「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」に行くことにしている。日本一長い駅名として有名な駅であるが、個人的思い出としては、20年前に九州をバイクツーリングした際に同駅で野宿をしたことである。
 25分ほど歩いて行ってみると、以前は無人駅であった駅舎が、本屋になっていた。ホーム前に続く線路は赤さびているが、4年後にはまた列車が走る予定である。

@廃線ではありません

 中松駅に戻ると、駅前には長崎バスの大型バスが待ち構えていた。恐らく、トロッコに乗っている観光客をここで拾うのであろう(ということは、戻りのトロッコは空いていることが確実である)。
 14時52分頃、トロッコが入線してきた。小さい客車が3両連なっており、前後に小さなディーゼルカーが付いている(よって、付け替え作業をしなくても戻る(バックする)ことが可能)。

@観光トロッコ

 予想通り少ない乗客となり、定刻の15時00分に出発した。そしてすぐに停止。というのも、現在は手動でレールのポイント切り替えをする必要があるためであるという(車掌のアナウンスによる)。
 復路も、もちろん観光アナウンスの連続である。往路と同じ行程であるためどうしても同じような内容になってしまうのは仕方がないが、人が違うので脚色が異なっている。

@右手に外輪山を見ながら

 15時25分に高森に着き、その後はスーパーで食材を揃えてから、歩いて45分くらいの場所にあるペンション街の1つに投宿した(街中にネット予約できるような宿がなかったため)。

■2018.10.14
 明るくなった6時半頃に宿を出て、昨日と同じルートを戻って高森の中心部へ。今日は「ゆるっとバス」「南郷ライナー」「空港ライナー」を乗り継ぐので、まさに先週に続いてのバス旅である。
 まずは、肥後大津行のゆるっとバスで立野へ向かう

@今日はこれから

 定刻の7時30分に高森駅を出発。最初は2人だけであった乗客も、学生を中心にちらほらと増えていった。
 昨日の鉄道往路と同じく、右手に阿蘇の山々、左手に外輪山を見続けていく。今日も快晴である。
 仮設住宅などを見ると、復興はまだ完全ではないことがわかるが、立野の手前にある長陽大橋が昨年に開通したことは、流通にとっては大きな出来事であろう。

@復興の象徴

 8時12分に立野に到着。バス停は駅前ではなくて、道路の途中であった。
 立野で降りたのは、このまま肥後大津まで行ってしまっても時間を持て余す(肥後大津にはそれほど見所はない)のと、実はここで分割した方がバス代が安くなるのである。
 さて、まず向かうのはダム建設現場である。場所はバス停から歩いてすぐの場所である。記念写真用のフレームがあり、その背後に南阿蘇鉄道の鉄橋があって、シチュエーションは最適なのだが、いかんせんこの時間帯は100%逆光であった。

@まぶしい…

 その足で、立野駅へ向かった。列車が運行されなくなって2年以上経過しているため、駅付近は荒れ放題である(草木があまり大きくなると、根っこなどがバラストに悪影響を与えないかどうか心配である)。

@廃駅ではありません

 ホームまで入ってみてあれこれ確認し、ついでにJR側のホームにも行ってみた。
 さて、この時点でまだ8時40分であり、南郷ライナーの出発時間(9時40分)まで1時間もある。仕方なく、鉄橋を再度見に行ったりしたが、それでもまだ時間が余っている。
 立野付近で残るネタ(観光要素)は、駅前にある「ニコニコ饅頭」くらいである。朝から饅頭というのも…と思ったが、他に何もないし、せっかくここまで来たのであるから買うことにした。
 実際に1つ(8個入り400円)買ってみると、丁度出来立てであり、まだ温かいではないか。これなら、朝食替わりになりそうである。

@駅の待合室で開いてみる

 ホカホカということもあり、「饅頭」というよりは「あんまん」感覚でほとんど平らげてしまった(勢いで全部食べられそうであったが、常温で饅頭として味わうために、あえて1つだけ残しておいた)。
 バス停へ戻り、南郷ライナーを待つ。走行区間はゆるっとバスと同じ(高森から肥後大津)であるが、停車バス停は少なくて車両も観光バスタイプである。

@次はこれに乗る

 約15分で、肥後大津に到着した。
 今日は12時40分の便で東京に戻るため、ここで1時間以上の時間がある。まずは駅北側にある寺院や神社、旧街道などを巡り、無料という理由だけで歴史文化伝承館へ行った(柿をおまけでもらった)。
 その後は地元のスーパーへ行こうとして豊肥本線の踏切を渡ったが、ここも荒れ放題であった。そのうち再開したら、南阿蘇鉄道と合わせて乗りに来なければなるまい。

@廃線ではありません

 

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