惜別「583系」

■はじめに
 国鉄時代に製造された特急列車用の車両が廃止され続けているが、ついに583系が現役を退くことになった。私は車両形式にあまり詳しくないが、鉄道に熱を上げ始めた小学高学年〜中学生時代に憧れていた車両であり、今度ばかりは感慨一入である。
 引退に合わせてツアーが組まれているが、早々に売り切れである。秋田駅での撮影会があるようだが、写真を撮るためだけに行っても仕様がない。そういうことで諦めていたが、念のためにJALのツアーで検索してみると、なんとホテル1泊込みで20,200円という設定があるではないか。これだったら見るだけでも…、と思い決済をしてしまった。

@秋田駅にて

■2017.4.8
 最寄駅始発の列車に乗り、6時半頃に羽田空港へ。ラウンジのパンを頂いてから、7時25分発の秋田行に搭乗した。先週(石垣着4時間半遅れ)と違い、今日は定刻通りのフライトである。

@鳥海山麓はまだ雪景色

 連絡バスで秋田駅へ。583系のツアー列車は昼過ぎに秋田駅に来るが、駅で待ち構えていても面白くないため、東能代まで北上して撮影することにしている(青春18きっぷも余っているため)。
 秋田と言えば「たけや製パン」である。前回買ったものとは違う「べたな名前シリーズ」(正式名称ではない)と、「あきた」の名が含まれているものを購入した。

@秋田に来た際の楽しみ

 9時45分の各駅停車に乗り込む。お馴染みの「ロングシートが悪評高い」車両である。せっかくの東北の景色が、ロングシートになるだけで魅力半減(それ以下)になってしまうのは、本当にもったいない。
 車内には、バカでかい三脚を持った人などがちらほらといる(本格的な撮影が目的の人)。10時42分、東能代に到着した。

@いろいろと節目のようで

 私は有名な撮影場所などは知らないため、駅から歩いて15分程度のところにある高架橋から撮影することにしている。そこに向かって待つことしばし、汽笛を鳴らしながら臨時列車がやってきた。

@無事に撮影

 駅に戻ったが、12時55分発の秋田行までまだ小一時間あるため、歩いて15分程度のところにある地場産品の即売所に行って能代名物の「赤ずし」や炊き込みご飯、漬物などを夜用に買い求めた。
 件の列車で南下し、追分で下車。久々に男鹿線に乗るためである。待つことしばし、やってきたのはつい先月デビューしたばかりの新型蓄電池電車(非電化区間でも走行することができる)ではないか。

@偶然

 これはこれは、と思って乗り込むと。まさかのロングシートではないか。実は男鹿線に乗ろうと思ったのは、「どうせ奥羽本線はロングシートだから、ちょっとは東北の旅気分を味わいたい」というのも理由であった。新型列車に乗れたのはいいが、なんだか喜び半減(それ以下)である。
 複雑な気分で、男鹿駅へ。

@新型車両(側面側)

 その後は、駅近くにあるスーパーで夜の食材を追加購入した。本当は3時間ほど男鹿観光する予定であったが、乗ろうと思っていた路線バスが土日運休であることに奥羽本線内で気づいたため、ただ単に駅付近をぶらついただけで予定より早めの15時38分の列車で秋田へと戻った。
 ツアーに付いてくるホテル(と言っても駅前すぐの老舗大型ホテル)に投宿し、あれこれ買い求めた食材でかなり早い時間帯から一献を開始。

@東北的な感じ(これ以外にも、駅前の店で刺身も追加した)

 テレビを付けっぱなしにしていると、ニュースの一部で「583系引退」が報じられているではないか。全国区ニュースにはならないだろうが、これは地方ならではであろう。

@地元の話題

■2017.4.9
 最近は「朝ラーメン(略して朝ラー)」が流行っているようであるが、秋田も有名な地域の一つである。ということで、(青春18きっぷもあと1日余っているため)羽後本荘まで行ってみることにした。
 5時38分の列車に乗るべく駅に向かうと、今日の車両見学会の整理券(7時半配布開始)のための行列がすでに出来ているではないか。なかなかご熱心なことである。

@奥に見えるのは旧型の男鹿線用車両

 ロングシートの車両に乗り込み、ホテルでもらった一般紙を開くと、地方版のところにやはり583系引退の記事が掲載されていた。
 40分ほど移動して羽後本荘で下車し、駅から20分弱歩いて朝から営業しているラーメン店へと向かった。早朝からラーメンとは体に良くなさそうだが、旅の時くらい特別にいいだろう(それにしても、地元民で結構混雑していた)。

@美味しく頂きました

 城址を散歩したりして駅に戻り、7時42分の列車で秋田へと戻る。8時26分着。
 見学会の整理券配布場へ行ってみると、第2班(9時50分開始)であった。10時15分の列車で角館に出かけようと思っていたので、ベストタイミングである。

@これを首にかける

 9時30分からの第1班の人は、早朝と同様に並んでいる。ホームに入るのは平等だからそんなに早くから並ばなくても、と思うのだが、それは人それぞれである(拘りのない私は、小一時間ほど市内を散策したり開いている商店を見たりして時間を潰した)。
 9時30分過ぎに駅に戻り、列に並んでホームへと移動した。

@やっと撮影

 6両あるうち、車両によっては寝台がセットされたりしている(鐡でない方への註:583系とは座席の状態から組み替えて寝台に変えることが可能な車両である)。最近は座席での臨時列車として活用されることが多かったため、寝台としてセッティングされているのは久々に見た気がする。

@下段は広い

 寝台として私がこの形式に乗車したのは、5年前の急行「きたぐに」が最後であり(拙文“惜別「きたぐに」「日本海」”参照)、座席としてはつい2年前にも乗ったことがあるが(拙文“鐡より食がメインの旅”参照)、何より思い出深いのは、31年前に特急「はつかり」として盛岡から青森まで乗ったことである。

@新幹線と青函連絡船の「連絡特急」時代(ネガフィルムより)

 5分ほどホームであれこれ撮影をして、とりあえず終わりである。外に出ると、記念品(ポストカード)がもらえた。
 再度改札を通り、10時15分発の新庄行に乗ろうとしてホームに降りたが、当たり前であるがこちらのホームからも撮影会場のことを見渡すことが可能である。

@こちらのアングルの方が良い?

 最後の撮影を済ませ、各駅停車に乗り込んだ。定刻に出発。
 秋田駅でおいしそうなおにぎりと総菜が売っていたので買ってあるのだが、またしてもロングシートなのでしばらくお預けである(ロングシート以外に出会えない場合は、待合室などで食べるしかない)。
 大曲にて、田沢湖方面の列車に乗り換える。やっと普通の座席となったので、おにぎり等を頂いた。

@沿線風景はこんな感じ(やっと旅気分)

 定刻の11時36分、角館着。ここに来るのは3〜4度目であろうか、いつも中途半端に1時間くらいの時間であるが(今日もそう)、武家屋敷は駅から歩ける範囲であるためいつも同じ散策コースである。
 12時43分の列車で、同じルートを戻る。本来の旅程では秋田まで戻り、小一時間時間を潰してから15時30分の連絡バスに乗るはずであったが、今さら秋田駅近辺で見るべきものもない。それに今回の旅はずっと曇り(時折小雨)であったが、奥羽本線に乗っているうちに晴れ間が見えてきた。
 ということで、和田駅から歩くことにした。距離にして8キロ強、1時間40分かかったが、穏やかな陽気であったため散策気分で歩くことができた。

@和田駅にて(空港に着くころには雲一つない快晴になった)

 

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